「「ドイツ帝国」が世界を破滅させる」(エマニュエル・トッド)
フランス人学者が語る、ドイツとヨーロッパの現状についての本です。
まずは目次から。
1 ドイツがヨーロッパ大陸を牛耳る 2014.8
自ら進んでドイツに隷属するようになったフランス
ウクライナ問題の原因はロシアでなくドイツ
ドイツがヨーロッパ大陸を牛耳る
アメリカとEUの産業上の不均衡
アメリカと「ドイツ帝国」の衝突
2 ロシアを見くびってはいけない 2014.5
3 ウクライナと戦争の誘惑 2014.5
4 ユーロを打ち砕くことができる唯一の国、フランス 2014.6
5 オランドよ、さらば! 銀行に支配されるフランス国家 2013.5
6 ドイツとは何か? 2011.12
7 富裕層に仕える国家 2011.12
8 ユーロが陥落する日 2011.11
ユーロと金融システムでドイツはヨーロッパ大陸をほぼ影響下においていると、まあそういうことです。
統一通貨は各国で独自の金融政策をとるのが難しくて、ドイツのように経済が強い国に引きずられます。
経済が弱い国は経済的な植民地状態にされて、例えばギリシャのように借金漬けになる危険性が高いのです。
ドイツはユーロとこの経済傾斜を利用して経済的隆盛にあるのですね。
日本でも生産地を賃金の安い国や地域に移転してその経済傾斜で利益を確保しようとしているのでよくわかりますね。
ロシアからのガスパイプラインの問題も、ウクライナの問題ではなく終点のドイツが南欧へのガス供給を握っていることが問題だと筆者は言っています。
今ギリシャを通る南ガスパイプラインの計画がありますが、なんとなく今回のギリシャ危機と関係がありそうです。
既にドイツ帝国はアメリカを人口でも経済規模でも超えようとしています。
さらに、ドイツは中国と組もうとしています。
100年前からの構図ですが。
対ロシアのためということもあるでしょう。
アメリカの影響力も落ちてきていることですし。
筆者はロシアが悪の権化というヨーロッパ的見方はしていません。
そんなドイツ帝国に対し、筆者の母国フランスは、ドイツの番頭に成り下がっていると言及しています。
フランスがすることは、ドイツとタフな交渉をすること、銀行の国有化を準備すること、デフォルトの用意を準備することなど。
筆者は言います、私は非常に穏健な考えを非常に過激に表現するのだ、と。
ドイツはどこにいくのか、フランスはどうするのか。
かなり面白い本です。
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