アクトスどうする?(2)
武田のアクトスの問題でもう一つ。
武田のアクトス単剤の特許はもうすぐ切れるので、ジェネリックメーカーが後発品を販売する準備をしています。
ところが武田はこの他にアクトスと他の糖尿病治療薬との組み合わせに関する特許も持っているのです。
これが実は問題をややこしくしている。
アクトスのような糖尿病治療薬は他の糖尿病治療薬と組み合わせて使用される例が多いのだが、果たして、
(1)組み合わせって、単剤同士の併用も入るの?それとも合剤(一つの製剤)だけなの?
という問題が生じている。これに関する特許庁の判断はまだ出ていない。
また、糖尿病治療剤の併用っていうのはかなり昔から知られている(公知)ので、
(2)そもそもこれって有効な特許なの?
という問題もある。これについてはジェネリックが特許庁に無効審判をかけていて、去年一部有効一部無効の審決がでている。ジェネリックも武田もこの審決に不服だったので知財高裁で争うことにしている。
武田はこの組み合わせ特許でジェネリックと交渉して、和解しなかった18社に販売差し止め訴訟をぶつけたわけです。アクトスの市場はでかいのでみんな裁判をやる気満々なんでしょうか。
難しいんですよねこれ。
武田が悪いジェネリックが悪いじゃなくって、どうにかならんのかなこの状態。
意外に思うかもしれないけど、今は後発品問題は黎明期なので、厚生労働省も裁判所も特許庁も統一見解を持ってないみたいなんですよ。
後数年かかる問題なんですね。
ほとんどの人は目が点だと思うけど・・・
武田薬品工業は6月15日、同社の2型糖尿病治療剤「アクトス」(一般名:ピオグリタゾン塩 酸塩)について、6月の薬価収載以降の後発品販売を表明している製薬企業18社に対し、アクトス後発品製剤の製造・販売の差し止め等を求める訴訟および仮 処分命令申立てを、東京および大阪地裁に対して行ったと発表した。
国内のアクトスの物質特許は2011年1月に切れているが、武田薬 品は、アクトスについて、他の経口糖尿病治療薬(α-グルコシダーゼ阻害剤、ビグアナイド系薬剤、グリメピリド)との併用に関する医薬特許を有しており、 アクトス後発品製剤の製造販売は、当該特許を侵害するとしている。そのため同社は、製造承認を取得した製薬企業27社のうち、和解に応じなかった18社に 対し、訴訟を提起したとしている。
アクトスとα-グルコシダーゼ阻害剤との併用に関する特許は、2017年11月、「ビグアナイド系 薬剤、グリメピリド」との併用に関する特許は17年12月まで有効だが、これらの特許に関しては、沢井製薬が2010年5月に、特許庁に無効審判を請求。 その後、前者の組み合わせ特許は有効、後者の組み合わせ特許は、ビグアナイド系薬剤については無効、グリメピリドについては有効、との審決がだされ、双方 が審決を不服として知財高裁に審決取消し訴訟を提起している。
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