「封神演戯」(森田季節)
封神演義というと原典の他、安能務の小説とか藤崎竜の漫画とかあります。
ともあれ。
主人公の太公望は引籠りの仕事嫌い、四不像のイラストがほとんどカバ。
口調がどこかで聞いたことあるなと思ったら。
後書きを見たら、藤崎版のオマージュらしいです。
似てるんじゃなくて似せてたのか、この二人。
それで表紙の美少女は誰なんだと思っていたら、楊せんですか。
設定として、この世界では仙骨はまれに女性に現れるもので、男性は滅多にいないという。
これで主人公周りの仙人がほぼ女性であるという理屈になります。
こうして封神演義は無事ライトノベル化され、疑似ハーレムとなったのでした。
ライトノベルなので当然水着回もあります。
設定が結構計算されていると思いますよ。
まあ、元がファンタジーだから融通は利きますが。
しかし楊せんが女性とかいうと、世の二郎真君ファンの女性が嘆くと思うのです。
しかもツンデレヒロイン。
あと妲己討伐というか殷周革命のプロジェクトに太公望が派遣される下りですが、通常は十二使という幹部クラスがリーダーとなって派遣されるのに、位が下の太公望が特例でリーダーとなって派遣されます。
何かで見たな、ものぐさな主人公が才能を見込まれて危ないプロジェクトに派遣される物語。
あれだ、ヤン・ウェンリーが少将に昇進し、司令官として第13艦隊という半個艦隊を率いてイゼルローン攻略を命ぜられた場面に相当しそうだ。
ちなみに同盟軍の十二の艦隊は中将が司令官なので、如何にイレギュラーなのかがわかる。
まあ、原典がそういう話なのだから実際は太公望がヤンの元ネタなんだろうけど。
さらに銀河英雄伝説でもってくれば、金鰲でいきなりクーデターを起こした聞仲。
崑崙と金鰲を自由惑星同盟と銀河帝国に比定すれば、既に聞仲がクーデターを起こしてしまったので、もうここでゴールデンバウム王朝が滅びてローエングラム王朝が開始された感じです。
そう、聞仲はラインハルト的立ち位置に見えます。
病弱だし。
これは原典や安能版にはなかったんじゃないかな。
そうそう、あと妲己。
もともと狐の妖怪って設定だったけど、しっぽもふもふ。
もふもふは最近のトレンドですよね。
元々の封神演義自体伏線がたくさんあるので、どのようにストーリーをなぞるのか、外すのか興味があります。
ポテンシャルはあります。
この実験、うまくいくかどうかはひたすら作者の根性にかかっている気がします。
あと、読者がどれだけ元ネタを知っているかで面白さが変わってきそうですね。
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