【しろぎつね仮説】金の卵と就職列車と労働移民と
NHKラジオ第2でラジオビジネス塾というのが放送されています。
講師は飯田泰之さん(明治大学准教授)です。
7/3の放送で、「移す、積む、慣れる」というのがありました。
この「移す」というのは、生産性の低い地方から生産性の高い都会へ労働力を移動するという手法で、経済を一気に上昇させることができます。
高度成長期の日本や今の中国がよい例です。
と、ここまでが前段です。
今、産業や経済の世界では労働力不足という認識です。
この不足する労働力を何とかして海外から導入したい。
海外から労働力を移すことで高度成長期のような繁栄を手に入れたい、というのが産業界経済界の夢らしいです。
国内でこれだけ就職難が問題になっているのに、なぜわざわざ海外から人材を入れるのか、その理由がおそらくこの生産性の差ということでしょうか。
生産性の低いところから生産性の高いところに労働力を移すことで経済成長させる。
今度は国境を越えて、夢を再び取り戻したい、というところでしょうか。
ただ、この方式には弱点があります。
まずこの方式の有効性が一世代で終わるということです。
地方から都会へ労働力が供給されます。
都会へ移動した労働力によって次世代労働力が生まれますが、都会で生まれた労働力は、通常それ以上に生産性を上げることができません。
都会の雇用や市場は有限であり、都会の労働力が余剰化していきます。
これが失業や生活保護の原因となっています。
現実の系は有限です。
したがって労働力の移動による経済成長は、自然とこの帰結になります。
ねずみ講が自然と破綻するのを見るとよろしい。
勘の良い人はもうお気づきかと思いますが、そうすると海外労働力移民というのもせいぜい一世代しか有効ではなく、移民労働力の次世代は生産性を上げません。
地方から都会への時と同じく、失業や生活保護を生み出します。
既に海外ではこの状態にあり、大きな社会問題になっています。
もともと移民国家である米国、カナダ、オーストラリアなども有限の問題からは逃げられないでしょう。
今、米国の生活保護は5千万人近く、韓国やスペインの総人口に匹敵します。
超大国にも無限の時間があるわけではありません。
まとめると、労働力の地方から都会への移動は経済成長を引き起こしました。
しかし次世代はそれ以上生産性を上げることができないので、経済は停滞、失業や生活保護の問題が顕現することになります。
次に、労働力の中進国から先進国への移動で経済成長を試みました。
しかし、これも次世代は生産性を上げることができないので経済は停滞、同様に失業や生活保護が問題となります。
精神論で解決できる問題ではありません。
全て予約されている動きなのです。
成長できるのは次世代が労働力となるまでの短期間。
これが理解されないと、どの国も悲しいことになるでしょう。
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