読書記録 平成17(西暦2005)年
ホームページからの疎開 その5
読書記録 平成17(西暦2005)年
(塩野七生著、新潮社)
三世紀の終わりから四世紀の始めあたりのローマ帝国の様子です
ディオクレティアヌスとそれに続くコンスタンティヌスの時代
強くなってゆく蛮族の侵攻は、ローマを次第に変えてゆきます
それまで中流が中心だったローマ
効率を上げるため皇帝独裁の方向へローマは舵を切ります
そしてコンスタンティヌスが利用したのは、あのキリスト教でした
ローマはどこへ行くのか
(鷹見一幸著、角川スニーカー文庫)
320億人を犠牲にした起死回生のエイリアンへの対抗策
果たして人類は勝利をつかむ事が出来るのか
今回はいろんな意味で大変でしたな
後本編外伝とも一冊ずつです
(石井一著、自由国民社)
大阪国際空港を副首都に
京阪神地区では、大阪国際空港(伊丹空港)、関西国際空港に続き、2006年2月に神戸空港が開港します
神戸空港に関しては、関西に3つも空港は要らないとかいろいろ言われ、反対運動も凄まじかった
しかし、大阪国際空港は”国際”とは名が付いているが、国際便は飛んでない、貨物便も飛んでない、
おまけに騒音対策で夜間は飛べないと、はっきり言って欠陥空港なのです
実際、関西国際空港や神戸空港を作った後は伊丹にある大阪国際空港は廃止になることになっていて、
住民も騒音問題でそれを望んでいたのに、いざ関西国際空港ができてみると、地元の経済が不振になるとの観測が働いて、
残してくれということになってしまったわけです
最近大阪国際空港を第一種空港から格下げして国の管理から外し、騒音対策費を乗客から徴収するという
摩訶不思議な事態になっているのです
一方、東京はいつ巨大地震に襲われても不思議ではないと言われています
東京が地震で機能不全に陥ると、日本の国家機能が麻痺してしまう。のみならず、経済にも巨大な悪影響が出てしまい、
下手すると世界経済にまで悪影響を与えるかもしれない。これは911でNYの機能が麻痺したのを見ても絵空事ではないのです
歴史的にも、1923年の大正関東大震災から日本は最後まで回復することができず、軍事国家となり、1945年の敗戦まで
続いたのです
このため、危機管理としていろいろ取りざたされているが、東京への一極集中はなんともまずい
今はバックアップがなくてクラッシュすれば馬鹿にされる世の中ですが、日本はそんな状況なのです
首都のバックアップ都市は是非とも必要でしょう
そういった事を考えると、大阪国際空港を廃止して副首都を建設するという案は、非常に興味深い
騒音対策が不要になる。ほとんど国有地なので極端なことを言うと明日からでも着工できるし、
何よりも土地代が要らない。緑地を十分確保すれば、現在の騒音や排気ガスを出す空港に比べて環境に多大な貢献ができる。
交通整備がほとんど不要。京阪神都市に近いのでいろいろサポートが可能。関西の経済には文句なしの起爆剤。
少し考えただけでも、これだけのメリットがあるのです
今は大阪空港も使っている人が多いので本気で考える人は少ないでしょうが、神戸空港が来年開港して
大阪空港の重要度が下がってくると、皆の意識も変わってくるのでは、と思います
もう京阪神は東京を見ずに、世界を見ていくべき時期でしょう
伊丹に今の上海を凌駕する程の成長センターができるというイメージにわくわくしませんか
もう、是非とも実現して欲しい話です
著者は衆議院議員の石井氏。ダッカのハイジャック事件を担当し、阪神淡路大震災に遭い、 日本の危機にあっていろいろな経験を積んできた人です。自民党から別れ民主党の重鎮となっているようです
(矢田浩著、講談社現代新書)
鉄を科学・物理・生物・地学の全てから見てみると非常に面白い
生命が生まれた理由、人類の歴史が発展して来た理由がとても良くわかります
昔、森を復活させると下流の先の海の魚が復活するという話がありましたが、これも鉄のなせる業だったのですね
二酸化炭素を減少させる方法の一つに、海に鉄を撒くというものも
環境保護団体との戦いになりそうですが、いい勝負になるかも
地球環境の変化が鉄で語ることができるみたいでとても面白いです
(柳下公一著、日経ビジネス人文庫)
二十世紀末一世を風靡した成果主義ですが、富士通本に見られる様に日本には
合わないのではないかという疑問の声がたくさん上がっています
そんな中で、武田は成功した方だと自賛しているのですが、どうでしょう
小生のところの部長氏も、武田がこのままうまくいくかどうか疑問視してますし、
実際武田から切り離され千葉に転勤になってしまった小生の友人からは
従業員がどんな扱いを受けていたかいろいろ聞きました
著者は営業から人事畑に行った人の様ですが、労働組合や社員の本音が見えているのかいないのか
十年後の日本の主流がどうなっているか、ある意味楽しみです
成果主義は残らないと思うけど
(桃白歩実著、寺子屋新書)
関西弁で漢詩
このコンセプトにはぶったまげましたが、なかなか
味わい深いものです
さすがや、関西人
(夢枕獏著、文春文庫)
安倍晴明とその周りにいる人間たち
いい味を出しているのですね
人の世の哀しさが、とても愛しいものに思えてくるから不思議です
訳知る男たちの物語と言いましょうか
今回は女も出てきます
夢枕獏の描く晴明は、奥が深く感じられます
(東京大学地球惑星システム科学講座編、東京大学出版会)
太陽系の起源から現在の地球温暖化の状況まで一冊の本に纏めるとこんな感じになります
20世紀末から次第に太陽系の歴史や地球の歴史、生物史などが明らかになってきました
これまでの学問の集積が一気に花開いた感じがします
子供の頃に読んだ仮説もわくわくしたものですが、現在明らかになっている太陽系史、
地球史、生物史はさらにわくわくします
この先もっと解明されていくと思います
科学って偉大ですね
(チョ・ヨンナム著、ランダムハウス講談社)
書店を眺めていて、あまりに面白いタイトルだったので買ってしまいました
この芸人さん面白いです
ギャグでもこんな題名を付けれるのはさすが
韓国にもこんなギャグメーカーがいたんですねぇ
わりと感心
(神坂一著、富士見ファンタジア文庫)
ギャグとシリアスの融合が得意な作者
今回も面白い話を作ってくれました
こういったお気楽に読めるファンタジーってのもいいものです
あんまり真面目じゃないけど、そこは大人の余裕で
(ジャン=ピエール・ヴェルデ著、荒俣宏監修、創元社)
天文・気象に関する昔話を集めたものといいましょうか
天文気象現象を昔の人がどう捉えていたかを探れる資料集です
昔の人が全きにこう信じていたとは言えない面もありますが
とりあえず当時はこう説明されていたのです、という感じです
(F.W.ニーチェ著、適菜収訳、講談社+α新書)
私はニーチェにはとんと疎かったのですが、これを読んですごいと思いました
ヨーロッパでキリスト教批判というのは、この前の韓国の人が親日宣言したと同じくらいすごいです
キリスト教は弱者の宗教で、人間を愚かにするとの指摘は凄まじい
仏教とかマニ教とかの自然性を尊んでいるのが目に付きます
とはいえ、この本は「超訳」です
ニュアンスが合っているかどうか疑問は残ります
とはいえ、ぐっとわかりやすくなっています
イエスはこんな教えを説かなかった、パウロやその後輩たちがゆがんだキリスト教を
発明したとの指摘はさすが
科学と相容れないキリスト教の姿は、我々非キリスト教徒の目から見るとある意味滑稽に見えます
処女懐胎、死者の復活を教義の中心に置いていたら、そりゃ駄目でしょう
この本を読むまではわりとキリスト教に好意的だったのですが、こうした指摘を見ると
あまり好意的にもなれません
まさにお釈迦様とニーチェとイエスはわが友、パウロと孔子はわが悲しみ、という感じでしょうか
現代にもう一度人間復興が欲しいところです
(B.R.アンベードカル著、山際素男訳、光文社新書)
ブッダの生涯とその教えについて、ブッダ生誕2500年後に著したものです
著者アンベードカルはインドの不可触民として生を受け、様々な差別の中にあって
大勉強の末、大英帝国で経済学博士と弁護士の資格を取ります
その後不可触民カーストの解放を掲げ、政治活動に邁進します
インド独立の父ガンジーとは不可触民の扱いを巡って対立しました
第二次世界大戦後ネルー首相に招かれ、法務大臣としてインド憲法の制定に尽力します
この間アンベードカルは不可触民制度の源泉たるヒンズー教を破棄しています
そしてインドでの仏教復活を試み本書を著しますが、ブッダ生誕2500年の西暦1956年、
その65年の生を終えてしまいました
既存の仏教では、成仏思想、往生思想、輪廻思想がありますが、この本にはありません
ブッダの言う「再生」とは例えば人間が死んだら土に還り、再び動植物の体の一部
となろうということ、「業」は輪廻思想では前世・現世・来世の中で語られるが、ブッダは
霊魂思想を排除し、両親からの遺伝のことを言ったのではないか、輪廻思想はバラモン教の
ものが誤って伝わったのだろうということを著者は語っています
その他四門出遊を採用していないとかいろいろありますが、こうした態度が従来の仏教
と違うということで大乗・小乗の仏教の人々には受け入れられず、新仏教とかアンベードカル
乗とか呼ばれています
しかし、著者の尽力でインドの仏教徒は億の単位になろうとしています
こうした仏教の捉え方は、科学的で好ましいと思われるのです
たとえ既存の仏教とは異なっていても、ブッダが今の世に在ればおそらく科学的に
説いただろうと想像できます
仏教は虚学ではなく実学なのですから
科学者としてはアンベードカルに一票入れたいと思います
著者が1956年に没した後、その遺志を継いでインド仏教復興に尽力しているのが
日本人僧侶であることに非常に驚きましたが、その佐々井師というのが私の地元の出身で
あると聞いて二度驚きました
こういうのを縁というのでしょうが、これ位なら非科学的であってもうれしく感じます
(鷹見一幸著、スニーカー文庫)
でたまか本編を補完する外伝という意味合いの拾遺録です
それぞれの登場人物に的を絞った物語です
各人が味がある人なので、外伝として読むと本編がより楽しくなるかも
ほっとしたり、寂しかったり、いろいろな感情がでてきますね
著者紹介を見て気になったのですが、作者が疲れてきたということなのかな
完結まであとすこし。がんばってください
(小川一水著、ハヤカワ文庫)
惑星統一を果たした帝国の首都を激震が襲う
国家機能がほとんど壊滅した状況で、生き残った人々がたどる運命はどうなるのか
そして、他の星間国家の動きは震災後の惑星にどんな影響を与えるのか
関東大震災とか阪神大震災をSFに仕立て上げた強者です
ハードSFに近い作品になっています
途中まではほとんど救いがなくなるような展開で、読んでいて辛い感じがしたのですが、
最後で何とか救われるような気がします
人によったら、デウスエクスマキナ、機械仕掛けの神、と感じるかもしれませんが
こんなに筆力がある作者にめぐり逢ったのも久しぶりな気がします
三巻完結なので長いですが、読み応えはあります
おすすめの小説です
(谷甲州著、ハヤカワ文庫)
航空宇宙軍史で日本SFに一つの領域を生み出した谷甲州の短編集
谷さんらしいハードSFに加えて、谷さんお得意の馬鹿SFも二編あります
困難に挫けずに突き進む主人公たちと、もたらされる意外な結末
谷甲州の作品のスケールは一千年、一万年あるいはそれ以上のものなのです
SF好きにはお勧め
(飛浩隆著、ハヤカワ文庫)
この人の作品を読んだのは初めてですが、何と言うか不思議な作品です
短編の4編は、どれも読んでいるとジェットコースターに乗っている様な感覚になります
例えれば、最初地球上にいるはずだったのに気が付けば月面上にいるような、
そんな気持ちにさせられます
言葉の魔法使いと言いましょうか、なんとも表現のしがたい作品です
(松浦晋也著、エクスナレッジ)
スペースシャトルは宇宙開発のスターとして華々しくデビューしたものの、その実は
大いなる器用貧乏な欠陥品であった。そのため、世界中がそれに引きずられてしまい、
巨大な予算にも関わらず宇宙開発は停滞してしまった
まとめるとそんな感じです
自分もスペースシャトルは最新の技術が駆使された傑作であると
わりと信じていた口なので何も言えませんが、この本を読むと
もうちょっと何とかならんかなと思ってしまいますね
科学技術は政治の制約をいろいろ受けてしまうので、辛いところですね
日本も含め、世界中がもう一度宇宙開発に真剣な目を向けてくれると良いのですが
良い方向に転がることを期待します
(香山リカ著、講談社現代新書)
精神科医の目から見た心に病を抱えた人の考察です。常に不安、自傷、薬物、自分探しなど
の例を出しながら、境界例患者についての話題を綴っています
この中で特に興味を引いたのが、ネット上で別人格を演じる、例えばネカマなどが
挙げられますが、そういうことをしていると、段々多重人格っぽくなる例があるというもの。
世の中にネット上で別人格を演じる人は多いみたいですが、そんな効用というか副作用
というか、あるのですね
(日下公人著、ビジネス社)
日下さんはいつも面白い本を書きます
この本も面白いのですが、10年前の著書に手を加えたもの
そう、10年前に言っていたことがかなり当たっているのです
日本型人事とか日本型経営とか言っていたものは中進国なら一般的なものとの指摘はさすが
囲碁界と将棋界の厳しさの差とその結果の例えも面白い
人本主義と言う、日下さんならではの用語もそのうち一般化するかも
それにしても、老害指導者というのは恐ろしいものだ
とか思っていたら、うちの会社にもちらほらと見える気がしてうんざりですが
一読されることをお勧めします
(田中芳樹、荻野目悠樹著、徳間デュアル文庫)
SF版オスマン帝国対ベネツィアの第六巻です
今回もファルネーゼの兄妹は命を狙われ続けます
いろいろな伏線が微妙に絡み合ってきました
それにしても失われた技術ってのはほとんど反則技ですね
(笹本祐一著、朝日ソノラマ)
宇宙海賊と宇宙の秘宝と女子高生の三大話です
1990年代前半に書かれたスペオペのリメイク版です
自分だったらなんとなくSFライトノベルに分類しちゃいますけど
素直にこういう作品てうれしいですね
原作が12年も前ということですので、今の横須賀の雰囲気とかは異なっているのかも
しれませんが、横須賀を知らない自分なんかは素直に読めました
ちょっとハードっぽくなっている最近のライトノベルとは違い
本当に素直な作品です
(橋爪大三郎著、PHP新書)
人間学アカデミーの第3弾です
社会学者の目から見たアメリカを論じています
橋爪教授の語る社会論はバランスが取れていて面白い
多分誰にでも受け入れられるように語っていると思います
大日本帝国はアメリカの姿を読み間違えて、えらい目に遭いました
橋爪教授は、再び読み間違えないようにとの思いで、この本を書いています
さて、アメリカとは何か、どんな国家か
基本旋律は、キリスト教を基とする宗教国家だということ
そして、自分たちが正しいと信じ込んでいる国家だということ
その他のアメリカの基本行動について論じていますので、興味のある人は読んで下さい
こういった本ではなんとなく書いてあるエピソードこそが面白い
相続法の考えも面白い
アメリカでは相続税が高く、大金持ちでも子や孫の代になるとほとんど残らない
だから、親は子に勤勉を説くようになるのだ、と
このことは、他の国では見られないことの様です
戦後日本が、アメリカに似て相続税が高いということが、アメリカと日本を
かなり似せて見せているのだという指摘は、うなずくところがあります
もう一つ、モンキートライアル(進化論裁判)
この本を読むまでは、こちこちの原理主義者が聖書と異なることを書いてあるから、
進化論を嫌うのだろうと思っていました
ところが、進化論には聖書と異なるということは、つまり、進化論を教えることは
聖書を否定する考えを教える、新たな信仰だから駄目なのだ、と考えると腑に落ちる
進化論が科学的に正しいか否かを超越した問題ということろに、アメリカのアメリカたる
所以があるのでしょう
その他面白いエピソードが詰め込まれています
(李景芳著、講談社+α新書)
中国人と日本人の行動や反応の差を中国出身の人の目から見たものです
中国人と日本人の社会生活の差が思わぬところにありますよ、という感じで
外国人は日本人と異なる社会基準で育っているので、行動や反応の差にギャップがあっても
仕方が無いと頭では理解しています
しかし、実際にそういった場面に遭遇すると面食らいますよね
(浜田和幸著、光文社ペーパーバックス)
水利権というのは昔から存在します
日本でも水の争いというのは昔からありました
現代人の何割かが忘れているだけで、知っている人は水の権利の重要性を知っています
地球上の淡水の水質がどんどん悪化しているとか、世界企業が水資源の独占を狙って
暗躍しているとかは、前にも他の本で紹介しました
前は外国のNPOの人が書いた本でしたが、今回は日本人の書いた本です
最後の章で、日本の水技術が世界を救う、とありますがまあそうなったらいいですね
なんにせよ、謀略で被害を被るのは、いつも立場の弱い人なんです
スターウォーズ28年の伝説の最終幕
選ばれし者アナキン・スカイウォーカーは如何にしてダース・ベーダーとなったのか
彼がサイボーグとして生きることになった理由は何故か
如何にしてパルパティーン議長は銀河皇帝となったのか
如何にして共和国は帝国へと変貌したのか
如何にしてジェダイは滅亡の道を歩んだのか
如何にしてルークとレイアは産まれたのか
その答えが全て詰め込まれています
映像の綺麗さと戦闘シーンの凄さは最高です
しかし、この作品を見たとき、悲しみの涙が出ました
なんとも救われない話です
あまりの心の寂しさに、エピソード6のジェダイの復讐を再び見ることにしました
ルークが今まさに皇帝に倒されようとする時、ダース・ベーダーは父アナキンの心を取り戻します
そして、この時こそ皇帝を倒し、自らの人生にけりをつけるのです
「6」では最後にオビ・ワンとヨーダともう一人が死者の霊としてルークに優しい眼差しを向けています
エピソード3を見た後であれを見ると、なぜそこにアナキンの霊がいたかがはっきりわかります
ルーカス監督が「スター・ウォーズはアナキンの贖罪の物語なのである」と言った意味がよくわかります
確かに、4、5、6、1、2、3と見るのと、1から順に見るのとではアナキンの役割は全く違って見えます
アナキンの物語である1~3とルークの物語である4~6
悲しみは喜びに、絶望は希望に変化する物語。傑作といってよいでしょう
そしてアナキン役のヘイデン・クリステンセン
物語が進むにつれて目つきが悪くなっていきます。可哀想なくらいに
そしてエピソード6のアナキンの霊と、実はとてもよく似ていることにびっくりしました
ここまで詰めてルーカス監督は作っていたのか。脱帽です
(保阪正康著、新潮新書)
太平洋戦争とは何だったのかを、政治性抜きに語った本です
読めば読むほど、大日本帝国の指導者達の情報処理と対応の不味さに眩暈がしてきます
いきあたりばったりで300万人以上の国民を死亡させてしまったという感じが否めません
当時の国際情勢を考えると、判断は確かに難しかったと思いますが、
それにしても判断の最悪を極めたという感じです
問題は、こうした情報処理と対応の不味さは現代日本人の中にもあるような気がすることです
20世紀前半の大日本帝国の興亡はなんとよい歴史の反面教師であることか
感情とか政治抜きで、もっと分析しなければならないことが多い時代だと思います
(ヘレン・ミアーズ著、伊藤延司訳、角川onテーマ21)
GHQの一員であった著者が、「日本て占領されるほどひどいことをしたのか?」という
感じで書いた本です
内容がGHQによる占領をあまり正当化してないので、マッカーサー元帥が日本での発行を
禁じてしまい、日本ではあまり知られていませんでした
白人は非白人を差別していると正直に書いた本といえるでしょう
その後の東アジアとかソ連圏の歴史とか知ったら、著者はなんと思ったかにも興味がありますが
(日下公人著、祥伝社)
日下さんの著書は元気を与えてくれますが、日本にそこまで甘い評価でいいの、といつも思います
今回は少子化
少子化の理由は、結婚して子供を生みたくなるほどのいい男、いい女がいないからとの説
かなり納得できます
今回は国際社会をけちょんけちょんに言っているのが見所でしょうか
ところどころ凄いことを主張してますが、面白い本です
■ 8/7(日) 公明党・創価学会の真実
(平野貞夫著、講談社)
公明党の批判本かと思いましたが、全体では公明党を擁護しているように見えます
今の自民・公明政権に不満があるようです
自民党と社会党のだめっぷりが見事に書かれています
(竹内薫著、インデックス・コミュニケーションズ)
「ナイトサイエンス」っていうとなんとなくいかがわしく聞こえますが
論理的にではなく、直感や霊感から出発した研究のことを言うらしいです
ともあれ「夜の物理学」
主に宇宙論などのことについて書かれています
ところどころ「と学会」風味なのがいい感じです
ともかく一番良かったのが科学者のちょっとしたエピソード。面白いです
(鷹見一幸著、角川スニーカー文庫)
本編ですが、サイドストーリーみたいな感じに仕上がっています
でたまかはかなり辛い状況が延々と続いていますが、第三章は極めつけです
読んでいて泣きたくなるライトノベルっていうのは電車で読めません
この巻の時点で、人類がザナックスに勝てる見込みはほぼ皆無
さて、後一冊
作者はどういう展開を考えているのでしょうか
楽しみです
(神林長平著、ハヤカワ文庫)
神林長平の1980年代の作品です
永久人とかハイブリアンとかPABとか神林作品にはおなじみの装置が組み込まれています
今の作品とは微妙にタッチが違うような気がしますね
こんな作品も書いてたのか、と個人的には満足してます
■ 9/18(日) 使える!「徒然草」
(齋藤孝著、PHP新書)
徒然草というと学生時代、古文の授業の時お世話になったものですが、それだけではつまらない
兼好法師の考えが実に豊かに描かれていて、現代においても役に立つというもの
あの「声に出して読みたい日本語」の齋藤先生の徒然草論です
結構面白いです。これを読んだら「徒然草」が読みたくなりますね
(田中芳樹著、光文社カッパ・ノベルス)
「できたぞ。読め!」
という表紙裏に書いてある著者のことばにはびっくりしました
あんまりこんなことを言う人ではなかったのですが、不思議なものです
さて、角川から光文社へ出版社が移って、文庫版から新書版に変わりました
そして、筆致も少し変わったような気がします
10巻が1999年10月でしたから・・・6年のご無沙汰ですか
それだけ時間が流れれば、書き方も変わっても仕方が無いか
さて、第一部では伏線だった蛇王側が攻勢をかけて来たようです
周囲の国々も慌しくなって来ました
主人公のアルスラーン王の影がいまいち薄いのが気になります
そして11巻になっても部下となる十六翼将のうちまだ一人が現れていません
どうなるんでしょう
(羽生善治著、角川oneテーマ21)
羽生さんは平成8年に、前人未到の名人、竜王、棋聖、王位、王座、棋王、王将の七冠を達成した有名人です
現在でも将棋界で一番強い人でしょう
そんな羽生さんの本です
なかなか良いことが書いてあります
同い年なのですが、しっかりしている人はしっかりしているものです(汗)
(藤原正彦著、新潮新書)
講演記録を元に筆を加えたとのことですが、筆を加えてこれだったらその場ではなんて言ってたんだ・・・と思うほど書き始めがすごく感じられ、よく売り出す気になったものだと変な意味で感心してましたが、読み終わればそこら辺の雑さはあまり気になりませんでした。
もう、自分が普段思ってたり感じてたりすることがそのまま書いてありました。
細かいエピソードとかが正しいかどうかはわかりませんが、筆者の意見にほぼ賛成です。
すべての先進国で社会の荒廃が進んでいる、自由平等民主主義を疑う、武士道精神の復活、家族愛・郷土愛・祖国愛・人類愛、読書・国語・数学の大切さ、美しい風景と情緒、などなど。
こういう日本人にとって当たり前のことが本になって「いいこと言っている」と感心するようになるほど現在は酷いという側面もあるのですが。
この本を読んで思い出した。
学生時代、研究室のある先輩が「どんなに英語ができても普段挨拶しない奴は外国に行っても挨拶なんかできやしない」という意味のことを叫んでいました。
この本の著者も同じようなことを言っています。みんな痛い人を見た経験があるのだな、と思った次第です。
まあ、人心の荒廃、学力低下、政府の怠慢、政治家の質の低下などなど挙げればきりがないですが、そろそろ考えた方が良さそうですね。
上司の上司が「この国の政府は国民を売るからなあ」とのたまっているのをよく聞きますが、まことに悲嘆すべきことです。
買って読むほどの本かと言われると辛いところはあるのですが、私は読んで面白かったと申しておきましょう。
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