「ローマ亡き後の地中海世界」(上下巻、塩野七生)
本作は「ローマ人の物語」の後日談にあたり、ヴェネツィアを主焦点とした「海の都の物語」の姉妹編になっています。
「海の都」はヴェネツィアを主人公とした著作でしたが、本編は、イタリアはローマにあるヴァチカンを主軸としたキリスト教側を主観測点とし、北アフリカ~メソポタミア~小アジアに至るイスラムの海賊達、サラセン時代からトルコ分艦隊時代まで、を相手側とする、長い長い戦いを描いたものです。
その開始はローマ滅亡後の7世紀、終わりは18世紀のイスラム世界の雄トルコが海賊禁止令を出すまでの千年を超えるというもの。極東では列島では日本建国~江戸幕府、半島では新羅建国~朝鮮国、大陸では大唐が高句麗を滅ぼし、沿海州に渤海が興った時代~大清の時代までに相当します。長いな。
塩野さんの書き振りは、本作でも変わらず。鋭い筆致にキリストでもイスラムでもない視点で切り込めるのは、彼女しかいないんだろうな。
量も多くて、そんなに安くはないですが、まずは必読の書といって良いでしょう。
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