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2016年4月10日 (日)

読書記録 平成13(西暦2001)年

ホームページがなくなるので、こちらに疎開します。

読書記録 平成13(西暦2001)年

■ 5/31 「東京改都」

 「東京改都」(深川保典著:中公新書ラクレ)という本が出ましたが、なかなか面白いことが書いてありました。 最高裁判所は仙台へ、国連大学本部は広島へ、文部科学省は長野へというのがあって、それぞれ司法、国連、教育というソフトを地方に移譲してしまえ、というものです。(まあ、これだけでは言い方が乱暴なので本を読んだ方がいいでしょう)

 そして、日銀は大阪に移転させてしまえ、と。金融は財政から独立すべきという考え方に立つならば日銀の独立のために首都から遠く離してしまえばいいとのこと。そして何よりも重要な、日銀東京本店よりも日銀大阪支店の方が立派に作られているという動かせない事実 (これは東京遷都の時に大阪の怒りを鎮めるためにわざと立派なのを作ったらしいのですが)。

 この本に書かれていることの半分でも実現すれば面白いことになるのにな。せめて大阪に日銀というのは実現して欲しいものです。箱ものよりソフトですね。

 余録ですが、この本の中には東京と大阪は六・四で競い合ってきた、という書き方をしています。
 引用すると「東京の山手から海沿いにかけて、田園調布があり、東急文化があり、港横浜がある。大阪の場合にも六麓荘(芦屋)があり、阪急文化があり、港神戸がある。 巨人に対抗して阪神が、山手線に対して大阪環状線、銀座通りに対して御堂筋、さらに東京ディズニーランドに対抗して大阪ユニバーサルスタジオ(正しくはユニバーサルスタジオ・ジャパン)、そして富士スピードウェイに対して鈴鹿サーキット。 伝統文化では江戸落語に対して上方落語、江戸相撲に対して大阪相撲、もっとさかのぼれば、江戸歌舞伎に対して上方歌舞伎、更に化政文化に対して元禄文化」だそうです。

 まあ、最後の項目に関してはいろいろ異論があるかもしれません(笑)


■ 6/3 「ホタル」

 土曜日、友人と高倉健主演、降旗康男監督の映画「ホタル」を見てきました。
 ラジオなどで紹介されていますが、とにかく見て下さい。高倉健ファンの私ならずとも外せない映画です。
 内容は多くは語りませんが元特攻隊の男とその妻の心の映画です。台詞が少ないですが、語りかけてくるものは多いです。
 後半になりますが、韓国の俳優・高雪峰さんは一言も発しませんがその画面の中の重みは万言に値します。

 もしこの映画に高倉健の男の悲しさを感じることがあれば「鉄道員(ぽっぽや)」もお薦めします。
 とにかく見て下さい。百万言に勝る重みを感じられます。


■ 7/16 「彼女の持ってる核ボタン 他」

今回から本の紹介もします。初回は2冊。

まず「彼女の持ってる核ボタン」。角川スニーカー文庫から。
14歳の女子中学生が、ひょんな事から悪魔と契約、日本の総理大臣に
彼女の引き起こすハチャメチャと現代社会の風刺の二重奏です。
わりあい楽しく読めました。

次に・・・すみません。題名忘れました・・・
内容はですね、国土交通大臣が災害派遣の自衛隊の一部と被災者とともに疑似過去の日本へ飛ばされてしまうというもの。
かなり下火になってしまった架空戦記本ですが、
扇千景氏をそのままにした(名前を変えただけです)女性大臣が出ます。
扇大臣のファン必見です(笑)。


■ 7/20 「千と千尋の神隠し」

今日公開初日でしたので見てきました。
それにしてもすごい人数でした。次の回とその次の回立ち見で次の次の回しか無かったし。

内容はいかにも宮崎駿の映画って感じでした。
いつもながらすべてのシーンを無駄なく使っています。
ある人に言わせれば説教親父と言うらしいですが(笑)

でも良かったですよ。まだの方は是非見て下さい。
作り方が相変わらずうまいなあと思いました。

今回でまたまた最後と言っていましたがまた作ると思います。
前回もそう確信しましたもの(笑)


■ 8/9 「週刊ダイアモンド より」

 今週号の週刊ダイアモンド、特集は「ニッポン全693都市ランキング」。ベストシティー
第一位は東京都千代田区でした。他にも5位まで中央区、港区、渋谷区、文京区
いう風に快適性と経済力に優れた都市が選ばれています。

 さて、特集のもう一つは全国の自治体の数を3300から1000に削減するのを目標とした
「平成の大合併」に関する話題。この中で鳥取県が全県を東部の鳥取市、中部の倉吉市、
西部の米子市の三市に大統合する案があるというのが出ていました。

 すごいのですが、更にすごいことが。実はこの三市ですが人口はそれぞれ24万、11万、
24万という数なのです。そう、三市合わせても(要するに全県合わせても)61万人。全国
レベルでは20位の岡山市と21位の江戸川区の間に位置するのです。

 この前さいたま市が誕生しましたが人口は100万人。えらい差がある話ですね。


■ 8/18 「グイン・サーガ」

 今回はグイン・サーガ(80)「ヤーンの翼」です。グイン・サーガは現在二ヶ月に一冊の
ペースで出ています。少し前には外伝と合わせて一ヶ月に一冊のペースで出ていたので
月刊グイン・サーガと言われていましたが。

 作者の栗本薫氏は筆が早いことが知られていて、これ程量産できる人は森博嗣氏くらい
しかいないのではないかと。

 まあ誰が名付けたか自動書記ですから森さんとは比較できないのですが。


■ 8/19 「岳飛伝」

 続いて田中芳樹氏の「岳飛伝(3)精忠岳家軍ノ巻」です。

 田中氏と言えば銀河英雄伝説で有名ですが、中国ものの方が好きなようで最近はこちらの
方が多くなっています。

 昨日あげた栗本氏や森氏と対極的に田中氏は遅筆で有名で、現在シリーズが途中で止まっ
ているものとして「アルスラーン戦記」「創竜伝」「タイタニア」などがあります。
 宿題が貯まっているにも関わらず、中国ものや「薬師寺涼子シリーズ」に注力している様子で、
ファンは困っているでしょうねえ。


■ 9/1 「ギャラクシー・クエスト」

 最近レンタルビデオに当たりはなかったのですが、今日借りてきたのは面白かった。
 「ギャラクシー・クエスト」というビデオで、新作料金設定だったから最近出てきた作品
だとは思いますが、映画館でやっていたかどうかは知りません。

 思いっきりB級SFですがつぼにはまってしまいました。
 内容は、スタートレックのもじりだと思われますがギャラクシークエストという番組の
出演者が、それを偶然見ていた宇宙人の依頼をドラマの出演依頼だと勘違いして受けてし
まいます。番組を見ていた宇宙人が番組そっくりの本物の宇宙船(エンタープライズ号に
何となく似て無くもない)を作ってしまっていて、勢いでその艦長およびクルーになって
しまいました。
 しかし何と言っても星間戦争ですし、相手は極悪宇宙人です(笑)
 俳優の彼らが無事戦争を解決して、地球に帰ることができるのでしょうか?
 という作品です。

 随所にギャグというのか通な場面が組み込まれていて、勢いで最後まで見てしまいました。
 これは結構お薦めかもしれません。


■ 9/3 「でたまか」

 今回は「アウトニア王国奮戦記3・でたまか・純情可憐編」(鷹見一幸著、角川スニー
カー文庫)です。

 これが3巻目ですが1巻からのあらすじは、人類宇宙が二つの勢力に分かれて争ってい
て、その一方である帝国の下級貴族として生まれた主人公が皇族のぼんぼんに士官学校の
実技試験で勝ってしまったため、アウトニア王国という辺境惑星に島流しになります。
 そこで、アウトニアの王女をはじめとする様々な人との出会いが軽妙なテンポで描かれ
ます。
 しかしその時、戦争相手の宗教帝国が本気でアウトニアに侵攻を開始。
 さて主人公は無事アウトニアと王女を守ることができるのか、というものです。

 1巻、2巻と良いところで切るので非常にやきもきさせられますが、この3巻でもこれ
からというところで終わっています。「第一部・完」ということですが非常にずるい作品
ですね(笑)

 少年少女向けの作品としてとても素直に作られている作品で、銀河英雄伝説よりはタイ
ラーに近いと思います。
 一服の清涼剤の様な作品と言いたいのですが、次の展開がとても気になってしまうとい
うところが難点でしょうか(笑)

 私としてはお薦めですけどねえ。


■ 9/5 「アクアマリン」

 この前CDを手に入れました。
 アクアマリンというユニットのアルバム「天の川のひとしずく」です。

 このアクアマリンはキーボードのミマス氏(作詞作曲も)とヴォーカルのSachiko嬢
二人組です。曲はとても懐かしい感じで、素敵ですね。
 このCDは実は店頭発売してなくて、ネットか通販を使って手に入れる必要があります。

 アクアマリンの公式サイトはここです。
 サイトの方もきれいです。

 星空の余り見えない都会の夜でも星の唄を聞くとほっとしますね。


■ 9/16 「岳飛伝」

 今回紹介する本は、岳飛伝(四)・天日昭昭ノ巻(田中芳樹、中央公論社)です。
 この巻で岳飛伝は終わりです。

 

岳飛というのは宋の時代の人で中国史上最高の英雄です。
 日本で有名なのは三國時代の諸葛亮とか関羽とかあたりだと思いますが、
中国では圧倒的に一位です。

 宋が金国に連戦連敗で首都の開封を叩き出されていた頃、岳飛という名将が出現しました。
それまでの敗勢は一気に覆り、連戦連勝。ほぼ黄河の北の辺りまで押し返したのです。

 ところがその同時期、秦檜という大臣が金国と裏取引をします。
 秦檜は邪魔な岳飛を無実の罪で捕らえ、殺してしまいます。

 宋の実権は秦檜に完全に握られます。宋は金国に対して和平という名の服従を
することとなり、岳飛は和平を乱したものとして名誉をすべて剥奪されました。
 そして秦檜が死ぬまで宋は恐怖が支配していました。

 岳飛の名誉が回復されたのは秦檜の死後でした。
 そして現在、中国史上最大の英雄は岳飛であり、最大の奸臣は秦檜なのです。

 岳飛伝はこの時代の正確な記述ではありません。しかし三國志の様に人々の記憶に残る
有名なお話です。
 四巻で8千円近くするというのが最大の難点ですが、面白い本です。
 機会があったら是非読んでみて下さい。


■ 9/17 「インターネット的」

 ”ほぼ日刊イトイ新聞”でおなじみの糸井重里さんの著書です。(PHP新書)
 インターネットと「インターネット的」の差は、例えばインターネットを
”自動車と道路のセット”、インターネット的をモータリゼーションと捉えるとよい、
ということです。

 さすがに物書き(コピーライターとしての方が有名でしょうか?)の人だけあって
読んでいてとてもすっと入りますね。

 この本の中で一番印象に残ったのは「正直は最大の戦略である」という山岸俊男さん
(社会心理学者)の言葉を引用したところでしょうか。
 ”勝てば官軍”というのは現代では真理のように喧伝されているけど、
実はそんなことはないのだと。

「無理に他人をだましたりしなくてもいいし、好き好んで善人であろうとして不自然な
ガマンをしなくていい」(以上引用)

というくだりは、読んでいてとても気分の良いものでした。
 この山岸さんの研究が”ほぼ日”につながった、と書いておられます。

 その他いろいろ読み応えのあるところがあります。
 本当に読んでいてワクワクする、救われる気持ちがする、というのを久しぶりに感じた
一冊でした。
 これは是非読まれることをお薦めします。


■ 10/3(水) 「世界がわかる宗教社会学入門」

 東工大の橋爪大三郎先生の本です(筑摩書房)。
 今、中東とか宗教関連が書店の棚を賑わせていますが、
これは東工大での講義に基づいて書かれています。
 学部の二年生向けということなので、高校生レベルの知識で十分読めます。
 今現在、宗教学の入門書としては一等優れていると思います。
「日本の学生は宗教についての知識があまりにも不足している」
とあとがきで書かれていますが、大人こそこういった知識が必要ではないでしょうか。
 まあこのご時世だからという訳ではないですが、必読の書だと思います。


■ 10/13(土) 「グイン・サーガ」

 ご存じ栗本薫氏の長編シリーズものです。
 第81巻ですが、最近は隔月刊ペースですね。
 しかし、あとがきにも書いていますがこの方のバックアップ狂はすごいですね。
 フロッピーに、CD-ROMに、旦那さんのPCに、事務所にと最低4部ですか。
 まあ、プロはここまでやらないと安心できないのでしょうね。


■ 10/18(木) 「民主主義とは何なのか」

 著者は長谷川三千子さん(埼玉大学教授)。文春新書から先月出た本です。

 言ってしまえば、如何に「民主主義」や「人権」という言葉は
いかがわしいものであるか、というのが主張です。
 如何に「日本では本当の民主主義が育っていない」とか「人権は守らなければならない」
とかいう台詞が間違っているか、端的に指摘してあります。

 「民主主義」というのは原義的には「多数支配」ということで、
少数派は必ず多数派に従わなければならないということだったりします。
 大勢の意見というのは必ずしも正しいとは限らない(正しくない場合の方が多い)もの。
 また、「人権」の本来の姿には「他人の生命、財産、自由を奪う権利」も含まれていて
決して薔薇色の単語ではなかったりします。
 要するに現代の日本では本当の意味での民主主義と人権が実行されているのですね。

 良いことを言っていると思うのだけど、「民主主義者」とか「人権擁護者」には
嫌われるかも。


■ 10/23(火) 「政治の教室」

  橋爪大三郎氏(東工大教授)の著書です。PHP新書の今月の新刊です。
 この前民主主義についてちょっと書きましたが、その民主主義をうまく運営する方法と
政治の理想型みたいなものについて書いてあります。

 それはともかく、日本がアメリカの属国である理屈と、憲法改定に絶対反対の人は
思いっきり勘違いしているか何か変な事を考えているのではないか、ということを
さらっと言っています。
 ちゃんとした学者が言うとちゃんと聞こえますね、やっぱり。
 あと、政治には金をかけなければいけない。
 政治は金がかかるもので、金をかけないとそれなりの政治しかできない
と喝破しています。

 最後に著者が薦める草の根民主主義の手法が書いてありますが、
これは結構理想論が入っています。
 できると良いですがなかなか難しいでしょう。

 政治を考える人にとっては教科書になるでしょうし、
そうでない人にもよい読み物になると思います。


■ 11/6(火) 「ニュースの職人」

 鳥越俊太郎さんの著書です(PHP新書)。
 この本は鳥越さんの自叙伝みたいなものでしょうか。
 鳥越さんのニュースに対する姿勢がよくわかります。

 鳥越さんは「ほぼ日刊イトイ新聞」にニュースコラムを連載中。
 そのニュースに対する視点は面白いです。
 最近こういったニュースに対する意見を聞くことができるのはうれしいですね。
 他によみうりテレビの辛坊さんもなかなかのコメンテーターだと思います。

 マスコミが良い意味で発展していけば良いですね。


■ 11/11(日) 「情報文明の日本モデル」

 著者は坂村健氏(東京大教授)。PHP新書今月の新刊です。
 TRONというのをご存じでしょうか。
 今や世界で最も使われている組込型OSです。
 携帯から自動車までほとんどの家電がTRONで動いていると言ってもいいくらい。
 日本出身のOSとしては成功した部類でしょう。
 ただ、WINDOWSに相当する超漢字(旧名BTRON)はあんまり普及してないですが。
 現在のIT事情に関する考察と将来像に関してまとまった内容を持つ本です。
 ネットサーフィンをしているここの読み手の方には既知の事ばかりでしょうが、
知識を整理したい人にはお勧めですね。


■ 11/12(月) 「戦争論2」

 漫画家の小林よしのり氏の作品。幻冬社から先月末に出た本です。
 小林氏は分類はギャグ漫画家なのですが不思議な人です。
 というのもギャグ漫画家というのは、赤塚不二夫、鴨川つばめ、内崎まさとし、
山上たつひこ等、連載途中で精神がぼろぼろになって二度と立ち上がれなくなったり、
復活に時間がかかったりするものなのですが、この人は違います。
 プライバシーを暴かれようが、オウムに殺されそうになろうが、
市民団体からバッシングをされようが漫画を描き続ける。
 並大抵の精神の持ち主ではないようです。

 本の内容ですが、別に普通の事を言っているだけです。
 この本が読めるかどうかは、漫画が読めるかどうか、小林氏の表現が好きかどうかです。
 ちなみに私は読めました。

 この本を読むと70代以上の老人にとって現在の日本は守る価値もない国に
変わってしまったのだろうな、という気がします。
 そうした寂しさが伝わってくる本かもしれません。

 昭和50年代までは別にこんな本を書く必要は無かったのでしょうが。
 昭和60年代以降日本は変わってしまったということでしょうか。
 ちょうど今の70代の人が現役を引退した頃に符合するのが印象に残ります。

 老人と青少年は必読の本でしょう。
 それ以外の方は読んでも理解できないかもしれないので敢えて薦めません。
 こう書くとやっぱり寂しさが出てしまいますね。


■ 11/17(土) 「そして二人だけになった」

 著者は国立某大学工学部助教授の森博嗣氏、講談社ノベルスの今月の新刊。
 この本は一昨年の6月に新潮社からハードカバーで出版されていましたので
新書版化したというのがよろしいのでしょうか。
 いわゆるS&MシリーズやVシリーズとは違う独立した世界です。

 盲目の天才科学者とそのアシスタントが時系列順に交互に語り合う形式を
取っていますが、その間にいろいろな風景が流れます。
 それが伏線になっているのか、過去の説明なのか容易にはわかりません。
 しかも最後まで読まないと絶対にわかりません。
 読んだ後で、結局誰が真実を語っているのだろうと混乱すること必至です。
 副題の Until Death Do Us Part も意味深でよろしい。

 ハードカバー版よりは安いですが、それでも税抜きで980円しますし、
365ページもありますから読むのが大変です。
 もっとも、「有限と微少のパン」という新書版のくせに税抜き1200円で604ページ
という巨編もあるのでそれに比べたら短いと著者なら言うでしょうが。

 ミステリィものは全く読まなかった私ですが、森氏の作品は面白いです。
 お薦めの一冊ですね。


■ 11/24(土) 「クロスカディア」

 副題~月メグル地ノ来訪者タチ~
 富士見ファンタジア文庫の今月の新刊です。
 著者は神坂一、「スレイヤーズ」でいきなり人気が爆発した人です。

 5つの月がある惑星クロスカディア。
 そこでは律解術(クランブル)と呼ばれる魔法と科学が不思議に融合したものが
使われていた。
 主人公のもとに現れる謎の少女、そして事件に巻き込まれてゆく。
 敵は強い、果たして主人公達の運命は。
 といった風な物語。

 話のテンポが良いことと、主人公とその取り巻きの会話の掛け合いの妙な面白さが
人気のもとだと思います。
 作者は兵庫県産ですから、関西の掛け合いのノリがそのまま出ているとも言えるかも。


■ 12/2(日) 「ハリー・ポッター」

 原作があまりに有名で、前評判も良いことから混雑が予想されましたが、
土曜日は混んでいましたね。
 日曜日は少し早めに行動を起こしたので見ることができました。

 私は原作を読んでいないのですが、なかなか面白い作りですね。
 主人公が11歳の男の子であり、夢と冒険と勇気と友情という黄金パターンを
使用していて、さらに魔法と魔法学校が舞台であるという。
 設定からして恵まれてますね。

 2時間半という、どちらかというと長尺の映画なのですが、
テンポがかなり良く飽きさせません。
 映像の処理もうまいです。
 CGとか特殊撮影とか駆使しているはずですが、かなり自然に見ることができます。

 やっぱり技術で見せるのではなく、内容で見せなければならないと。
 そういうことがわかる作品ですね。

 最近、評判倒れの大作が続出していたのですが、久しぶりに見て良い映画でした。


■ 12/8(土) 「真・無責任艦長タイラー」

 作者は吉岡平(ひとし)氏(岡山県産)。ファミ通文庫。
 「無責任艦長タイラー」のリメイク版で、現在5巻まで出ています。

 前作のタイラーは単なる強運のある意味能天気(脳天気?)な人物に
描かれていましたが、今回はジャニーズ系のハンサムな味のある青年になっています。
 まあ、アニメ版の影響も大きいかもしれません。
 10年前と違ってかなり人物描写とか書き込まれています。
 おかげで巻数が増加しています。

 前作も中高生あたりをターゲットにしていたと思いますが、
最近の中高生の意識の変化を導入し、タイラーとユリコの描写も今風です。
 さらに男×男の組み合わせも書き込まれてますし(要するにヤオイものか)。
 ほとんど女子の読者へのサービスだそうです。

 作者のあとがきを見るにつけ、10年間の時代の変化を感じることができますね。


■ 12/12(水) 「グイン・サーガ」

 栗本薫氏著・グイン・サーガ82「アウラの選択」。
 ハヤカワ文庫の今月の新刊です。

 しかし82巻ですか、すごいですね。
 今回はグイン、レムス、リンダが出ています。
 新たな展開が始まるところでしょうか。
 著者本人もこれからいよいよ話が展開する、という感慨をもっているくらいですから。

 それにしても最終巻は100巻で題名は「豹頭王の花嫁」というのは決まっていますが、
もう100巻でこの話を納めるのは無理ですね。
 著者も諦めているみたいです(苦笑)

 今回の題名にもある「アウラ」ですが、この豹頭王の花嫁とはいったい誰になるのか、
果たしてもう出てきている人物なのか、謎は深まります。


■ 12/13(木) 「女王の百年密室」

 森博嗣氏の昨年7月に出版されたハードカバーを新書版にしたものです。幻冬舎。
 副題は「GOD SAVE THE QUEEN」。

 旅行中に迷ってしまったサエバ・ミチルが迷い込んだ不思議な街。
 ルナティック・シティーは女王が治める死の訪れない街であった。
 そこで起こった殺人事件。
 しかし、その街には死の概念がない。
 真実はどこにあるのか。
 真実はどこにもないのか。

 森氏の文章は詩的です。
 というか、詩の表現が随所にちりばめられていますが。
 淡々と語られる、その表現に皆引き込まれていくのでしょうか。

 シリーズ外作品の中でもちょっと異色な味がします。


■ 12/18(火) 「ガリヴァ旅行記」

 GULLIVER'S TRAVELS、Jonathan Swift著、中野好夫訳。(昭和26年)
 有名なのでほとんど説明の必要もないでしょう。

 知る人ぞ知る、滅茶苦茶な本です。
 第一篇・小人国、第二篇・大人国、第三篇・ラピュタ他、第四篇・フウイヌム国。
 最初の2つはあまりにも有名ですし、3つ目は宮崎アニメでちょっと有名かも。

 こいつはまったく読むと本当に疲れる本です。
 旅行記の名を借りて、言いたい放題人間の悪い面を書き連ねています。
 話が進むたびに、書き方が辛辣になっています。
 特に最後の篇は読んでいていたたまれない程です。
 スイフト自身、とても世の中に対して辛辣な見方を持っていたらしいのですが、
それ以上に精神をだんだん病んでいく様子が、作品に現れているのが凄いかも。

 訳者の中野氏もすさまじいあとがきを書いています。
 そのあとがきの中に、夏目漱石がこの本を「不愉快」と表現したことが
書かれていますが、けっこうこの本でダメージを受けたようです。
 ひょっとしたら漱石の精神の陰と「吾輩は猫である」の原点は
このガリヴァ旅行記にあるのかもしれません。

 こわい本だわ。


■ 12/22(土) 「スレイヤーズすぺしゃる 18」

 神坂一著、富士見ファンタジア文庫。
 「跡継騒動 森林レンジャー」

 スレイヤーズは富士見書房のファンタジア長編小説大賞で
第一回準入選になった作品です。
 神坂氏は以降次々作品を出し、どれもが結構売れています。

 作品のノリは吉本新喜劇風と言ってしまってよいでしょう。
 本編では最後の方がシリアスになっているのですが、外伝シリーズである
すぺしゃるの方は全部ギャグです。

 馬鹿馬鹿しい話で一種の脱力感を感じたい人にはお薦め。


■ 12/23(日) 「それゆけ!宇宙戦艦ヤマモト・ヨーコ」

 庄司卓氏著、富士見ファンタジア文庫。
 本編12冊、外伝10冊からなるシリーズものです。
 今回のは外伝ですが、これにあと本編が最低2冊加わるらしい。

 運動神経抜群成績優秀なゲーム好きの女子高生が、未来世界で宇宙戦艦を操り
星間戦争を繰り広げる物語、って文章で書くときてますね。
 さすがにこの説明だけで読もうとは思いませんし、作品が目に付いてから
実際に手にとって読むまで2年くらいはあったような気がします。

 昨日のファンタジー小説にも重なりますが、こういった中高生向きの本が
読んでいて面白いのは、まず作者の年代が自分と近いからです。
 話の展開はともかく、ちょこっと混ぜられているエピソードなんかは
中高生よりも我々の年代の方が良く理解できるかな、というところもあり。

 まあ、こういった本は頭を使って読むものではないことは確か。
 昨日の作者が関西のノリで書いているとすると、こちらは東京って感じですね。

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