「理不尽な進化 遺伝子と運のあいだ」(吉川浩満)
進化論についてまじめに論じていますが、長い長いエッセイとして読んだ方が良いようです。
筆者もそういっていますし。
422ページの長編で、お値段2200円(税別)。
読むのに骨が折れました。
さて、本書は進化論を扱います。
第一テーマの要点は2つ。
ダーウィンの進化論(ネオダーウィニズム)は科学では評価が確立していて、市井で「ダーウィンの進化論に反対する学者がいる」ということがマスコミで騒がれることがあるけど、それは誤解であるということ。
進化というのは絶滅があってこそで、その絶滅は神がやったのではない(神の関与の否定)、理不尽なものである(自然淘汰説)ということ。
そして第二テーマとして、自然淘汰説がなぜ議論を呼ぶのかということと、社会ダーウィニズムの誤解について説きます。
自然淘汰説は「適者生存」なのですが、これが何故か市井に出ると「優勝劣敗」とか「弱肉強食」になる傾向があります。あるいは目的進化論(ある目的のために進化した)など。
これからの世の中を生きていくためには「進化」が必要だ、留まる者は恐竜の如く絶滅する、などなど。
これは非ダーウィン主義(前ダーウィン主義)というかスペンサー主義というべきもので、科学的なダーウィニズム(ネオダーウィニズム)から見ると似て非なるものだったりします。
進化とか淘汰を謳っておきながら、全然ダーウィン主義じゃない。
なかなか読むのは大変だけど、興味のある人は一度読んでみてね。
以下は本書を読んで思い出したことです。
以前NHKのラジオで聞いたのですが、ツバメは強い個体が先に渡って、縄張りとか伴侶とかより良いものを獲得して子孫を増やしやすくする、そういう選択が働いているのだそうです。
ところがある年、春になって先に渡った強い個体のツバメたちが予想しない急な寒の戻りと降雪に遭い、なんとほとんど全滅。後から渡ってきた弱い個体のツバメが、豊かな縄張りを確保し子孫を増やすことになったという事例があったそうです。
もう一つ余談ですが、作者は確か桜庭一樹と同じ高校の同級生だということが、知り合いの名簿で判明しました。なんで君はそれを持ってたんだ?
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