朝日新聞の4月1日(妄想編)
4月1日に、次のような記事がネット界を駆け巡った(らしい)。内容のほぼ全文を掲載してみる。
1930年代から第2次大戦中にかけて戦地で兵士の相手をした、いわゆる慰安婦について、本社は1992年1月11日付第1面の「慰安所 軍関与示す資料」という記事において、防衛庁図書館に保管されている旧日本軍の通達に、軍が慰安所の設置を指示した事実が記載されているとの事実を報じました。この記事は正確でしたが、それに付けた「解説」において
従軍慰安婦 一九三〇年代、中国で日本軍兵士による強姦事件が多発したため、反日感情を抑えるのと性病を防ぐために慰安所を設けた。元軍人や軍医などの証言によると、開設当初から約八割は朝鮮人女性だったといわれる。太平洋戦争に入ると、主として朝鮮人女性を挺身隊の名で強制連行した。その人数は八万とも二十万ともいわれる。
と記述しました。ここで「挺身隊」と記されているのは「女子挺身隊」のことですが、これは工場などに戦時動員する制度であり、慰安婦が女子挺身隊として徴用(強制連行)された事実はありません。したがって「朝鮮人女性を挺身隊の名で強制連行した」という事実もなく、これは解説記事を書いた植村隆記者(現・東京本社外報部次長)の事実誤認によるものです。
この記事は、今から15年前のものですが、宮沢喜一首相(当時)の訪韓5日前に報じられて日韓関係に大きな影響を与え、1993年に官房長官談話で政府が謝罪する原因となりました。それが歴史的事実として定着したため、今年3月に安倍晋三首相が「軍が慰安婦を強制連行した事実はない」とコメントしたときも、海外メディアから「歴史の隠蔽だ」などの非難が集中しました。
これに関して、混乱を招いた責任は本社の報道にあるとの指摘を複数の専門家から受けました。私どもはそのような因果関係はないと考えますが、結果として誤解を招いた可能性もあるため、事実関係をあらためて明確にすることが必要だと考え、社内に「慰安婦問題検証委員会」を作って検討を進めてまいりました。その結果、前述のような結論に達したものです。
社説でもたびたび主張したように、私どもは慰安婦が強制連行されたかどうかは本質的な問題ではないと考えておりますが、そうした意見以前の問題として、事実関係について誤解を招いた責任は免れません。
とりわけ海外メディアに誤解が広がっていることについての責任の重大性を考え、ここに当該記事を執筆した植村記者を諭旨解雇処分とするとともに、私が代表取締役社長を辞すことによって、全世界の報道機関に事実関係の再検証を促す次第です。
これを教訓とし、本社は今後とも中立・公正な報道に努める所存です。ご理解を賜りたく存じます。
朝日新聞社 代表取締役社長 秋山耿太郎
もちろん、これは池田信夫氏の4月1日のブログのエントリーを参照している。
これを見た人の何人かは朝日新聞を取ることを検討したらしい。それほどのインパクトのある4月1日であった。まだブログのコメントは伸び続けているみたいだ。
これが事実であったら、とかなりの数の人々が思ったようである。朝日新聞は好むと好まざるとに関わらず、日本の一流紙の地位にある。このように、ある意味報道者としての正道に立ち戻るならば、日本中から拍手を以って迎え入れられるだろう。
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朝日新聞問題はくすぶり続ける。
原因の一端は朝日新聞等が指摘する事象の正誤の問題ではない。朝日系知識人と名付けてしまうが、彼らの思考方法にその問題が存在する。
朝日系知識人は高学歴、高階層に位置する高度な文化的生活を送る資産または収入を有する媒体貴族である。たまに使用人も含まれる。
彼らは自分の頭の中で考えた正義を実行する。他人の視点が微塵も無い。
彼らは日本人や韓国・朝鮮人や中国人が如何に不幸になろうがかまわない。生じた結果は愚民どもの不手際であり、貴族たる彼らは無答責であるから。
媒体貴族は自分の言説で争いが起こり、死人が出たとしても愚民のそれこそ愚かさの証明としか見ない。
(池田氏の4月3日のエントリーも参照)
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従軍慰安婦という媒体貴族の一人が作り出した用語は、女子挺身隊とは全く異なるものだが、両者は同一のものとして世界で一人歩きしている。
もう世界は違う流れでうごいており、この問題は一つの材料として利用されている模様である。(「日米同盟を揺るがす慰安婦問題」田中宇氏)
風の谷の老婆が、王蟲の暴走はもう誰にも止められない、という言葉が思い起こされる。しかし、我々が住まう世界には、ナウシカはいない。
もう媒体貴族も無答責ではいられないだろう。昔の山一證券、雪印、今日の不二家は明日の王手媒体であると気がつかないのか、それとも裏の手を持っているのか。
朝日系知識人の中で、心ある人は総括をした方が良いのではなかろうか。
おそらくこの4月1日記事が本当に出たとしたら、朝日新聞は蘇るかもしれないし、その可能性は人間の良心に残されているのではなかろうか。
がんばってください、あなたの未来のために。
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