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2007年7月14日 (土)

「天孫降臨の謎」(関裕二)

 2003年に元の本が出ていますが、その文庫版。
 関史観が存分に発揮されています。

 天孫降臨関説です。
 まずは日本書紀の成立理由から。
 一般には日本書紀と言うのは天武天皇が天皇の権威確立の為に書かせた、という話になっていますが、関説では、藤原氏の権威確立の為になされたと。藤原氏は蘇我氏との勢力争いに勝利して、その子孫が藤原平安朝を形成するのですが、実際はどうだったかというと、それまでの蘇我氏および蘇我系皇族をクーデターや政争で一掃し、藤原氏および藤原系皇族に塗り替えた、その正当化の為に日本書紀は編纂された、というのが関史観です。ちょっと乱暴な説明ですが。
 では、クーデターで倒される前の蘇我系政権とは一体なんだったのか。

 この本では、ヤマト建国前夜の状況について説明されています。
 時系列で説明すると、もともと列島には吉備、出雲、北九州などに諸豪族が割拠していた。大陸や半島に一番近い北九州が鉄の保有量や文化で優位を保っていたが、吉備や出雲が東国とともにヤマトに連合政権を形成して次第に発展していった。これに対し、北九州は魏に使いし、邪馬台国の卑弥呼が親魏倭王として魏と結んでしまったからさあ大変。ヤマトは出雲系の神功皇后・武内宿禰を代表として軍事派遣を行い、北九州勢を押さえにかかった。途中、同じ派遣軍だった吉備物部系と内部分裂したものの(記紀では仲哀天皇崩御)、北九州諸勢力を傘下におさめ、最後は山門の姫(いわゆる卑弥呼)を倒し、北九州を平定した。魏に対しては、卑弥呼逝去のため宗女のトヨ(すなわち神功皇后)が後を継いだと報告された。北九州勢力を駆逐したものの、今度は出雲系の勢力が強くなりすぎたことを危惧したヤマト本国(吉備物部系政権)は、魏(曹操の子孫が王家)が晋(司馬懿の子孫が王家)に変わった隙に急襲し、神功皇后軍を敗走させた。敗走の神功皇后軍は、野間岬から隼人の盤居する南九州、高千穂などに篭って再起の機会をうかがった。これが天孫降臨の正体だった。そして次の神武東征に続く。
 というのが、関史観ですが、私この説が好きです。

 本書ではないのですが、この後に神武東征が来ます。
 出雲系亡命軍は隼人の地で復活の機会をうかがっていた。その時ヤマトでは外来の伝染病が流行し、人口が激減する事態に直面していた(崇神天皇の項参照)。物部系政権は、出雲系をだまし討ちにした祟りと恐れ、出雲系の子孫である応神天皇を迎え入れることを検討する。但し、政権内でも出雲系を受け入れる派と受け入れない派の間で激闘があり、 出雲亡命軍の代表・応神天皇はなかなかヤマトへ帰還できなかった(応神天皇の項、あるいは神武東征の現地勢力との戦闘の項参照)。物部政権の内部分裂の末、受け入れ派が勝利し、応神天皇はヤマト入りすることができた(饒速日命が神武天皇に禅譲の項参照)。ちなみに応神天皇に付き従っていたのが蘇我氏の祖。
 乱暴ですがこれが神武東征。

 この後、ヤマト時代から平安直前までの歴史が繰り広げられるのですが、ここでは割愛。
 関史観と岡田史観を合わせると、いろいろ面白い観点ができるので、好きです。

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コメント

いま、薮田絃一郎著「ヤマト王権の誕生」が密かなブームになっていますが、
それによると大和にヤマト王権が出来た当初は鉄器をもった出雲族により興
されたとの説になっています。
 そうすると、がぜんあの有名な山陰の青銅器時代がおわり日本海沿岸で四隅突出墳丘墓
が作られ鉄器の製造が行われたあたりに感心が行きます。当時は、西谷と
安来-妻木晩田の2大勢力が形成され、そのどちらかがヤマト王権となったと
考えられるのですがどちらなんだろうと思ったりもします。
 西谷は出雲大社に近く、安来は古事記に記されたイザナミの神陵があるので神話との関係にも興味がわいてきます。

 コメントありがとうございます。
 ヤマト以前の出雲時代というのも興味の対象です。
 前漢・後漢のあたりの大陸から列島あたりの歴史がどうなっていたか、とても面白そうです。

 さすがSLD-MAGICが開発された地である。

鋼の原点を尋ねてさん、コメントありがとうございます。

SLD-MAGICって知らなかったのですが、日立金属の特殊鋼なんですね。
安来もそうなのですが、中国山地のあたりは昔から製鉄で有名な地ですね。
地理的にも奥が深そうです。

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