【しろぎつね仮説】社会と物語
ある社会が共有する物語が、
・他人(他氏族)を信用しない
・他人(他氏族)に手段を問わずともかく勝つことが正義
だったとします。
相手が信用する | 相手が信用しない | |
相手を信用する | 相互信頼 | 相手に信頼してもらう労力 |
相手を信用しない | 相手を確認する労力 | 相互不信、機会の不成立 |
社会の信用度が薄いとさまざまな費用(労力、時間)がかかります。
相手方(通常) | 相手方(無差別) | |
勝ち(通常) | ○ | ☆(正義を主張) |
負け(通常) | ○ | ☆(相手の不正を糾弾) |
勝ち(無差別) | ☆(正義を主張) 嘘をつく |
正義を主張 相互に嘘をつく |
負け(無差別) | ☆相手の不正を糾弾 嘘をつく |
相手の不正を糾弾 相互に嘘をつく |
☆は非対称の場合
無差別に勝利が全ての社会では勝利(勝負自体)が担保されません。
どのような手段であれ、他人(他氏族)に勝ち利を得るのが賢であり他人(他氏族)に騙されるのは愚である、という社会では社会運営の費用(労力、資源、金銭、時間)が余分にかかり、社会に存在する物や制度の正しさが不明な状況になりやすいです。
この社会状況においては他人を説得するというのは非常に困難です。説得する人(甲)がどうあれ受け取る人(乙)は甲の正邪が判断できません。乙は甲を評価する自信がありません。自信がないから安心を欲しがります。
最も消極的には甲の説得を受け入れない行動があります。得られるものはありませんが騙されないし負けないという消極的な利点があります。
あるいは甲に対して担保を要求することにより一定の安心を得るという行動があります。騙されたり負けたりしたとき質により立場を確保することになります。
積極的には甲を支配下に置いて甲の行動を縛り安心を担保するという行動があります。
また、争うとき攻め手は相手方に対し権威を使う傾向が多くなります。自分の価値の底上げでは、立場や経歴の底上げ、自分に高位の支援者がいるという設定の底上げがあります。金銭による底上げは賄賂と呼ばれますね。あるいは相手の価値の引き下げもあります。相手は価値無しとして上位者を要求するものです。いわゆる「社長を出せ」です。
こうした社会は表面的には効率よく経済的に物事が進んでいきますが、裏面では非効率で不経済な残渣がたまっていきます。そして閾値を超えると急激に社会の不具合が表面化します。
社会が共有する物語の効果は巨大です。
また、せっかく良い物語を持っていても社会がその物語を忘れ、活気が失われること古今東西数多くありました。
人類はそれぞれどのような物語を伝えていくことになるのでしょうか。
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