冤罪と死刑論議と戯言

さくら	「今回は北海道大学の武田雅哉先生の論文を参考にしています」
しろぎつね	「高校の時仙人になりたいと言ったら進路指導の先生から北海道大学を勧められたそうで」
さくら	「その経歴だけでもびっくりね」
しろぎつね	「さて、清の時代の神仙譚からですね。まず一つ目は清の文人鄭板橋という県知事の話。ものの試しに召使いたちに冤罪を何度も詰問してみたらそのうち皆罪を認めてしまったのです。人は脅されるとやってもない罪を認めるのか、と自分の職責を憂いて官を辞してしまったというもの」
さくら	「もう一つも清の時代の余という裁判官の話です。温厚な彼は殺人事件でなるべく死刑にしなかったのですが、死の間際枕元に被害者の幽霊たちが現れ、死んだ我らのことを軽んじ罪人だけ温情をかけるなんてお恨みいたします、と訴えたので、彼は愕然として後悔し憤死した、と」
しろぎつね	「現代でも通じる話だね」
さくら	「きっと清代よりももっと昔から難問として認識されていたでしょうね。理念だけで片付くはずもないもの」
しろぎつね	「うん。ところでさ、昨日から油揚が無くなったのは私のせいではないと何度も言っているのだが、信じてはくれないだろうか」
さくら	「だってあなた以外に犯人はいないでしょ。他の誰が油揚なんかとっていくのよ」
しろぎつね	「え～、かんべんしてよ・・・」