自衛隊や集団自衛権に反対する人は、何のために誰のために反対?
さくら
友達がね、自衛隊は憲法違反だって言い張っているのよ。
確かに憲法第9条には戦力は保持しないって書いてあるんだけど、どうなの?
しろぎつね
まあ、普通はそう思うよなあ。
でも第9条だけ見て鬼の首を取ったように憲法違反を叫ぶのもかっこ悪いかな。
憲法第9条は誰でも知っているが次のとおり。
第九条 |
そして日本国憲法は1947年5月3日に施行。
多分この時点では、字義通りに軍隊を置かないつもりだったんだろうな。
駐留米軍もいるし。
ところがその後の歴史がこうなる。
1950年6月25日 朝鮮戦争勃発。
1950年8月10日 警察予備隊設置。
1951年9月8日 サンフランシスコ講和条約。
1952年4月28日 (旧)日米安保条約。
そして1954年5月1日、日米相互防衛援助協定が結ばれる。
ちょっと前文だけ書いてみる。
日本国政府及びアメリカ合衆国政府は, 国際連合憲章の体制内において,同憲章の目的及び原則を信奉する諸国がその目的及び原則を支持して個別的及び集団的自衛のための効果ある方策を推進する能力を高めるべき自発的措置によつて,国際の平和及び安全保障を育成することを希望し, 千九百五十一年九月八日にサン・フランシスコ市で署名された日本国との平和条約に述べられている日本国が主権国として国際連合憲章第五十一条に掲げる個別的又は集団的自衛の固有の権利を有するとの確信を再確認し, 千九百五十一年九月八日にサン・フランシスコ市で署名された日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約の前文において,日本国が,攻撃的な脅威となり又は国際連合憲章の目的及び原則に従つて平和及び安全保障を増進すること以外に用いられるべき軍備をもつことを常に避けつつ,直接及び間接の侵略に対する自国の防衛のため漸増的に自ら責任を負うことを,アメリカ合衆国が期待して,平和及び安全保障のために暫定措置として若干の自国軍隊を日本国内及びその附近に維持するとある趣旨を想起し, 日本国のための防衛援助計画の策定に当つては経済の安定が日本国の防衛能力の発展のために欠くことができない要素であり,また,日本国の寄与がその経済の一般的な条件及び能力の許す範囲においてのみ行うことができることを承認し, アメリカ合衆国政府が,前記の目的とするところを達成するためアメリカ合衆国による防衛援助の供与を規定する改正後の千九百四十九年の相互防衛援助法及び改正後の千九百五十一年の相互安全保障法を制定したことによりこれらの原則を支持したことを考慮し, その援助の供与を規律する条件を定めることを希望して, 次のとおり協定した。 |
国連憲章第51条のもとに自衛隊が認められている。
素直に考えれば、これが自衛隊の設立根拠だよね。
そして1954年7月1日、自衛隊が発足する。
ご丁寧に個別的又は集団的自衛の固有の権利を有するとの文言付だ。
さくら
え、憲法第9条はどうなったの?
しろぎつね
日米相互防衛援助協定だけだと、ちょっと第9条の立ち位置がわからないよね。
そこで有名な日米安保条約が登場する。
1960年6月23日 日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約 第一条 第二条 第三条 第四条 第五条 第六条 第七条 第八条 第九条 第十条 |
参考までに全部書いたけど、日米安保条約第3条によって自衛隊は憲法上の規定に従うことを条件として維持発展される、すなわち憲法上の規定に従う限り、自衛隊が違憲というのは考えなくていい。
言ってしまえば日米安保条約で憲法9条が上書きされたと考えていいと思う。
外務省の解説も参考として書いておこうか。
<外務省解説>http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/usa/hosho/jyoyaku_k.html |
さくら
じゃあ、なんで憲法違反なんて主張する人がいるの?
しろぎつね
えっとね、これは誰と誰の契約だろう。
さくら
日米安保条約ってことは日本とアメリカの契約だよね。
しろぎつね
そう。日本とアメリカ以外の国には本来関係ない話。
でも、自衛隊の存在とか在日米軍の存在が疎ましい国や人はどうすればいいだろう。
さくら
この契約が無効だと言えばいいっていうこと?
しろぎつね
日本と米国の契約を他人がどうこうは言えないのだけれど、嫌がらせだけならできる。
だから60年安保反対運動があった。
10年存続の際の70年安保反対運動があった。
自衛隊に対する違憲訴訟があった。
在日米軍に対する反対運動は今日続行中。
でも、日本政府とアメリカ政府の間では契約が成立している。
さて、誰が何のために反対しているんだろうね。
さくら
「あっ察し」ってやつ?
しろぎつね
そう。「あっ察し」。
そもそも第9条を改訂したとしても国連憲章があるんだから、自衛隊が防衛主体の組織であることは変わらない。
自衛隊を非難する人は何のために非難しているのだろうね。
いや、誰のためにというべきかな。
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