「北の砦にて 2」(三国司)
かわいいもふもふの雪の精霊の子供ミルフィリア。
ある日母親の雪の精霊スノウレアから王都へのお使いを託されます。
最初は嫌々出発しますが、そのうち段々愉快な旅に。
ミルフィリアに向かってくる怪しい影たち。
そして今回たくさん現れる精霊たちにも注目です。
かわいいは正義。
日 | 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 |
8 | 9 | 10 | 11 | 12 | 13 | 14 |
15 | 16 | 17 | 18 | 19 | 20 | 21 |
22 | 23 | 24 | 25 | 26 | 27 | 28 |
29 | 30 | 31 |
« 2016年3月 | トップページ | 2016年5月 »
かわいいもふもふの雪の精霊の子供ミルフィリア。
ある日母親の雪の精霊スノウレアから王都へのお使いを託されます。
最初は嫌々出発しますが、そのうち段々愉快な旅に。
ミルフィリアに向かってくる怪しい影たち。
そして今回たくさん現れる精霊たちにも注目です。
かわいいは正義。
◆NHKラジオ(0429)
○WN ポーランド・ワルシャワ 岡崎恒夫
ポーランドで活躍するダンサーとバレリーナの話題。
日本人のダンサーとバレリーナについてでした。
*****
◆法学部教授に架空請求の電話が(笑)!完封勝利をおさめた教授の対応にスカッとする | BUZZmag
http://buzzmag.jp/archives/39478
(しんしんのお店・店長ブログさん経由)
こんな教授はかっこいいと思えてしまう不思議。
◆NHKラジオ(0428)
○ワールドネットワーク イギリス・コルチェスター 黒川育子
6/23はイギリスがEU残留か離脱かを問う国民投票の日。
オバマ大統領がEU残留を希望。
ドイツ、スペイン、イタリアといった主要国もイギリスの残留を希望する人が多い。
ところでフランスはイギリスのEU離脱を半数近くが希望と、英仏の愛憎劇もこんなにかという思い。
もう一つの話題は4/21にエリザベス女王が90歳の誕生日。
在位64年ということですごいですね。
なお、誕生日のお祝いは6月にも行われるということです。
さて、イギリスで誕生日のお祝いというと最近は商業化されているそうです。
かなり大掛かりなビジネスとなっていて親の負担が大変。
○ワールドリポート テヘラン
イランの議会選挙の話題。
議会選挙が実施されていますが、あと1/4ほど決選投票で残っているそうです。
改革穏健派と保守強硬派が争っていますが、地方では保守派、都会では改革派と実に拮抗しています。
勢いからいうと改革穏健派が有利に進めているようです。
ただ、残りの選挙区では保守強硬派の意地悪などで改革穏健派が不利なところもあって微妙な感じ。
経済制裁が解除になって初めての選挙になるので結果に注目です。
○ワールドリポート 国際部
熊本への国際支援物質で、フィンランドから液体ミルクが届けられて、かなり役立っています。
フィンランドからの液体ミルクは東北大地震の時にも届けられたものです。
ところで、日本では液体ミルクの製造販売は認められていません。
常温での安全性が示されてないことからです。
要望は強いのですが、安全性基準がきついのは吉か凶か。
◆NHKラジオ(0427)
○ワールドネットワーク アイルランド・ブレイ オブライエン和恵
アイルランドの国技、ゲーリックフットボールの話題。
○ワールドリポート サンパウロ
ブラジルではルセフ大統領に対する弾劾裁判手続きが始まりそうな感じです。
ブラジルは今年のオリンピック開催地なのですが、とてもそんな雰囲気になっていません。
2020年のオリンピック開催地の東京の都知事がきな臭いことになっていますし、どうなっているのでしょうかね。
○ワールドリポート 北京・中国総局
30年間続いた一人っ子政策で男性が結婚難に。
一人っ子政策によって男女の人口比がいびつになってしまい、今や結婚については女性が有利な立場に。
都会ではライフスタイルの変化により結婚しなくてもいいという考えになっていますが、農村部では女性は自分より格下の男性と結婚したがらない様になってしまいました。
農村部においては独身というのは駄目な人間とみなされるため、とても肩身が狭いそうです。
国というか一世代前の問題が降りかかってきているということで、ちょっと気の毒な気も。
◆NHKラジオ(0426)
○ワールドネットワーク 韓国・チェジュ 坂野慎治
インターネットの忘れられる権利の話題。
黒歴史がいつまでも残るのは困るよね。
しかし話題が10年近く前に友人の婦女暴行を擁護した女性警察官とか婦女暴行した医学生(服役済)とかきついかな。先生が海外旅行したくらいで叩く保護者がいるというのは、日本でもけっこうありそう。
もう一つが読書の話題。
韓国も読書離れが問題になっているのですね。
○ワールドリポート 広州
納豆が中国で人気に。
健康食品として中国で人気が高まっているのだとか。
○ワールドリポート ニューヨーク・アメリカ総局
パナマ文書で揺れるパナマの話題。
パナマのタックスヘイブンは政策だし、租税回避はパナマが悪いわけではないとパナマの人が言っていますが。
マネーロンダリングに利用されていても問題ない、とまで言えるかな。
以前人対人という概念について書きました。
他人にわかってもらうつもりがあるのかと怒られそうな名称ですね。すみません。
「人に論争を含む勝負で勝つためにはどの様な手段でもとる」という態度のことです。
勝負で有利な時はともかく、不利な時に勝ちたい。
この様な時に使われるのがメタ事象(盤外の事象とでも言ったらよいのか)です。
例えばテストでカンニングするとか採点官に賄賂を渡すとか、まあいろいろ正義から外れていそうなことが多いですよね。
(ちなみに対立する概念は人対自然)
さて、人と論争する時、相手に勝つためによく用いられているのがメタ概念(上位概念ともいう)です。
神はこう言っている(からお前はダメだ)とか偉い人がこう言っている(からお前はダメだ)とか、事実を飛び越えて「はい論破」ということにするのです。
しかしこの方式は勝つためにはいいけれども副作用もあります。
一つは事実が議論されずに残ること。
論争が終わっても問題が解決しません。
もう一つは勝つためのメタ概念というものが作成されてしまうこと。
頭の中で新たな神を作ってしまうのです。
こうなるとお互いの論争が成り立ちません。
まさに「お前の中ではそうなんだろうな、お前の中ではな」状態です。
この概念が多数党となった地域、社会はかなり難儀なことになります。
因習にこだわるいわゆる中世の暗黒期の様になります。
メタ概念が発達し事実よりも論が優先する社会は、事実を究めようとする人々にとってはちょっとした地獄です。
メタ概念の作成や使用は麻薬の様に甘い罠です。
濫用は危険なのですが、世界の各地で中毒患者が量産されています。
ちょっと悲しく思ったりします。
*****
◆NHKラジオ(0425)
○ワールドリポート、ジャカルタ
中国との領有権問題を抱えていないインドネシアは、日米や中国が味方にしようとあの手この手。
インドネシアとしてはどの国とも仲良くしていいとこ取りを狙いたいところ。
○ワールドリポート、バンコク・アジア総局
タイの仏教界で国民から最も信頼篤い大僧正。
先代が無くなって、最有力候補の人にいろいろ疑惑が。
さらにこの人の弟子が先代から金銭的疑惑で破門されていることもあって、いろいろ大変な状況。
暫定政府(まだ落ち着いてなかったのか)は国王に判断を委ねると逃げてしまいました。
国王陛下もこんな案件振られても迷惑ですよね。
一方の仏教界は政府は口出しするなといった意見ですが、どうなることやら。
◆左派に占拠された国連「表現の自由」特別報告者記者会見(ぼやきくっきり)
http://kukkuri.jpn.org/boyakikukkuri2/log/eid1873.html
くっくりさんの記事です。
連続ですみません。
リベラルが国連を自己利用しようとしていていくらかは目的を達成していたみたいですが、やり過ぎて嫌われてもいるみたいですね。
何をやっているのだか。
今回はこうしたリベラルのうち自己主張の激しい群(リベラルA群)についてその傾向と対策を考えたいと思った次第です。
中心世界と辺境世界
まず、世界と日本の立ち位置を見た場合、西洋が中心世界、日本が辺境世界ということになります。ちなみに清国(中国)(+朝鮮)はもう一つの中心世界(中心世界2)と見ることができます。
この他、もう一つの極であるコミュニストがあります。
これは反中心世界、反蛮族という特殊位置にあります。コミュニストは各社会の弱者を救いたいというrole(善)を持って生まれました(マルクスはそれを希求していました)が、ほどなく世界と社会を巻き込んだ権力闘争というanti role(悪)の存在が前面に出てしまい、以来roleがほとんど表に出てこない状況です。もちろん本人たちは自らをroleだと思っています。
本来はリベラルとコミュニストと分けて考えないといけないのですが、今回の日本人を人間と見ないという面では共通していますのでリベラルA群という呼称まとめておきます。
リベラルA群の愛
中心世界は日本を蛮族と見ています(イメージです)。リベラルとして中心世界に認められたい。こうしてリベラルA群が生まれます。
ここで中心世界に認められないのは自分に実力がないのではなく、日本人だからだという認識を持ちます。なんとなくですので全員がそうなるわけではありません。ここで中心世界嫌いになって民族派に転向する人もいるかもしれませんが今回は省略します。
恋する中心世界に認められるために、日本という蛮族を非難することで一員として認められたいという考えが湧き上がります。まさに恋心。
中心世界が日本人を蛮族で人間と見なしてないように日本人を人間としてみない(イメージです)。英語公用論、キリスト教化論、日本未開論、クジラ論、女性論、南京事件、慰安婦問題そして中心世界に物申さない。
これだけすればリベラルA群は中心世界に認められるでしょう。
と思っているはずですが、本質はどうなのでしょう。日本を批判することで中心世界の一部からは喝采を浴びることとなるでしょうが、それで中心世界の一員となっているか。もしかしたら蛮族の草と見られて、表面的にしか仲良くしてもらえないかもしれません。
今回の記者会見の振る舞いがそれに近いようにも思われます。
これがおそらくリベラルA群が中心世界に恋焦がれ、日本人を蛮族として中心世界に告発するエネルギーでしょう。
正確な表現ではないかもしれませんが、方向性はこちらだと。
リベラルでも本当に実力のある人は、中心世界に媚びへつらって日本人を蛮族視したりしないと思うのですけどね。
そして本当に実力のない人は、どんなに日本人を蛮族視しても中心世界から認められないでしょう。誰か今回いたようですね。
なぜ日本のリベラルは本物ではないのか
リベラルA群は、中心世界に憧れ中心世界の人から認めてもらいたい、中心世界から他の日本人と同じ蛮族扱いされるのは嫌だという心の流れがあるように思えて仕方ありません。そして同様に中心世界のリベラルと同じということで日本人から尊敬を受けたいという心理もありそうです。結果日本人は蛮族だが自分たちは違うと思いたいリベラルA群が大量生産されます。日本の中でいわば貴族的立ち位置にありたい。だから日本のリベラルは中心世界のリベラルと異なり同胞を人間としてみないという姿勢が目立つことになります。これが本物のリベラルといえるでしょうか。
だから外国のリベラルと同じように政府批判をしても、国民の方をみていない。国民の役に立つことなど眼中に無いのです。
その姿勢のままで日本は本物の議論ができないとして日本を蛮族と呼びたがりますが、そもそもの原因が文句を言っているのです。どの口が言うか。
コミュニストが混じっているとはいえ、いったい国民に冷たいリベラルなんて日本以外にあるのでしょうか?
メディアとインターネット
リベラルA群が、特にメディアと親和性が良すぎる現状は問題があります。記者クラブに代表されるようにメディアの閉鎖性が日本で目立ちます。ちなみに国境なき記者団による世界報道自由度ランキングで日本は2015年に61位、2016年現在では72位です。リベラルA群などは政府の姿勢を理由にしたいみたいですが、それだけではないことはレポートからわかります。政府の努力だけでは無理なのでここを何とかしないといけません。どのような政権であれ記者クラブが残っていたら本当の報道の自由なんて夢のまた夢でしょう。
そのような中で特に言いたいのは日本のマスコミの中の人や評論家のリベラルな人の能力の不足です。ジャーナリストやリベラリストの称号だけで、能力に疑問を感じる人が多すぎます。よくがんばっていますね程度ではちょっと問題があります。例えばショーンK氏の問題がありましたが、素人に勝てないようでは情けなくなります。少なくとも池上氏クラスの人がそこそこ大量に必要です。
一方Freedom Houseによると世界のインターネット自由度ランキングで日本は9位だそうです。比較対象が違うとはいえこの順位の差は面白いです。
インターネットが普及を始めて20年くらい経ちました。よく年齢が高い人はまだテレビや新聞が主でインターネットはあまり使わないし、年齢が高い方が影響力も大きいという声があります。しかし、これが30年40年とかになったらどうなるでしょうか。インターネットに触れる機会がない人の方が少なくなってくるのではないでしょうか。記者クラブの優位性が崩れるとしたらこの流れになると思います。
もちろん、記者クラブもリベラルA群もインターネットを使いますのでインターネットが流行ったら全て良い方向にいくというものではありませんが、リベラルA群が占有するという事態だけは解消することができるのではないでしょうか。
リベラルと民族派
リベラルと対極なのが民族派ですが、民族派は中心世界からみると蛮族が蛮族たる理由のようにしか見えません。リベラルA群から見るとリベラルが国民を指導(実際は支配か)しようとする際の邪魔者にしか見えません。そのような背景からリベラルA群は民族派をanti roleとして非難し続けます。リベラルA群が日本人を蛮族と見なすanti roleを延々と続けるので、自然とリベラルに対して反anti roleになります。このコラムで何回も言っていますが反anti roleはanti-anti roleとなって最後にはanti roleとなります。リベラルA群や中心世界に散々悪口を言われてきた民族派はついにはリベラルや中心世界の人間を人間と見なさない行動に出ます。これが民族派A群の出現です。
こうして日本人を人間と見なさないリベラルA群はついにはパヨクという称号を、リベラルと中心世界の人間を人間と見なさない民族派A群はネトウヨという称号を与えられ、自分達はroleで相手がanti roleだという争いを延々と続けることになります。
エネルギーの無駄遣い、全くの不毛です。
本当のリベラルに出てきて欲しい
日本が世界との関係を開始した19世紀以来中心世界は日本を蛮族と見ているという視点は不可欠です。
しかし、そこで中心世界を真似て同胞を人間と見なさないとか、中心世界の傲慢を糾弾して中心世界の人間を人間と見なさないとか、そういうことをやるとanti roleになるという危険性を認識すべきでしょう。
リベラルは「自分が認められる」のではなく「日本人が認められる」ようなやり方が何故できないか考えてみてもいいのです。
「日本」というと国家主義であるとしてリベラルやコミュニストは嫌いますが、「日本人が」ですよ。
日本人が中心世界と同化すれば解決するという考えが明治以来よくありますが、それはリベラルではなく文明破壊であって人類社会からみてanti roleです。
日本人を蛮族と見なしているリベラルA群の人たち、あなた方が貴族然としていると日本人が困ります。
日本人はリベラルA群の奴隷ではないのです。
そんなわけで本当のリベラルに出てきて欲しいのですが、夢のまた夢でしょうか。
◆【ソシャゲ】ついにガチャ規制? いやいや、以前もやったでしょ?(前編)(TERADRIVE )
http://teradrive.jp/2016/03/27/20160327_01/
◆【ソシャゲ】ついにガチャ規制? いやいや、以前もやったでしょ?(後編)(TERADRIVE )
http://teradrive.jp/2016/03/28/20160328_01/
(四式戦闘機弁務官丙型さん経由)
娯楽という観点からみるともう外れているのではないか、個々人の資本を収奪するだけのシステムはanti roleと考えてしまうべきか。
個々人の時間と資金を収奪するということは、その資金と時間が社会資本から減少していくということ。
当然、社会的バランスや収奪した資金がどこに行くかにもよるが、形態としてはanti roleということになる。
◇猫がキーボードの上に乗る本当の理由は、かまってほしいからじゃなくて「情報」のエネルギーに敏感だからです。 猫という生き物の性質がそうさせているんですね。 読んでる途中の新聞紙や雑誌の上に乗ってくるのも同じ理由です。(騰飛@3月23日宇宙(そら)の狐さんはTwitterを使っています)
https://twitter.com/kotonomama4976/status/721303022878339072
この発想が好き。
まあ、ほんとはきっとあったかいからなんでしょうが。
いわゆる同調圧力というものを嫌う人がいます。
同調圧力の負の面は当然ありますので、それを嫌うのでしょう。
しかし、同調圧力がなければ例えば治安も悪くなります。
それにあなた方の社会運動も同調圧力あればこそ。
まさか、親政府は悪い同調圧力、反政府は良い同調圧力とか言いたいのではないでしょうね?
*****
◆NHKラジオ(0421)
○WN カナダ・モントリオール 關 陽子
ビジネスでカナダと日本を行き来しているカナダ人が熊本地震についてつづっている話題。
レスキュー所属経験がある人で、来日中熊本地震が起こったので災害派遣に参加したとのこと。
ビジネス中だったのですが、日本の取引先企業にボランティア参加意思を伝えると「行ってください」と即答されたので、日本でのこういった災害対策意識は高いと思ったと。
この人はCBCの公式にコメントを書いているそうですが、ちょっと見つけられませんでした。
○ワールドリポート、イスラマバード
アフガニスタンでは反政府勢力タリバンの攻撃で治安が日に日に悪化。
将来を悲観した若者たちがヨーロッパに流出。
実際ヨーロッパへの難民でシリアに次いで多いのがアフガニスタン。
アフガニスタン政府も、非難途中での海難や渡航業者による詐欺を訴えているものの、そもそもアフガニスタンに留まっていても死の危険と隣り合わせなのでその効果は疑問視。
若者が流出すると、産業や経済にも影響が甚大。
社会を支える人がいなくなると大変なことになります。
日本や世界の限界集落みたいに。
◆熊本地方を襲った二度の大地震で思ったこと(ぼやきくっくり)
http://kukkuri.jpn.org/boyakikukkuri2/log/eid1871.html
くっくりさんのところで熊本地震についての記事がありましたので。
そして、有名な以下の記事がありましたので。
◆被災者の疑問「そういえば自衛隊員がご飯を食べているのを見たことがない…」→衝撃の真実が明らかに | netgeek
http://netgeek.biz/archives/71275
(しんしんのお店・店長ブログさん経由)
◆仙台放送、関連会社社員の虚偽ツイートを謝罪 関テレ中継車の割り込み給油めぐり - ITmedia ニュース
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1604/19/news170.html
(しんしんのお店・店長ブログさん経由)
今回は自衛隊(第3列、軍事)、マスコミ(第5列、情報)について述べたいと思います。
マスメディアは自分たちの勇姿しか見せませんので、いきおい情報がネット中心になってしまいますがそこは割り引いて考えてください。
自衛隊の心意気と心遣いは毎回大したものです。
自発的なものもありますが、旧大日本帝国軍の威信が地に落ちたことが大変大きいのです。
常にroleであり続けなければ、国内からも国外からも存在を否定される。
状況と教育が国民の信頼を得ている理由の一つでしょう。
一方、メディアはrole(役割)を発揮しようと頑張りますが、心遣いに少々欠けているようです。
具体的に言うと国民をモノ(取材対象)としか見ていない、国民に迷惑をかけないという最低限の道徳を発揮できない、など。
メディアが国民の為にあるのではなく、国民がメディアの為にあるのだ、という貴族思想が垣間見えたりします。
更には、野党やリベラルのあまり意味のない政府、自衛隊批判を、無自覚に文字や電波に乗せて、それを以てrole(政府批判、確かにこれもメディアの役割の一つだが…)としています。
我々メディアはがんばっています、という姿勢です。
しかし、今回の政府、自衛隊批判は、国民の役に立つ話がどれくらいあったでしょうか。
これはひょっとしたら国民にとってanti roleな話にならないか、と自省したことはあったでしょうか。
マスメディアにはそれぞれに判断部門を持っているのでroleかanti roleかの議論はあるはずです。
だから表に出てきたものは、マスメディアにとってはroleと判断されたもののはずです。
しかし、いくつかの案件は国民からanti roleとみなされています。
ここの差異が、おそらくメディアの貴族意識、国民をメディアの下に見る思想が現れていると見ることができるのではないかと。
そのような姿勢なので、普段貴族然としているメディア職員がtwitterや給油で失敗したりする。
如何に国民を下に見ているかが、わかってしまうのです。
かつて宗教は人々の希望でしたが、物理的に人々を救うことはできず、絶望となりました。
かつて軍事は人々の希望でしたが、自と他を破壊することしかできず、絶望となりました。
そして経済は人々の希望になるかと思われましたが、富と貧困の差の拡大を出現させ、絶望となりつつあります。
今、情報とそれに付随するリベラルが人々の希望の様に振る舞っていますが、あなた方はどこに行こうとしていますか。
もし、かつての希望たちの振る舞いの過ちを繰り返すならば、それは絶望への道となることは確実でしょう。
お気楽に政府自衛隊批判している場合ではないのですよ。
それとも旧日本軍の様に完膚なきまでに解体されるのがお好みですか。
いつか来た道というのは自分たちにも適用されるという怖さをわかっていますか。
人間、一度やらかさないとわからないのでしょうか。
わからないのであれば、明治以来のマスコミというものは一度消えて欲しい。
本当にroleがわかっているものが情報通信を担うべきでしょう。
悲しい事象について謝罪を求める声は多いのです。
あるいは謝罪によって悲しみが和らぐ場面もあるでしょう。
そうではありますが、半ば以上で謝罪という行為が無益となってはいませんか。
謝る方の誤り方が悪いとか、謝られる方が別の意図で許さないとか、理由は様々でしょう。
しかしここで問題となるのは外野です。
何らかの諍いで一方に肩入れし他方に謝罪を求めるというのが通例となっています。
政治的意図はこの際除外しますが、一方に肩入れし他方に謝罪を求めるのはある程度善意であるといえるでしょう。
正義を求めての行為であり、anti role(不正義)を罰しようという反anti role行為であるからです。
しかし、今まで言ってきたように反anti role行為は暴走し、容易にanti-anti roleとなり、最後にはanti roleとなってしまいます。
外野が、ついには強く非難する者となるのはこれ故です。
まさに謝罪至上主義、謝罪原理主義というべきものでしょう。
失敗したものを赦さないのは別に日本だけの宿痾というわけではないでしょう。
なお、非難される方についてそこまで非難しなくてもとか、そもそも非難が間違っているとして肩入れすると、先ほどの非難者がその肩入れ行為自体に対して攻撃的となり、二者の間でついに戦端が開かれ、場合によっては全面的な戦争となります。
幾度となく人類はこれを行ってきました。
人類のこの非効率な振る舞いを、いつかは克服することができるのでしょうか。
*****
◆NHKラジオ(0420)
○WN チリ・サンティアゴ 渕岡友美
チリはパタゴニアにある世界一美しい洞窟の話題。
日本からは地球の裏側ですが行ってみたいものですね。
○ワールドリポート、ヨハネスブルク
この前独立した南スーダンの話題。
政府勢力と反政府勢力との間で内戦状態。
避難民は出るわ、子供たちの教育環境は悪化し続けるわ、散々な状態。
近く反政府勢力の代表者と大統領が会談する動きがあるのが唯一の救いか。
○ニュースアップ
アメリカ大統領選挙の話題。
ニューヨークで勝ってそのまま進みたいトランプ氏。
トランプ派の切り崩し工作をして、党大会に望みをつなげたいクルーズ氏。
どうなるか。
◇ウェークアッププラスにて 辛坊氏「まさか熊本で地震とは」 地震学者「熊本にも有数の活断層がたくさんあります」 辛坊氏「発生したあとに言われても。いつも東海地震しか言ってませんでしたよね」 地震学者「それはマスコミが、東海地震のことしか報道してなかったからでしょ?」 まわり「……」(ケロ@しゃーちくさんチームさんはTwitterを使っています)
https://twitter.com/kero_nadeko/status/721118396390055936
マスコミはこの程度なので、だからマスコミはダメなんだ、と言いたくなる気持ちはわかります。
しかし、一般の人間にとって”良いマスコミ”などありません。
マスコミ(情報通信:第五列)の質を上げることも確かに必要ですが、一般の人々(第二列)もマスコミが常に自分達の為に存在しているという迷信を取り払うべきです。
ただ、ここで第二列がanti role(他人から収奪するなどの社会資本の減少)しては意味が無い、全体のrole(社会資本の増加)を考えるべき。
*****
◆NHKラジオ(0419)
○WN ロシア・モスクワ 安藤真理
4月12日は宇宙飛行士の日、ガガーリンが宇宙から帰還した日です。
ロシア(旧ソ連)が初めての宇宙飛行に成功したということで誇りなのですね。
ちなみにロシアからソユーズで国際宇宙ステーションまでは6時間、ロシアから東京までは10時間。
ロシアでは東京の方が宇宙より遠いようです。
○ワールドリポート、ハノイ
カムラン湾に初めて海上自衛隊の護衛艦2隻が入港した話題。
これで中国共産党や人民解放軍が南シナ海への進出を諦めてくれればいいのですが。
そんなに単純にはいかないでしょうねえ。
◇【不審者(車)の目撃】 御船町・嘉島町・益城町において、避難中の家屋付近を徘徊する不審者(車)の目撃情報が多数寄せられています。避難中の空き家を狙った窃盗の可能性があります。貴重品についてはきちんと管理し、被害防止措置をお願いします。不審者(車)の特徴・ナンバー等の記録・通報を!(熊本県警察本部さんはTwitterを使っています)
https://twitter.com/yuppi_KK/status/721597595110408192
地震泥棒、地震性犯罪者には気をつけてくださいとしか言えないのが辛い。
◇募金は、詐欺に遭うのも怖いし、団体に寄付して手数料抜かれるのも嫌。そんな人のために、各自治体の銀行の口座番号でも載せておいてくれたら、直接お金送れるのに。(zapaさんはTwitterを使っています)
https://twitter.com/zapa/status/721891858419290113
zapaさんの気持ちは私も同じだったりします。
↓
◇現在熊本県へは直接募金ができるようです https://t.co/hILciP21l2(Potsu@足を鍛えよう内反足マンさんはTwitterを使っています)
https://twitter.com/Potsu/status/721893058506153984
と思っていたら、熊本県へは直接の募金が可能とか。
http://www.pref.kumamoto.jp/kiji_15416.html?type=top
ちょっと郵便局行ってくる。
*****
◆NHKラジオ(0418)
○ワールドリポート、ウィーン
セルビアでの大量虐殺事件判決への影響。
内戦で多数の殺害が行われたとしてセルビアの最高指導者だったカラジッチ氏は禁固40年の判決。
イスラム系住民は終身刑にならなかったことに不満。
セルビア系住民は有罪になったことに不満。
みんな判決に不満なのです。
*****
◇10代20代の若者たちと60代70代の「学者の会」の老人たちの「隔世遺伝的」共闘が成立しているわけですが、なぜかその間の学者論客世代は総じてこの運動には「冷笑的」です。どうしてなんでしょうね。(内田樹さんはTwitterを使っています)
https://twitter.com/levinassien/status/717612519376834560
↓
◇現役の学者からすればバカバカしくて仕方がないからだろ(四式戦闘機弁務官丙型さんはTwitterを使っています)
https://twitter.com/ki84type4/status/720520283325468672
多分こんなところかと。
◇米国発祥のレストラン(左)と代表的なメイド喫茶(右)の制服比較。中の人の年齢はさほど変わらない。米国国務省はNGOを鵜呑みしたことで、左は全く性的ではない。右は極めて性的で如何わしいJKビジネス。児童ポルノや児童援交に繋がるとした。 https://t.co/qpzArV3Poh(やんさんはTwitterを使っています)
https://twitter.com/skd7/status/720485938753859584
まあ彼らは、日本人を人間とみなさない人々だから、しかたない。
しずまよりのりイラストのぜかまし第6巻。
組織<不完全な数字(セストウム)>の手がかりを追う為にゼロの故郷<弓月の森>に向かった一行。
ところがゼロの兄、十三番による強制召喚でウェニアス王国まで戻されてしまう。
なんてこったい。
しかし、詠月の魔女アルバスや犬面狼との邂逅のあと、ウェニアス王国が不穏な状況になっていることを知る。
この魔女と教会の諍いを全面戦争にまで拡大しようとする目論見は、やはりサナレか。
いい感じにゼロと傭兵のサーガになってきました。
第5巻で仲間になったリーリが可愛いですね。
この第6巻で「獣落ち」の在り様のいくばくかがまた明らかになります。
下巻でどんな展開になるのでしょうか。
世界探索、巻き込まれ系一人称語りのサーガはスレイヤーズなどでおなじみですが、作者の世界観がおもしろいとワクワクしますね。
第6巻のおことば。
「なるほどねぇ・・・・・・”支配”が目的なら”勝利”が要る。それには戦争が必要ってわけか」(傭兵)
さくら
パナマ文書がすごいことになってるね。一国の首相が辞任したり、デモが起きたり。
しろぎつね
なるだろうな。タックスヘイブン、租税回避。系内(国内)の資金を系外(タックスヘイブン)に移動させると、単純な算数だ、系内(国内)の社会資本が減少する。社会資本が減少すれば経済活動は鈍るし、租税回避の分だけ税収が減るから他で増税する必要がある。しかも社会全体の資本が減少しているから増税しているのに社会、公共サービスが低下する。
租税回避というのは明らかなanti roleだ。
さくら
他の国では大騒ぎなのに日本は静か過ぎない?
しろぎつね
一説には租税回避の主役である企業(第四列)が政治家(第一列)や情報通信(第五列)に資金提供をしているから、なかなか騒ぎにならないとされるが。
なんとなく、情報通信(第五列)の能力が不足していて、企業(第四列)の影響の有無ではなく、活躍できていないのではないかと思うのだよ。
さくら
え、それってマスコミが能無しってこと?
しろぎつね
酷い言い方だな(苦笑)
まあ今の水準の情報通信(第五列)が大騒ぎしても解決とはいかないだろうなあ。
それに企業(第四列)がanti roleだからといって外国のように反anti role運動するのもまずい。
さくら
anti-anti roleになっちゃうってやつ?
しろぎつね
うむ。
この問題を一番まともにするには、企業(第四列)に租税回避というanti roleを止めさせること。そうすれば社会資本の減少は止まるから、たいていの歯車は回りだす。
一番最悪なのは、anti-anti roleをやり過ぎて社会を破壊すること。
アラブの春の二の舞になる。
さくら
パナマの春…嫌かも。
じゃあ、日本みたいに黙っているとどうなるの?
しろぎつね
日本と中国とあとロシアかな、静かなのは。
社会の混乱は抑制されるが、租税回避のanti roleによる社会資本の減少という根本的な問題が残るので、どこかで反動が来るのは確実だがな。
さくら
どうすりゃいいのよ。
しろぎつね
そんなの企業がanti roleである租税回避を止めればいいじゃないか。
君ら人間は馬鹿なのか?
さくら
それが簡単にできたら苦労しないんだってば…
*****
◆NHKラジオ(0416)
【アジアリポート】
○インド・ベンガルール 後藤理恵
南インドの新年の話題。
4月8日に南インドではお正月ウガーディーでした。
○中国・上海 板屋美幸
上海の春の味覚チントゥワン(青団)の話題。
このシリーズもとうとう10巻まできました。
2016年4月からはアニメも始まっています。
アプリコットとシュバインがゲーム内ではちゃんと男性で、男性声優が用意されていたところに細やかさを感じました。
こういうとことは手を抜かないのね。
さて、10巻からルシアン、アコたちは2年生。
珍しく本の発売と同じ春の季節となっています。
創造神の魔の手により今度は同じクラスです。
今回のクエストは現代通信電子遊戯部に新入部員を入れること。
果たしてルシアンたち4人はこのクエストを達成することができるのか。
できなかったら廃部です。
という感じで話が進みますが、なんだかそれぞれにエピソードが用意されていて、なんかきれいな終わり方になっているような気がしました。
なんとなく、今回はいい最終回だったな、的な。
こんなきれいにまとまるタイトルだったかなあ(笑)
いやいや、面白かったですよ。
さくら
この間ラジオで聞いたんだけど。
しろぎつね
どんなの?
さくら
アメリカとかNATOとか、自由を謳ってイラクやリビアと戦争したじゃない。戦後サダム・フセインもカダフィーも倒されて新しい国ができたんだけど、戦前よりひどいことになってない?
しろぎつね
確かになあ。
さくら
治安がとっても悪くなっていて、女の子が学校に行こうとすると攫われるから外に出られないとかあるのよ。
しろぎつね
イラクもリビアも治安と教育はがんばっていたからなあ。
さくら
何でアメリカってこうなの。
しろぎつね
武力と自信があり過ぎるのだろうね。
その昔、対日戦争で日本社会を破壊してコミュニストの浸透を招いた結果、日本赤軍というテロリストが出現した。
さくら
日本赤軍ってどこかで聞いたような気が…
しろぎつね
ずいぶん昔の話だから。
ソ連のアフガニスタン侵攻の時反ソ勢力に助力していたけど、ソ連が崩壊したら用済みとばかりに放置、怒った連中がアルカイダというテロリストを育てる。
さくら
うわ。
しろぎつね
対イラク戦争でイラク社会を破壊、シリア内戦でロシアが政権を応援しているので反政府勢力に肩入れして内線を長引かせてシリア社会を破壊、アラブの春とかいって中東各国の政権を倒すのに協力してそれぞれの社会を破壊。
ぼろぼろにされた国に過激派が浸透し、ISに代表される武力集団を生み出した。
さくら
アメリカは社会を壊すことが目的だったの?
しろぎつね
さすがにそれはない。民主化したらアメリカと仲良くなるくらいには思っていたかもしれないけど。
ところが結果は全部失敗。混乱を苗床にしてテロリストとテロリスト思想が量産。反作用の如く欧米がテロリストに狙われるようになってしまった。
さくら
もう、なんのために戦争したのよ。ばかみたい。
*****
◆NHKラジオ(0414)
○WN アルゼンチン・ブエノスアイレス 竹内香苗
まずはパナマ文書の話題。
メッシ選手やマクリ大統領の名前が挙がっていて大騒ぎ。
二つ目の話題はタンゴでした。
○ワールドリポート、シドニー
オーストラリアの日本人移民の話題。
オーストラリア北西部はかつて真珠の一大産地で、当時は世界生産の8割を占めていたとか。
日本人の移民も多く1000人くらいいたみたいです。
そこで活躍していた村上氏という人物の話。
真珠の養殖も計画していましたが周囲の反対にあって断念したり、当時真珠採取では潜水病やサメに襲われたりしていたので、潜水服を発明して特許を出したり。
その後日本と戦争状態になったので村上氏は収容されてしまっていて、資料が少なく氏の事跡は全く伝えられていなかったところ、ある日本人が資料を発掘して事跡を伝える活動をしているそうです。
○ニュースアップ
民主党の指名争いでサンダース氏が勢いに乗っています。
ただ、ヒラリー氏の優位を覆すには残りを7割以上取る必要があって難しそう。
それに、民主党では国会議員票が15%を占めていて国会議員はヒラリー氏を推薦する人が多いため、州民投票でサンダース氏の方が多くても獲得人数はヒラリー氏の方が多かった事例もあるとか。
放送ではそれって民主主義かという問いかけもありましたが、民主党の選挙であって大統領選挙じゃないからなあと思ったり思わなかったり。
ちなみに共和党は国会議員票は7%だそうです。
○ワールドリポート、国際部
日本の保険が途上国の貧困をなくすか、という話題。
タイで干ばつや気候による不作に対しての保険を日本の保険会社が行っています。
気象データに基づく客観的なもので、審査を簡略化しています。
貧困農家が保険料を払えるのかという声もありましたが、ひどい干ばつや不作で加入者のほとんどが対象になった時にきちんと支払われたので、実績を買われて契約が延びているそうです。
今度はミャンマーにも進出するそうですが、気象データが未整備なところが多く、気象衛星のデータで補完してやる予定だとか。
保険で貧困が制御できればなかなかいい話だと思うのですが、貧困対策って国家の行政事業じゃなかったっけと思ったり思わなかったり。
*****
ダース・ベーダ―の声優をやっていた大平透さんが亡くなったよ。
この人の声、好きだったな。
合掌。
◆NHKラジオ(0413)
○WN アメリカ・ワシントン 山崎一民
アメリカ大統領選挙の話題。
共和党の党大会がオハイオ州のクリーブランドで開かれる予定ですが、ここに銃器許可の請願が提出されたそうです。
この件を取り巻く状況ですが、クリーブランドは全米で五指に入る銃犯罪地域(危ないな)なので会場に出入りする際に銃犯罪に巻き込まれたらかなわない、ISが共和党の党大会を狙ってテロを起こすかもしれないなどの理由があり、会場を提供する企業が銃規制に賛成しているのでそれへの嫌がらせという見解もあり、そもそも複雑なようです。
けれどもトランプ氏が過半数の選挙人を獲得するのが苦しくなってきている現在、党大会で候補指名を勝ち取ろうとするでしょうが、これまでもトランプ支持派と反対派が殴り合いの喧嘩にまで発展している実績を考えると、会場に銃器を持ちこんだら何が起こるかわかりません。
さて、大統領候補者というと未来の大統領なのでシークレットサービスの管轄になっていますが、先ごろシークレットサービスより銃器の持ち込みは許可しないとの通達が出て、請願問題は終了しました。
なかなかのタイミングです。
しかし、銃社会のアメリカならではの話ですね。
○ワールドリポート、ワシントン
G20の財務相会議がワシントンで開催されます。
近年は中国経済低迷で、世界経済が混乱するときの原因がたいてい中国になっています。
中国頑張れといってもゾンビ企業を整理しないといけないしなかなか大変。
欧州や日本は異次元のマイナス金利で経済活性化を試みていますが期待薄。
頼みの綱は緩やですが成長を続ける米国経済。
あとパナマ文書問題。
今回も荒れそうですね。
○ニュースアップ
韓国で総選挙が行われます。
与野党の対決に加え、与党内部での対立、野党の中でも対立があって混沌としています。
野党は対北融和政策、日韓合意の破棄を主張しているので、選挙結果によっては一波乱あるかもしれません。
○ワールドリポート、北京・中国総局
中国で根強い切手ブーム。
愛好家が2千万人はいるとか、さすが中国。
しかし、最近は切手ファンが増えすぎたためか切手が高騰。
お金持ちでない人は比較的安い外国の切手を集めているみたいです。
国によって切手って面白いものがありますからね。
*****
◇「G7外相が平和記念公園に来た」という感慨は部外者の貴方には理解できない。岸田氏は広島の人。貴方よりずっと真面目に反核を考えてる。今回の快挙を評価する事すら出来ないならもう広島に口を出さないでほしい。 @kawasaki_akira https://t.co/WUgIeSGd7d(mollichane@もりちゃん常時炎上さんはTwitterを使っています)
https://twitter.com/mollichane/status/719483349761335297
(しんしんのお店・店長ブログさん経由)
日本が主導したわけではなく(会場を広島にしたのは日本だが)、ケリー国務長官が自ら原爆資料館を訪問して感想を述べたのがすごいことだと思った。
謝罪なんかしたらえらいことになる。
どうも大人の事情とか空気が読めないとかそういう手合いが多くて困る。
謝罪至上主義の人々の言説はもうたくさん、聞き飽きた。
◆NHKラジオ(0412)
○WN フランス・パリ 浅野素女
一つ目は、フランスの教会で30年ぶりにキリストの長衣が公開になった話題。
本物かという話題はずっとあるのですが、西暦800年からこの教会にあるのでそれだけでもすごいかも。
二つ目はイスラムファッションの話題。
頭から全身を覆う衣装なのですが、あるファッションメーカーが考案。
ところが、政府閣僚やらファッション界が女性の自由を奪う衣装だとか束縛する衣装だとか言いだして。
イスラム女性も今でもファッションをアレンジして着こなしているからと、イスラムファッションにはあまり注目していないみたい。
一方でイスラムファッションを認めるのはフランスが真に宗教の自由を行っている証とか、イスラムファッションを拒絶するだけというのもなんだか違うのではないかという意見も。
肩、胸、脚を出すのが女性の自由なのかというと何だか違う気もしますし、着物などの肩胸脚を隠すファッションが自由でないのかというと違う気もしますし、髪を隠すというのは烏帽子文化があったなあと思い出されますし、実際は議論が弱いのかも。
○ワールドリポート、マニラ
フィリピンは9割がキリスト教徒ですが、ミンダナオ島はインドネシアやマレーシアにも近く、昔はイスラム王朝があった関係からイスラム教徒の割合が高いです。
そんなミンダナオ島では、最近反政府勢力のうち最大勢力のモロ・イスラム解放戦線(MILF)と和平合意がなったばかりですが、政府の支援がなかなか始まらず不安定な状況です。
ここにMILF以外の反政府勢力がISと組んで勢力拡大を図っている図式が。
反政府勢力の勢力拡大というよりISの勢力拡大になっているな。
もっと悪いのは、MILFの幹部が政府の支援が遅れていることに腹を立てて、ISに鞍替えしてしまうこと。
こうなるとミンダナオ島が一挙にISの拠点化してしまう恐れも。
予断を許さないのは、現在フィリピンは大統領選の最中なのですが貧困対策とか汚職対策とかに神経を集中し過ぎていて誰もミンダナオ島のことを重視していないこと。
この時期にミンダナオ島に浸透しようとしているISにはしたたかな戦略家がいるとしか思えません。
フィリピン、大丈夫かなあ。
○ワールドリポート、ニューヨーク・アメリカ総局
民間企業が打ち上げたロケットが無人船に着陸した話題。
今後も研究開発が進めば打ち上げコストが安くなってもっといろいろなことが実現するかもしれません。
◆NHKラジオ(0411)
・ワールドリポート/カイロ
ギリシャに上陸した難民をトルコに移動させ、シリア難民については7万2千人を上限にEUへ難民として移動させて、他の国からの難民は本国に帰すという煩雑なシステムが始まっています。
EUから60億ユーロの資金をもらえるとはいえ、トルコの負担もかなりのもの。
残りのシリア難民は難民キャンプに残るのですが、トルコに係累がいれば移動制限つきですがトルコで居住できるらしいです。
トルコ国内では職が奪われるのではないか、治安が悪化するのではないかとの懸念が。
・ニュースアップ
イエメンで和平協議が始まりそうで始まらない微妙な空気。
いわゆるアラブの春でサレハ大統領がいなくなり、その後新しい政権と反政府勢力の内戦が勃発したわけですが、どうにもサウジアラビアとイランの代理戦争の様相を見せているようです。
国内が騒然となると、アルカイダ系やIS系の組織が浸透をはかるようになりますし、何とも物騒な感じです。
・ワールドリポート/バンコク・アジア総局
日本での介護ビジネスが今注目しているのがミャンマー。
ミャンマーは仏教の国で、お年寄りを世話をするのが功徳という考えなので老人介護には違和感がないそうです。
結婚式を老人ホームで行う事例があるというのがすごい。
また、ミャンマーの言葉は日本語と語順が同じなので単語を置き換えるだけで通じるそうです。
こうした人々を外国人実習生で招くのですが、企業が人件費の圧縮目的で行っている事例も少なからずあって注意が必要とされています。
今はまだミャンマーも若い世代が多くを占める国ですが、20年後には老人世代が増えて来るので日本での介護事業経験がそのうち約に立つ日が来るかもしれません。
きちんとうまくいけばいいですが。
*****
◆スノーデン氏、「Twitterのチートモードは日本語」と日本語でツイート(ITmedia ニュース)
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1604/08/news126.html
漢字かな混じり文のお陰でしょうか。
◆「日本人のTwitter好きは“異常”」――Twitter、開発拠点を日本に新設 世界に活用法を提案 (1/2)(ITmedia ニュース)
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1509/04/news086.html
面白いのは繁盛する。
通称バカッターも増えるけど。
◆「あかつき」軌道修正に成功 観測期間を2000日間に延長(ITmedia ニュース)
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1604/08/news154.html
日本人に限らないとも思うけど、こういうのを見ると日本人の変態性(誉め言葉)を感じる。
ゲートの外伝の5つ目は、上巻はヤオのターンといっていいのか。
あとなぜか栗林。
下巻が再びピニャのターン、少女時代という感じ。
それぞれのキャラをちょっと掘り下げてみています。
うーん、ヤオも栗林もピニャも伊丹が苦手とするタイプで、ここでまとめたのも面白い。
ホームページからの疎開 その6
読書記録 平成18(西暦2006)年
♪ 「涼宮ハルヒの溜息」
(谷川流著、角川スニーカー文庫)
涼宮ハルヒシリーズ第二巻。
今回は映画。
SOS団の面々はどんな目に合わされるのでしょうか。
流れで読むライトノベル、なかなかです。
♪ 「一万年の天皇」
(上田篤著、文春新書)
帯に『戦後60年でも、近代140年でも、皇紀2600年でもなく - 縄文以来、一万年の単位で「天皇」を取り戻そう』と書いてあったので、何も考えずに買ってしまいましたが、ちょっと後悔。
天皇制に対する筆者の考えはなかなかユニークです。
ところで、著者には失礼かもしれませんが、ところどころに挿まれているコメントのほうがよほど大事だと思うのです。
むすびで書かれていることや、あとがきの阪神大震災の裏話の方が、よほど意味があります。
あと、ひらがなが多いのはわざとでしょうか。
♪ 「涼宮ハルヒの憂鬱」
(谷川流著、角川スニーカー文庫)
高校の入学早々、新入生の自己紹介のとき後の席の美少女が、いきなりとんでもないことを口走ったら、あなたは一体どうするか。
といった感じの書き出しで始まる本作。
世界観の作り方、話の進め方、登場人物のユニークさ。気に入りました。
ライトノベルでそろそろ面白い作家がいないかな、と思っていたところなのですが、なかなか手が出せなかったのは、最近立ち読みする時間が無くなってとりあえず読んでみて面白かったら買おうということができなくなったせいかなと思っています。
世間では面白いと評判だったのですが、学園物は最近たくさん出るようになったので却って遠慮してたのですが、遠慮してて損したと言う感じです。
まあ、そのかわりシリーズ物をこれから何冊か読めるというわくわく感がありますので、相殺ですかね。
はまる人ははまると思います。
♪ 「在日の耐えられない軽さ」
(鄭大均著、中公新書)
著者は父親が朝鮮の人、母親が日本の人である在日の人です。
著者の在日論は政治化しておらず、血肉が通っているものの様に感じられます。
題名は「存在の耐えられない軽さ」をちょっと捻ってつけています。
父のこと、母のこと、自分のこと、そして妹のことについて語られる本書は、自叙伝風でもありますが、マスコミで喧しく語られている在日論とは少し毛色が変わっています。
著者の父親も著述業の人で、かなり有名な人だったようです。
さて、この本の中で一番興味を引いたのは以下の部分です:
(p.184-185)
だが、在日がコリアンであるとか外国人であるということは、本当に自明なことだったのだろうか。先にも記したように、朝鮮・台湾出身者の日本国籍は、一九
五二年の民事局長通達で一律に喪失したとされるが、ということは、例えば一九四八年生まれのわたしは、生まれてから四年ほどの間は、日本人だったというこ
とを意味するのだろうか。いや在日の日本国籍は今でも存続しているのだという人もいる。国際法学者で東大教授の大沼保昭氏によれば、民事局長通達による国
籍剥奪措置は、国籍を法律事項とする憲法第十条に反する意見向こうの措置であり、したがって在日韓国・朝鮮人の日本国籍は潜在的には今でも存続しているの
だという(略)。
にもかかわらず、日本人も在日も、在日の外国籍を自明のものとして行動してきたのはなぜか。おそらく重要なのは左派。進歩派系
知識人の役割であろう。なぜならば、日本社会で、在日に恒常的な関心を寄せ、その擁護者や専門家を任じ、在日論者として活動してきたのはこれらの人々であ
り、彼らは一九五二年の民事局長通達を批判しながらも、だから五二年以前の在日には日本国籍があったのだとか、だから在日には今でも日本国籍があるのだと
は決していわないからである。なぜなのか。彼らの活動は長い間、北朝鮮労働党の支配下にある朝鮮総連に歩調を合わせたものであり、朝鮮総連は在日を在外公
民と位置づけ、在日の使命は南北の統一、韓国の民主化にあるといっていたからである。つまり日本の左派・進歩派系知識人は、「帰化は同化である」とか「帰
化は民族的裏切りである」などという朝鮮総連のプロパガンダの流布に協力しながら、在日が日本社会に統合されることに反対してきたのであり、それは最近で
は「外国人参政権法案」の推進という形で、今度は民団との関係によってそのことが実践されているのである。(略)
(p.186-187)
かつて朝鮮総連と歩みをともにする日本人知識人が奇妙なことをいっていたように、今日、民団と歩みを共にする日本人知識人もおかしなことを言っているなと思う。(略)
左派・進歩派系の日本人知識人はかつては差別にたいする批判者として、今日では多文化共生の実践者として在日の擁護者を装っているが、彼らは在日が日本社
会に統合されることに反対してきたという意味では、在日たちからライフ・チャンスを奪ってきた人々であるともいえる。(略)
自叙伝風の書き物ではあるけれど、上記の記述からは、何事かが読み取れるような気がするのですが。
在日の苦労を重化させたのは誰か。興味深いところです。
♪ 「美しい国へ」
(安倍晋三著、文春新書)
自民党総裁選前に読み終わりました。
ご存知平成18年秋の自民党総裁選立候補者の中で一番人気の安倍氏の本です。
内容はまあ普通の本といったところ。バランスはいいと思います。
特に可もなく不可もなくと言ったら厳しすぎるでしょうか。
それにしてもところどころさりげなく挿まれている、特定勢力に対する恨み節は、さすがというかなんと言うか。
まあ、事実だったら反論なんてできないんでしょうけどね。
小生は麻生さん支持なのですが・・・もし安倍さんが自民党総裁、ひいては総理大臣になったとしても、麻生さんには外相とか続けて欲しいものです。面白いし。
谷垣さんはごめん、いらない。
♪ 「戦術と指揮」
(命令の与え方・集団の動かし方)
(松村劭著、PHP文庫)
元自衛隊陸将補の松村氏の著書。
軍隊における戦術というものは存外応用範囲が広い。その基本的なところを解説している本です。
基本の解説の他、シミュレーションが3題あって、なかなか読み応えがあります。
挿入されているコラムが秀逸なので、いろいろ考えさせられます。
現代日本人は軍事アレルギーがありすぎますが、教養として最低これくらいは認識しておかなくてはならないでしょう。
♪ 「数年後に起きていること」
- 日本の「反撃力」が世界を変える -
(日下公人著、PHP研究所)
日下さんの本です。
日本人は自信を回復し世界に羽ばたこうとしている、という日下さんらしい愛情のあふれた本です。
日下さんは日本を褒め過ぎるので、却って慢心してまずいのではないかとも時々思うのですが、かといってみんなが日下さんの発言を妄信してそっちの方面にも転ぶこともどうやらなさそうなので、最近では、まあいいかと思っています。
面白い切り口としては、上流と下流は同じような生活スタイルになってしまう、というくだり。
この観点は正直に言って、無かった。
もう一つの切り口は、「中国は外交下手で昔から失敗ばかり、これからも」という話。これは盲点で、しかも納得できる。中国は古代から世界政府で外国がなかったからである。さすが。
あとは、ドラえもんやポケモンが世界の子供達の共通認識になるだろうこと。
これはマンガやアニメが基本的に日本精神をベースにしているからで。
欧米やその他世界各国と世界観が違う日本の文化が、アニメやマンガを媒介として世界に広がる、面白いですね。
ここは麻生さんに総理大臣になってもらって、もっと日本のアニメやマンガからくる日本精神を世界に広げることができれば、世界は平和になるんじゃないでしょうか。
妄想ですけど。
日下さんの本は、視点が独自で面白いです。
♪ 「儒教と近代国家」
「人倫」」の日本、「道徳」の韓国
(朴倍暎著、講談社選書メチエ)
日本と韓国での、近代と儒教思想についての関わりを論じた本です。
日韓とも儒教の路線を守りながら近代化を目指したのですが、その路線の違いにより両国の近代化の道のりは異なりました。
その是非ではなく、両国ともどういう思想を辿ったのか、という歴史的背景を観察した本です。
著者は韓国の人で、韓国と日本でそれぞれ哲学や論理学を修めた人ですが、こういった観点で日韓を論じたのは初めてでしょうか。
特に韓国での近代化の歴史は、やはり韓国の人が書いたものを見るに限ります。
儒教は死んだ学問ではなく、ひょっとしたら現代思想として甦らせる事ができるかもしれないですね。それも決して復古主義的なものではありえない形で。
♪ 「本気で言いたいことがある」
(さだまさし著、新潮新書)
さだまさし氏が様々なことを語ります。
今の日本の社会に対する不満、そして日本への限りなき愛情が注がれています。
さださんらしい、優しくそれでいて力強い文章です。
この本で一番印象に残った文章
僕は「炭鉱のカナリア」でありたいと思っているんです。
(中略)
それに、考え方を帰るなら、そういう唄を、僕が自由に、思うように歌えている間は、何のかんの言ってもこの国はまだ健全だし、大丈夫と言うことでしょう。
ただ、何らかの理由で - それが見かけ上、どんなに小さなことでも - 僕が自由に歌えなくなることがあったら、つまりカナリアが黙ることがあれば、それは危険の合図だと思って下さい。
さださんが、ずっと考えていたことが語られています。
この本を読んで、ますますさだまさしという人に、興味を覚えました
♪ 「転回期の科学を読む辞典」
(池内了著、みすず書房)
天文学(Astronomy)からゼロ(Zero)まで、様々な題目を元に科学の来し方行く末を案じている書。
池内先生って兵庫県のご出身だったんですね。
この本も新聞の書評で面白かったので買ったものです。
常温核融合の項、55ページ、常温核融合を否定した有馬氏を描いたくだり、
東大の教授で原子物理学の権威であった有馬朗人死は、「これが本当であれば丸坊主になる」と宣言した。(まだ、頭の毛が残っていた時代である。)そして、
丸坊主にならずに済んだ(結局、自然に丸坊主になったのだが。)実験は全くの架空のでっち上げに過ぎないことが徐々に明らかになったからだ。
この記述だけでも楽しい。
ハードカバーで安くは無いですが、読み物として面白かったです。
若い人ほど読むべきだと思います。
♪ 「祖国とは国語」
(藤原正彦著、新潮文庫)
筆者もあとがきで書いているが、「祖国とは国語」との文言はフランスのシオランの言葉で、山本夏彦氏が引用したものを再引用したとのこと。
人類たるもの、自分の先祖が長い間育んで来た言語の歴史を無視できるものではないし、無視するのは何よりも損である。
昨今の本朝における状況に対する、筆者の憤りと叫びが表されている。
その他いろいろなエッセイがこめられていて、面白い。
解説で斉藤孝氏が
「ああ、この人に文部科学大臣になってもらいたい」
と書いたのも、むべなるかな。
いろいろなことが見えてくる本です。
♪ 「大礒正美のよむ地球きる世界 日本はどうなる編」
(大礒正美著、彩雲出版)
皇室問題、中国問題、韓国問題、北方領土問題、靖国問題、憲法問題、小泉問題など様々な事柄を適切に切り取ります。
これは日本編ということですので日本の問題を取り上げていますが、こういった視点は本当に大手マスコミに欲しいところです。
まあ、彼らはわかってて書いてないのでしょうけどね。
皇室典範問題=秋篠宮いじめとか。
中国人は、日本人が戦争中中国人を殺して食ったと思っているとか(日本人や、おそらく朝鮮人もそんなことはしない。人肉を食べるのは漢民族の方だろう・・・自分達が食べるから他民族も食べると思っているのでは?)。
台湾軍は実質上日本軍の愛弟子であるとか(逆に日本には日本精神は無くなった・・・)。
靖国神社の宮司に在日の人を持ってくるのはどうかとか(在日じゃなくても、李氏王族の子孫がいいのでは?)。
教育は国がするものと勘違いした(させられた)日本人が築いた戦後の駄目駄目さとか。
こんな素敵な視点で書いている著者ですが、サイトがあってそちらも繁盛しているとのこと。
http://oiso.net
こういった視点が初めての人にはお勧めです。
♪ 「スレイヤーズすぺしゃる27 スタンプ・トゥ・キル」
(神坂一著、富士見ファンタジア文庫)
外伝の27冊目。今回は珍しくナーガ無しです。
話のテンポがいいので好きなのですが、新シリーズはまだでしょうか。
♪ 「プログラマを笑え!」
(藤井裕之著、株式会社ソーテック社)
叫ぶ!Cプログラマの人が書いたエッセイ集みたいなもの。
著者の哲学が所狭しと、ギャグ満載で並べられています。
一部腹を立てる人がいるかもしれないけど、真実のかなりの部分を付いているんじゃないかな。
ちなみに一番気に入ったのは、”エシュロン対抗案”。
メールのフッタに「核兵器・スパイ・爆弾・・・etc」と2行くらい書いたらいいんじゃないか、という案であるが、うまいなぁ。
こういう機転が欲しいものです。
♪ 「叫ぶ!Cプログラマ プロが説くCのカラクリと落とし穴」
(藤井裕之著、株式会社ソーテック社)
なんでみんなCを誤解しているかを解説した本(違う?)。
これを読んでいたら私もプログラマになっていたかも・・・ということは無いだろうな。きっと。
いや、まあ、面白い本です。
うんちくだけでも読む価値あり。
♪ 「雷轟 rolling thunder」
(押井守著、エンターブレイン)
米国が南北戦争で2つに分裂し、日本が太平洋で覇権を握ることになった仮想歴史でのベトナム戦争を描く。
押井監督がこの本を書いた動機は本の中でいろいろ書かれているので省略するが、登場人物の台詞:
「もしかしたら、日本人は空なんか飛んじゃいけないんじゃないかって、そう思うんだよ。」(p.83)
そしてあとがきで書かれている作者の独白:
この国に戦争を放棄する権利などありません。
負けるべき戦争をそれと承知で戦い、敗れるべくして敗れた国に、戦争を放棄する権利などあっていいはずがありません。
そんな国には懲罰を下さねばならない。
なぜなら--懲罰こそが正義の本質だからです。
現実の日本が戦争に値せず、まして勝利に値する国でもなく、むしろ戦争という行為から自身を阻害して生きようとするなら、虚構のなかで不相応な勝者の試練を与えてみよう--そう思ったことが、この企画の発端でした。(p.170-171)
とある。
圧巻は、p122-137の戦争に対する醐堂に語らせる部分でしょう。
一読されることをお勧めします。
押井監督の個人的趣味であることは忘れずにね。
♪ 「古代史 9つの謎を掘り起こす」
(関裕二著、PHP文庫)
関氏のこれまでの書籍の内容をまとめたもの、といったところ。
ところで、これまで物部氏は出雲だと思っていたが、今回は吉備となっている。出雲が出雲を邪魔者扱いすると言うのも確かに変ではあるが、さて。
神功皇后の活躍とヤマトによる裏切りの系図は次の通り。北九州の卑弥呼が邪魔になっていたことから、ヤマトは越・出雲軍である神功皇后を派遣しこれを撃
破。しかし今度は、派遣軍の神功皇后が北九州で独立の気配を見せたことから、焦ったヤマト・吉備が神功皇后陣営を強引に潰し、出雲も管理下においてしまっ
たというのが、出雲の国譲りになっている、という。
こっちの説明の方が良い様な気もしますね。
こういう歴史の眺め方って素敵です。
♪ 「タイタンの妖女」
(カート・ヴォガネット・ジュニア著、浅倉久志訳、ハヤカワ文庫)
奇妙な本で、面白いと言われながら本屋に並んでいることが少なく、手に入れることが割りと難しい本ってありますが、これがまさにそう。
紀伊国屋書店が何を血迷ったか「じゃあ切れないように百冊入荷してやるから買って読め!」とか勝負に出て、おかげで手に入れることができました。趣味で入荷するなよな・・・
SFです。
ある事件で全能者となったウインストン・ナイルス・ラムファードは、地球を救うため無慈悲にも自分の妻と、地球一の大富豪を利用して世界を改造してしまいます。
それに費やされた人命は多数。
そして、ウインストンのタイタンでの親友であり協力者、マゼラン星雲からの旅人サロとその母星が地球人類に及ぼした影響が次第に明らかになります。
物語は決して救われることはありません。
しかし、それでも最後を含め、ところどころにちょっと仕掛けを残しています。読者が幾ばくかでも救われるように。
ある意味おそろしい話の流れです。ところどころにギャグを散りばめながら、決して登場人物が救済されることは無い。誰も助けてくれない。仕掛けに抗うことも困難を要し、しかも登場人物が運命に抗うこと自体が仕掛けであるという困った仕組みを取っています。
こんな物語を紡ぐ人は、天才であり、しかも半分狂っていると思わざるを得ない。
でも、面白い。この作者は天才だ。そう思わせるSFです。
この本の中で一番気に入っているのは、実は目次と題名の間のこの記載です。
本書の中の人物、場所および事件は、すべて実在する。ただし、一部の談話および思考は、やむをえず著者の解釈で構成した。無辜の者を保護するためにあえて名称を変えることはしなかった。無辜の者の保護は、全能の神が天国の日常作業の一部としてなされているからである。
♪ 「究極のSF 13の解答」
(ジェイムス・ティプトリー・Jr、ハーラン・エリスン他著、エドワード・ファーマン&バリー・マルツバーグ編、浅倉久志・他訳、創元SF文庫)
今から30年前、SF界のそれぞれの巨匠に書かせた、究極のSF。
アシモフとかクーンツとかディックとか超有名作家が並んでいてそういう意味では壮絶。
アメリカンSFって、ちょっと味が違いますよね。こだわる場所が違うというか。楽しませるところが違うのかな。
そういう意味では日本SFが好きな私。
♪ 「鬼の帝 聖武天皇の謎」
(関裕二著、PHP文庫)
聖武天皇は影が薄い。藤原氏や皇后の光明子のお飾りとしての印象が強い帝である。
本当はそうではなかったと関氏は言う。
では、どのようなものだったのか。
聖武天皇は、持統天皇の子孫であり、母も藤原氏、皇后も藤原氏。最初から藤原の邸で育てられた、初代の藤原腹の天皇である。後に皇后となる光明子は、同じ籠の中で育てられたと言う。
そしてある時期までは藤原の全くの傀儡として動く帝であった。
聖武天皇の即位は神亀元年(724)。和銅三年(710)の平城京遷都以来、世は藤原氏の天下となっていた。
養老四年(720)に藤原不比等が死んだ後も、四人の子、武智麻呂、房前、宇合、麻呂ががっちりと藤原の天下を守っていた。
当然反藤原派というのもいて、その最有力候補が左大臣であり、天武天皇の孫である長屋王である。ちなみに長屋王は持統天皇の血筋ではない。
民衆からの支持は圧倒的に長屋王の方にあったが、長屋王は藤原の謀略の前にあっけなく倒されるのである。聖武天皇と光明子の間に生まれた子、基皇子が一歳を前に夭死する。長屋王は左道を学んだと言う言いがかりを付けられて一族もろとも自殺させられてしまうのである。。
これで藤原の完全な天下になったが、なんと、天平九年(737)藤原四兄弟は天然痘により全員死亡してしまう。これで一気に藤原氏は衰退し、橘諸兄、吉備真備らが台頭してくる。
ここから、聖武天皇は反藤原に転じるのである。
天平九年、聖武天皇の母、宮子は37年間もの間藤原邸に幽閉されていたが、僧玄昉による
宮子開眼事件、すなわち、聖武天皇、母・宮子、皇后・光明子による反藤原・天武回帰への道筋が出来上がっていくのである。聖武天皇は持統天皇の血もひいて
いるが、天武天皇の血もひいているのである。
天平十二年(740)、九州に左遷させられていた藤原広嗣が決起するものの鎮圧された。ここで、聖武天皇は天武系復活の宣言のごとく、天武天皇の壬申の乱をなぞって東国行幸を行い、そして天平十三年(741)恭仁京に移る。
この恭仁京~紫香楽宮時代が聖武天皇の絶頂期であった。
天平十五年(743)有名な大仏発願の詔。
しかし、この後は天武天皇は藤原の反撃にあうのである。
難波への行幸の途中、天平十六年(744)、藤原仲麻呂に子・安積親王を暗殺されてしまう。この後も、放火、流言蜚語の他、群発地震も手伝い、聖武天皇は平城京に戻らざるを得なくなる。
天平勝宝元年(749)、聖武天皇は天智系回帰を宣言させられ、孝謙天皇に譲位せざるをえなくなる。
天平勝宝二年(750)、吉備真備が九州左遷。天平勝宝八年(756)、聖武上皇崩御。翌年(757)、橘諸兄薨去、大炊王(淳仁天皇)立太子、橘奈良麻呂の反撃失敗。その翌年(758)、孝謙天皇譲位、淳仁天皇即位と、ここに天武系の反撃は一旦頓挫するのであった。
ただし藤原仲麻呂の時代も長くは続かなかった。
奈良麻呂の乱で443人が死罪または流罪という規模で、諸豪族の恨みは仲麻呂一人に集中
した。光明子の影響で他の藤原氏が仲麻呂に冷淡だったことも手伝い、仲麻呂は一気に朝廷における影響力を喪失、天平宝字八年(764)、起死回生のクーデ
ターを起こすも、九州から呼び戻された吉備真備らの活躍により鎮圧(恵美押勝の乱)。乱を鎮圧した孝謙上皇は、有名な
「王を奴と成しても、奴を王と言っても、私の好きなようにすればよい。たとえ誰かを帝に立てたとしても、礼を失し従わぬようであれば、これを配せばよい。」
との聖武天皇の命を述べ、淳仁天皇を廃し、称徳天皇が即位する。
称徳天皇は、後世に有名となる弓削道鏡事件を起こすが、これは藤原のための天皇なら、もとの物部系の子孫すなわち道鏡に譲位して、いっそ天皇というものを潰そうと本気で思っていたものと考えられる。
吉備真備も称徳天皇崩御の後、反藤原闘争を続けるが、復活した藤原一族には適わず、天智系光仁天皇が即位。吉備真備は失脚し
長生の幣、この恥にあう
と言い残し、職を辞する結果となる。
ここに聖武天皇・光明子・称徳天皇の親子が戦った反藤原闘争は終わり、光仁天皇~桓武天皇と天智系が続き、桓武天皇の御世、平安京遷都により、藤原の天下・平安時代がはじまるのである。
藤原氏の先祖は百済王族であり、百済王族は騎馬民族の扶余で、いわば少数民族で百済を支配していた歴史がある。
そして藤原氏は律令の抜け穴を悪用し、朝廷を独占。実質的な日本乗っ取りに成功している。
ここまでくれば、藤原氏は天皇位を簒奪する力はあっのに、最終的に実権のみの獲得で終わったのは何故だろうかという疑問がわく。
それは聖武天皇が仕掛けた裏社会との共闘であって、裏社会は過去に藤原氏によって没落させられた物部氏の末裔が育てた文化でもあった。
藤原が統治できない非良民の存在。その鬼の文化によって天皇はもはや藤原氏の手の届かない存在と化したのである。
こうしてみると平安の鬼は、それなりの存在理由があったのだろう。
天平の歴史をなぞるため長くなってしまったが、こうした見方もできるという。この歴史の面白さは、なかなかである。
♪ 「聖徳太子の秘密」
~「聖者伝説」に隠された実像に迫る~
(関裕二著、PHP文庫)
聖徳太子には謎が多い。
例えば、隋へかの有名な「日出づる処の天子」の国書を記したとされるが、隋からの外交使節に応対したのは誰かとの記載は日本書紀には無い。
隋の記録はというと、推古時代のはずであるのに隋の代表は「大王」に会ったと記されている。
このように日本書紀自体が謎とも言えるのである。
著者は語る。
聖徳太子は上宮、上の太子であり、中宮あるいは中の太子が天武天皇、下の太子が天武天皇の孫の長屋王ではないか。
聖徳太子は用明天皇の子、天武天皇は用明天皇の子(または孫)と考えられる高向王の子で、あるいは聖徳太子と天武天皇は親子であったかもしれない。
聖徳太子は、「日本書紀」が創った、蘇我系皇族の象徴だった可能性もある。
蘇我系・天武系王統を後の天智系王統は全く大切にしていない。
にもかかわらず、蘇我・天武天皇一族の祟りを恐れ、一族の寺である法隆寺を恐れたのではないか。
それは、天智天皇・中臣鎌足の組が、蘇我入鹿を始めとして孝徳天皇の側近に至るまで蘇我一族をテロや冤罪で粛清して権力を手に入れ、天武天皇が壬申の乱で
一度蘇我系に戻したところで、次の持統天皇・藤原不比等の組が、再び天武天皇の子孫を悉くテロや冤罪で粛清していった、その流れが、藤原氏に祟りの恐怖を
与えたのであろう。
明治の王政復古は、古代の歴史や倫理観がそのまま復活している。日本書紀の重用も、一度中世に没落していた藤原氏の復活も謎である。
著者は言う、
『日本書紀』編纂の中心に藤原氏がいたとされているから、彼らの隠然たる勢力は、今日の史学界にも大きな影響を与えていると考えるのは、はたして深読みが過ぎるであろうか。
古代史と言うのは過去だけではなく、現在にも多大な影響を与えているようである。
♪ 「継体天皇の謎」
~古代史最大の秘密を握る大王の正体~
(関裕二著、PHP文庫)
継体天皇というと一般には王朝交代という四字熟語が想定される。その前の武烈天皇が悪政の限りを尽くしていると記載されていることから、中国式な連想から考えられているものである。
ところが、継体天皇が何故応神天皇の末裔とされているのかが謎となってくる。
応神天皇は神功皇后の子であり、関氏の説では神武天皇や大物主神の子孫・大田田根子に当たる人物である。
神功皇后の別人格は記紀にいろ
いろある。その中にコノハナサクヤ姫がいるが、コノハナノサクヤ姫を母とし炎の中から生まれた子に、彦火火出見尊(=神武天皇の可能性)と火明命(尾張氏
の祖)がいる。敗走した神功皇后の子孫は、一つは南九州へ逃れ、一つは東国へ逃れたのではないか。そして東国へ逃れた子孫は尾張氏となったのではないか。
そしてヤマトが困窮したとき、もう一方のトヨ(神功皇后)の子孫が求められた、それが継体天皇なのではないか。
継体天皇の擁立がヤマトの王権のリセットとなり、この後蘇我氏や尾張氏がヤマトの運営に影響力を持つようになるのである。
継体天皇は、やはり大きな謎を秘めているに違いない。
それは通説のように新王朝故の謎ではなく、ヤマト建国に遡る謎であろう。
こういった仮説は非常に面白いものである。
♪ 「神武東征の謎」
~「出雲神話」の裏に隠された真相~
(関裕二著、PHP文庫)
今の世の中で神武東征というと「神話」として扱われる。「歴史」ではないというわけである。
しかし、著者は、
「神話や神武東征は歴史ではない」という戦後史学界の頑迷なる思い込みが、歴史を見る目を曇らせてしまった
と悲痛な叫びを上げている。
山陰地方から古代遺跡が出ても「出雲」は神話のままになっている。
では神武天皇とはどのような存在だったのか。
日本書紀や古事記の中にばらばらになって、しかも繰り返し出てくる存在になっていると言う。
日本書紀は通説のように天武天皇の為に書かれたものではなく、その当時国家を席巻していた藤原氏の為に書かれたものである。
そのためヤマト建国の際の事象が全くわからなくなっている。
鍵は「日向」であり「出雲」である。
弥生後期に北部九州が鉄の独占を狙い、関門海峡を封鎖してしまったことから一つの歴史が始まる。こ
のため中国地方以東の国々は日本海側の出雲経由で鉄を手に入れることになる。出雲は繁栄し中心的な存在となり、吉備、越、尾張といった国々と連合し、つい
に北部九州のヤマト(山門)を破るに至る。
おそらく中国での後漢、三国時代、晋といった戦国の世の激動が、列島の方にも大きく影響していたはずである。
筑紫の山門の卑弥呼は、ヤマトのトヨ(神功皇后)に敗れ、天岩戸の事件となる。しかし、九州派遣軍の神功皇后(トヨ)もヤマトの出雲と対立し、敗走し、出
雲の国譲りとなっている。そして南九州に逃れていた神功皇后の子・応神天皇のヤマト入りが、神武天皇のヤマト入りであり、崇神天皇時代の大物主神の子・大
田田根子のヤマト入りである。
非常に面白い、わくわくする仮説である。
中国大陸は殷周革命、春秋戦国、前漢後漢、三国志時代と騒乱が絶えなかった。例えば後漢末期、黄巾の乱、三国志時代には、戦乱のため人口は三分の一とか十分の一とかになったと言う。減った人は全部飢餓や戦乱で死んだのだろうか。そんなはずは無いと思うのである。
想像はいくらでも膨らむ。
♪ 「壬申の乱の謎」
~古代史最大の騒乱の真相~
(関裕二著、PHP文庫)
壬申の乱というと、天智天皇の子の大友皇子と、天智天皇の弟の大海人皇子(天武天皇)が戦って大海人皇子が勝った事件ですが、これが昔からいろいろと話題の種になっています。
天武天皇は天智天皇の弟ではなく兄ではなかったのかとか、何故武力の無いはずの天武天皇が近江朝正規軍を擁する大友皇子に勝つことができたのかとか。
実は大海人皇子は蘇我系の正統な継承者であり、尾張氏とも縁が合った。そして隠棲していた吉野から尾張氏の地盤の東国に無事逃げたことで、勝負が決まった
のである。すなわち精強な東日本の兵力が悉く天武天皇側に付いたことで、近江朝側の兵士は恐れをなして逃げ去ったのである。
日本書紀が天武天皇の命令で編纂されたと言うのはかなりあやしい。藤原の祖、中臣鎌足(=百済王・豊璋)を賛美するため、天智天皇(中大兄皇 子)・大友皇子親子と天武天皇を賞賛して見せたのではないか。そして天武天皇の系譜をうまいこと抹消したのではないか。面白い説です。
天智天皇と天武天皇の長幼が逆か否かというのはもうどうでもいいのです。聖徳太子とされる人物の没年が推古29年かそれとも30年か、大海人皇子の生年が推古31年か否か。これを隠すために日本書紀が編まれていたとしたら、非常に面白いことになりますね。
♪ 「大化の改新の謎」
~闇に葬られた衝撃の真相~
(関裕二著、PHP文庫)
大化の改新というと、中大兄皇子と中臣鎌足が専横を振るう蘇我入鹿を成敗し、古代の行政改革を進める魁となった事件と、一般には考えられている。
しかし、実際には違うのではないか、というのが著者の意見である。
聖徳太子が導入しようとした律令制度は、蘇我系政権下で実施されようとしたが、それを潰したのが中大兄皇子(天智天皇)と中臣鎌足(実は百済王・豊璋)の
組であった。壬申の乱で一旦は蘇我系の天武天皇の政権で行政改革が進められたが、天武天皇崩御後、持統天皇(天武の娘)と藤原不比等(鎌足=豊璋の子)の
組が改革を骨抜きにしてしまった。律令制度は欠陥だらけの法制となり、この後、藤原氏は権力を利用して土地を私有する(荘園)こととなる。
中世、武士が勃興し、源頼朝が鎌倉政権を作ってやっと、藤原氏が国家を私する時代が終わることになる。
乙巳の変とは、改革ではなく改革つぶしだった。
この視点は新しい。
なんだか、現代の相にも似ている。
それもそのはず、歴史はつながっているからである。
特にこのシリーズが気に入っているのは、単に古代の謎解きだけではなく、各章の最初に書かれているコラムが秀逸だからである。
いくつか挙げる。まず、明治維新について書かれたくだり:
極
論すれば、明治維新は理想に燃えた若者たちの夢を食い尽くし、現実を泳ぎ回るのに巧みな小人物たちだけが残り、彼らが浅知恵で急ごしらえした改革事業とい
うことができる。その結果、多くの弊害を後世に残してしまったとはいえないだろうか。派閥がものをいい、官僚がのさばる社会が完成した。(第一章)
その他の章も、本シリーズが扱っている古代史とその後の日本の歴史とを合わせ鏡にしたコラムが書かれており、これだけでも読み物として面白いできになっている。
♪ 「ファイザーCEOが語る 未来との約束」
(ハンク・マッキンネル著、村井章子訳、ダイヤモンド社)
製薬業界の世界一企業、米国のファイザー社の会長兼CEOが書いた医療への希望と願いが込められた本。
ご存知のように、日本も米国もそ
して世界中の国々で、従来の医療制度に黄信号が灯っている。総医療費の増大、医療事故の増加、そして医療に対する不安と不信。皆真面目に対策を考えている
が何かが間違っているのではないか。それに対して製薬業界のトップが投げかけた、こういう考え方があるという問いかけ。医療を患者と医者の関係に戻そう、
治療も大事だがもっと予防に重点を移そう、そういったことが書かれている。
製薬企業の経営者が自分達の都合の良いように書いていると見る人もいるだろう。そういった読み方もあると思う。しかし内容は非常に真摯なものであるし、一顧の価値はある。
なお、中のエピソードにも良いものがあるので、それだけでも面白い。
著者は"自分の健康には自分で責任を持つ"を始めとして10の提言を行っている。詳しくは本書を読んで欲しい。あまりにも楽観的で魅力的で、しかしながら今までの各国政府の思想と全く反対の方向であるので実現は非常に難しいと思う。
医療関係の端っこに位置する者として、良い提案の一つだと思われる。
興味のある人はぜひ一読を。あなたの健康や医療に対する視点が変わるかもしれない。
♪ 「「脳」整理法」
(茂木健一郎著、ちくま新書)
「脳」で有名な茂木先生の著書です。
世界の理解に必要な「冷たい知」である「世界知」と、生きていく上で必要な「熱い知」である「生活知」。
この二つのバランスの必要性を著者は説きます。
また、生きていく上では、偶然と必然の間の微妙な「あわい」領域=偶有性の読みの良さが必要であるとも説きます。
脳の使い方如何で生き方が変わるのです。
「セレンディピティ」の説明も秀逸です。
セレンディピティは「偶然の幸運に出会う能力」とされますが、「行動」、「気づき」、「受容」が偶然を必然にするセレンディピティを高めるために必要だと。
ここで、著者は言います:
偶然素敵な恋人に出会う能力と、偉大な科学的発見をする能力は、じつは同じである。
もうこの台詞を紹介したくて書いたようなものです。
この本にはいろんなヒントが隠されているように思われます。
♪ 「消された王権・物部氏の謎」
~オニの系譜から解く古代史~
(関裕二著、PHP文庫)
一般の歴史では、物部氏は蘇我氏との争いの果てに滅んだことになっています。
では物部氏は全く無くなったのか。
そうではない、シコ、モノ(鬼)と呼ばれていたものからオニと呼ばれるものになったのだと。
称徳天皇、道鏡、天武天皇、役小角、橘諸兄、玄昉、吉備真備、聖武天皇、行基。この鬼達の本当の願いとは何だったのか。
そして天皇家はなぜこのような永きに渡って存在しているのか。
古代から続く日本の風土に基づく歴史が、今の日本の宗教観にも現れている。
筆者は言う:
こ
のような穏やかな宗教観が、今日につづく日本人の”あいまいさ”につながっているとするならば、むしろ我々はこれを誇りとすべきであろう。民族紛争、宗教
戦争に彩られてきたこの世界の歴史に鑑み、これからの地球を思うとき、この”あいまいな発想”こそ、最も求められてくる宝物思われるからである。
♪ 「スレイヤーズすぺしゃる(26)ミッシング・セイント」
(神坂一著、富士見ファンタジア文庫)
ご存知、リナとナーガの珍道中。
馬鹿話なのだが、話のテンポが非常に面白い。
疲れた頭には良い清涼剤になります。
この歳でこんな本読んでるとなんか言われそうですが・・・
♪ 「古代史の秘密を握る人たち」
~封印された「歴史の闇」に迫る~
(関裕二著、PHP文庫)
蘇我入鹿、藤原不比等、饒速日命、葛城氏、聖徳太子、中臣鎌足、道鏡、神武天皇、崇神天皇、雄略天皇、継体天皇、天智天皇、天武天皇、聖武天皇、卑弥呼、神功皇后、斉明天皇、持統天皇、光明子、称徳天皇、スサノオ、大国主神、浦島太郎。
これらの人物は古代史においていかなる意味を持つのか。
まえがきで「太平洋戦争が起きた原因を、聖徳太子をもって、解き明かせ」との問題を提起。
聖徳太子が目指した律令制の導入と、明治日本が目指した近代憲法の導入。そしてその結果の類似性。
では、律令制導入前後は何が起こっていたのか。
日本書紀がかき混ぜて隠してしまったであろう歴史の流れを、ある補助線で読み解いていきます。
その補助線とは、藤原氏の支配。
この名家が世間からはどの様に見られていたかを考えれば、確かにこういった見解も肯けるというもの。
筆者の考えるように、古代史を紐解くことで、現代日本の行く道を考えることができるかもしれない。
今の天皇家の状況を考える上でも、参考になるかもしれない本かもしれません。
♪ 「土曜日の実験室 詩と批評とあと何か」
(西島大介著、INFASパブリケーションズ)
いや、なんと言うか。
確かに実験的な詩と批評です。
わかる人にしかわからない世界・・・か。
♪ 「古代史」封印された謎を解く
あまりに意外な「あの人物・あの事件」の真相とは?
(関裕二著、PHP研究所)
この本のテーマの一つに「日本書紀が編纂された目的は何か?」があります。
通説では天武天皇のために書かれた事になっているが、実は持統天皇・藤原不比等のために書かれたものだったのではないか、と。
日本が律令制に移行する前夜、ヤマトの朝廷では何が起こっていたのか。
そこに蘇我、物部といった、実はヤマトの正統王家と、実は滅亡百済王家に乗っ取られた中臣家(後の藤原家)の暗闘があった。乙巳の変(大化の改新)、壬申
の乱と流れて行き、最終的に裏技で藤原不比等が主導する当初考えられていたのとは似ても似つかぬ律令制が敷かれてしまったのではないか、と。
その後日本という国を私物化した藤原家は、現代に至るまで名家であり続けるのです。しかしながら後ろ暗い印象を拭い切れないのは、藤原家の歴史に根差すものかも。
なかなか面白い本です。
♪ 「人は見た目が9割」
(竹内一郎著、新潮新書)
情報の伝達手段として、言葉は全体の7%しか占めていない。
残りの93%の方が当然割合が大きい。
そこで「見た目が9割」なのである。
見た目だけでなく、仕草、行儀作法から伝わるメッセージは実は大きい。
そういったことが書かれています。
マンガ、舞台を活躍の場とする著者ならではの視点が新鮮です。
一読をお勧めする本です。
♪ 「仏教vs.倫理」
(末木文美士著、ちくま新書)
仏教の倫理性欠如という刺激的な文言は、読書魂を惹きつけます。
最近の日本社会における道徳・倫理が摩滅している様に見える件については、仏教を始めとして宗教は皆適用できない。
宗教は超・倫理であると。
そして葬式仏教は実は非常に意味があることではないのか、とも。
究極の他人である死者を我々は忘れてはいけないという指摘には感服しました。
生者だけでは世界を維持していくことができるのか、できないのではないか。
この本は人間とは何かを問い直してくれる本です。
♪ 「幼年期の終り」
(アーサー・C・クラーク著、福島正実訳、ハヤカワ文庫)
オーバーロードと呼ばれることになる彼らの不可思議な行動、そして人類の上に最終的に訪れる状況。
こういった不思議な人類物語も、またありえるのだな。
♪ 「ストリンガーの沈黙」
(林譲治著、ハヤカワSFシリーズ Jコレクション)
「ウロボロスの波動」の続編。
AADDと地球の対立は次第に厳しさを増し、ついに地球はAADDへの攻撃を決定します。
その時AADD側は、心臓部とも言える天王星系にあるAADがおかしくなっていきます。
同時にストリンガーと命名された未確認物体が太陽系に接近。
一体、AADDの運命はどうなるのか。そしてストリンガーの正体は。
そして最後に衝撃の事実が出てきます。
なかなか味のある作品です。
♪ 「でたまか アウトニア王国人類戦記録5 長嶺来光篇」
(鷹見一幸著、スニーカー文庫)
15冊にも渡る旅がやっと終わりました。
楽屋落ち小説と作者も自嘲していますが、アニメ・漫画世代、それもちょうど我々の世代にとってはとても懐かしいものでした。いわば、我々の世代に向けて「こんなのあったよね、覚えてる?」と語りかけてくるような作品でした。
ザナックスと人類の生存を賭けての戦いは、どのように行われ、どのような結果になったか、それは本書を読んでください。
いつもは電車の中で読むのですが、今回は自宅で読んで正解でした。とても電車の中では読めなかったでしょう。
「ええかっこしいと、やせ我慢」
この作品の基本律が、この最終巻で開示されました。
この作品はネット世代の共感を呼びながら、なおかつネットで批評されると言う最近の出版物に特有の業を背負って生まれ、書かれています。作者は小生の一世
代上の自称オヤジですが、このような人がライトノベル界に参入してくれたことは、ライトノベルの層を厚くする意味で非常に重要だったと思われます。
ライトノベルは、少年少女にとっては憧れであり、我々若い大人にとっては懐かしい童話であると思います。この作品にこめられた想いの一つは、ひょっとしたらこれからの戦いに役立つかもしれない。
そう思います。
♪ 「99.9%は仮説」
(副題)思い込みで判断しないための考え方
(竹内薫著、光文社新書)
♪ 「ガリア戦記」
(ガイウス・ユリウス・カエサル著、國原吉之助訳、講談社学術文庫)
♪ 「太陽の汗」
(神林長平著、ハヤカワ文庫)
♪ 「泥棒国家日本と闇の権力構造」
(中丸薫、ベンジャミン・フルフォード著、徳間書店)
♪ 「語られなかった皇族たちの真実」
(竹田恒泰著、小学館)
♪ 「ゴーマニズム宣言EXTRA 挑戦的平和論」
(小林よしのり著、幻冬舎)
♪ 「ローマ人の物語XIV キリストの勝利」
(塩野七生著、新潮社)
西暦337年から395年、四世紀のローマ帝国を襲った変化の歴史を描いている。
ローマ帝国の終焉は、地理的感覚から見れば蛮族の侵入をローマ軍で防ぐことができなくなったことが理由のように見える。しかしながら国家的感覚から見れ
ばこの理由だけでは足りない。むしろ、ギリシャ・ローマの多神教の世界からキリスト教の世界に百年程の時間をかけゆっくりと変わって行った事の方が大きな
理由なのではないか。ローマ帝国の主神がユピテルからキリストになった時、ローマの一千年余の歴史が幕を閉じたのだろう。
日キリスト教徒である日本人著者がローマの歴史を語ることの大きなメリットがこの巻で明らかになると言えると思う。
ローマの美術、芸術、文学、思想が、一宗教の帝国乗っ取りによりほとんど全て破棄されてしまったのは、歴史の帰結とはいえもったいない限りである。皇帝
や国民の大部分が特定の宗教、思想に突っ走った時、それを是とできない人々は、自分達の歴史を守ることができるだろうか。そうした感想を抱かざるを得な
い。
ホームページからの疎開 その5
読書記録 平成17(西暦2005)年
(塩野七生著、新潮社)
三世紀の終わりから四世紀の始めあたりのローマ帝国の様子です
ディオクレティアヌスとそれに続くコンスタンティヌスの時代
強くなってゆく蛮族の侵攻は、ローマを次第に変えてゆきます
それまで中流が中心だったローマ
効率を上げるため皇帝独裁の方向へローマは舵を切ります
そしてコンスタンティヌスが利用したのは、あのキリスト教でした
ローマはどこへ行くのか
(鷹見一幸著、角川スニーカー文庫)
320億人を犠牲にした起死回生のエイリアンへの対抗策
果たして人類は勝利をつかむ事が出来るのか
今回はいろんな意味で大変でしたな
後本編外伝とも一冊ずつです
(石井一著、自由国民社)
大阪国際空港を副首都に
京阪神地区では、大阪国際空港(伊丹空港)、関西国際空港に続き、2006年2月に神戸空港が開港します
神戸空港に関しては、関西に3つも空港は要らないとかいろいろ言われ、反対運動も凄まじかった
しかし、大阪国際空港は”国際”とは名が付いているが、国際便は飛んでない、貨物便も飛んでない、
おまけに騒音対策で夜間は飛べないと、はっきり言って欠陥空港なのです
実際、関西国際空港や神戸空港を作った後は伊丹にある大阪国際空港は廃止になることになっていて、
住民も騒音問題でそれを望んでいたのに、いざ関西国際空港ができてみると、地元の経済が不振になるとの観測が働いて、
残してくれということになってしまったわけです
最近大阪国際空港を第一種空港から格下げして国の管理から外し、騒音対策費を乗客から徴収するという
摩訶不思議な事態になっているのです
一方、東京はいつ巨大地震に襲われても不思議ではないと言われています
東京が地震で機能不全に陥ると、日本の国家機能が麻痺してしまう。のみならず、経済にも巨大な悪影響が出てしまい、
下手すると世界経済にまで悪影響を与えるかもしれない。これは911でNYの機能が麻痺したのを見ても絵空事ではないのです
歴史的にも、1923年の大正関東大震災から日本は最後まで回復することができず、軍事国家となり、1945年の敗戦まで
続いたのです
このため、危機管理としていろいろ取りざたされているが、東京への一極集中はなんともまずい
今はバックアップがなくてクラッシュすれば馬鹿にされる世の中ですが、日本はそんな状況なのです
首都のバックアップ都市は是非とも必要でしょう
そういった事を考えると、大阪国際空港を廃止して副首都を建設するという案は、非常に興味深い
騒音対策が不要になる。ほとんど国有地なので極端なことを言うと明日からでも着工できるし、
何よりも土地代が要らない。緑地を十分確保すれば、現在の騒音や排気ガスを出す空港に比べて環境に多大な貢献ができる。
交通整備がほとんど不要。京阪神都市に近いのでいろいろサポートが可能。関西の経済には文句なしの起爆剤。
少し考えただけでも、これだけのメリットがあるのです
今は大阪空港も使っている人が多いので本気で考える人は少ないでしょうが、神戸空港が来年開港して
大阪空港の重要度が下がってくると、皆の意識も変わってくるのでは、と思います
もう京阪神は東京を見ずに、世界を見ていくべき時期でしょう
伊丹に今の上海を凌駕する程の成長センターができるというイメージにわくわくしませんか
もう、是非とも実現して欲しい話です
著者は衆議院議員の石井氏。ダッカのハイジャック事件を担当し、阪神淡路大震災に遭い、 日本の危機にあっていろいろな経験を積んできた人です。自民党から別れ民主党の重鎮となっているようです
(矢田浩著、講談社現代新書)
鉄を科学・物理・生物・地学の全てから見てみると非常に面白い
生命が生まれた理由、人類の歴史が発展して来た理由がとても良くわかります
昔、森を復活させると下流の先の海の魚が復活するという話がありましたが、これも鉄のなせる業だったのですね
二酸化炭素を減少させる方法の一つに、海に鉄を撒くというものも
環境保護団体との戦いになりそうですが、いい勝負になるかも
地球環境の変化が鉄で語ることができるみたいでとても面白いです
(柳下公一著、日経ビジネス人文庫)
二十世紀末一世を風靡した成果主義ですが、富士通本に見られる様に日本には
合わないのではないかという疑問の声がたくさん上がっています
そんな中で、武田は成功した方だと自賛しているのですが、どうでしょう
小生のところの部長氏も、武田がこのままうまくいくかどうか疑問視してますし、
実際武田から切り離され千葉に転勤になってしまった小生の友人からは
従業員がどんな扱いを受けていたかいろいろ聞きました
著者は営業から人事畑に行った人の様ですが、労働組合や社員の本音が見えているのかいないのか
十年後の日本の主流がどうなっているか、ある意味楽しみです
成果主義は残らないと思うけど
(桃白歩実著、寺子屋新書)
関西弁で漢詩
このコンセプトにはぶったまげましたが、なかなか
味わい深いものです
さすがや、関西人
(夢枕獏著、文春文庫)
安倍晴明とその周りにいる人間たち
いい味を出しているのですね
人の世の哀しさが、とても愛しいものに思えてくるから不思議です
訳知る男たちの物語と言いましょうか
今回は女も出てきます
夢枕獏の描く晴明は、奥が深く感じられます
(東京大学地球惑星システム科学講座編、東京大学出版会)
太陽系の起源から現在の地球温暖化の状況まで一冊の本に纏めるとこんな感じになります
20世紀末から次第に太陽系の歴史や地球の歴史、生物史などが明らかになってきました
これまでの学問の集積が一気に花開いた感じがします
子供の頃に読んだ仮説もわくわくしたものですが、現在明らかになっている太陽系史、
地球史、生物史はさらにわくわくします
この先もっと解明されていくと思います
科学って偉大ですね
(チョ・ヨンナム著、ランダムハウス講談社)
書店を眺めていて、あまりに面白いタイトルだったので買ってしまいました
この芸人さん面白いです
ギャグでもこんな題名を付けれるのはさすが
韓国にもこんなギャグメーカーがいたんですねぇ
わりと感心
(神坂一著、富士見ファンタジア文庫)
ギャグとシリアスの融合が得意な作者
今回も面白い話を作ってくれました
こういったお気楽に読めるファンタジーってのもいいものです
あんまり真面目じゃないけど、そこは大人の余裕で
(ジャン=ピエール・ヴェルデ著、荒俣宏監修、創元社)
天文・気象に関する昔話を集めたものといいましょうか
天文気象現象を昔の人がどう捉えていたかを探れる資料集です
昔の人が全きにこう信じていたとは言えない面もありますが
とりあえず当時はこう説明されていたのです、という感じです
(F.W.ニーチェ著、適菜収訳、講談社+α新書)
私はニーチェにはとんと疎かったのですが、これを読んですごいと思いました
ヨーロッパでキリスト教批判というのは、この前の韓国の人が親日宣言したと同じくらいすごいです
キリスト教は弱者の宗教で、人間を愚かにするとの指摘は凄まじい
仏教とかマニ教とかの自然性を尊んでいるのが目に付きます
とはいえ、この本は「超訳」です
ニュアンスが合っているかどうか疑問は残ります
とはいえ、ぐっとわかりやすくなっています
イエスはこんな教えを説かなかった、パウロやその後輩たちがゆがんだキリスト教を
発明したとの指摘はさすが
科学と相容れないキリスト教の姿は、我々非キリスト教徒の目から見るとある意味滑稽に見えます
処女懐胎、死者の復活を教義の中心に置いていたら、そりゃ駄目でしょう
この本を読むまではわりとキリスト教に好意的だったのですが、こうした指摘を見ると
あまり好意的にもなれません
まさにお釈迦様とニーチェとイエスはわが友、パウロと孔子はわが悲しみ、という感じでしょうか
現代にもう一度人間復興が欲しいところです
(B.R.アンベードカル著、山際素男訳、光文社新書)
ブッダの生涯とその教えについて、ブッダ生誕2500年後に著したものです
著者アンベードカルはインドの不可触民として生を受け、様々な差別の中にあって
大勉強の末、大英帝国で経済学博士と弁護士の資格を取ります
その後不可触民カーストの解放を掲げ、政治活動に邁進します
インド独立の父ガンジーとは不可触民の扱いを巡って対立しました
第二次世界大戦後ネルー首相に招かれ、法務大臣としてインド憲法の制定に尽力します
この間アンベードカルは不可触民制度の源泉たるヒンズー教を破棄しています
そしてインドでの仏教復活を試み本書を著しますが、ブッダ生誕2500年の西暦1956年、
その65年の生を終えてしまいました
既存の仏教では、成仏思想、往生思想、輪廻思想がありますが、この本にはありません
ブッダの言う「再生」とは例えば人間が死んだら土に還り、再び動植物の体の一部
となろうということ、「業」は輪廻思想では前世・現世・来世の中で語られるが、ブッダは
霊魂思想を排除し、両親からの遺伝のことを言ったのではないか、輪廻思想はバラモン教の
ものが誤って伝わったのだろうということを著者は語っています
その他四門出遊を採用していないとかいろいろありますが、こうした態度が従来の仏教
と違うということで大乗・小乗の仏教の人々には受け入れられず、新仏教とかアンベードカル
乗とか呼ばれています
しかし、著者の尽力でインドの仏教徒は億の単位になろうとしています
こうした仏教の捉え方は、科学的で好ましいと思われるのです
たとえ既存の仏教とは異なっていても、ブッダが今の世に在ればおそらく科学的に
説いただろうと想像できます
仏教は虚学ではなく実学なのですから
科学者としてはアンベードカルに一票入れたいと思います
著者が1956年に没した後、その遺志を継いでインド仏教復興に尽力しているのが
日本人僧侶であることに非常に驚きましたが、その佐々井師というのが私の地元の出身で
あると聞いて二度驚きました
こういうのを縁というのでしょうが、これ位なら非科学的であってもうれしく感じます
(鷹見一幸著、スニーカー文庫)
でたまか本編を補完する外伝という意味合いの拾遺録です
それぞれの登場人物に的を絞った物語です
各人が味がある人なので、外伝として読むと本編がより楽しくなるかも
ほっとしたり、寂しかったり、いろいろな感情がでてきますね
著者紹介を見て気になったのですが、作者が疲れてきたということなのかな
完結まであとすこし。がんばってください
(小川一水著、ハヤカワ文庫)
惑星統一を果たした帝国の首都を激震が襲う
国家機能がほとんど壊滅した状況で、生き残った人々がたどる運命はどうなるのか
そして、他の星間国家の動きは震災後の惑星にどんな影響を与えるのか
関東大震災とか阪神大震災をSFに仕立て上げた強者です
ハードSFに近い作品になっています
途中まではほとんど救いがなくなるような展開で、読んでいて辛い感じがしたのですが、
最後で何とか救われるような気がします
人によったら、デウスエクスマキナ、機械仕掛けの神、と感じるかもしれませんが
こんなに筆力がある作者にめぐり逢ったのも久しぶりな気がします
三巻完結なので長いですが、読み応えはあります
おすすめの小説です
(谷甲州著、ハヤカワ文庫)
航空宇宙軍史で日本SFに一つの領域を生み出した谷甲州の短編集
谷さんらしいハードSFに加えて、谷さんお得意の馬鹿SFも二編あります
困難に挫けずに突き進む主人公たちと、もたらされる意外な結末
谷甲州の作品のスケールは一千年、一万年あるいはそれ以上のものなのです
SF好きにはお勧め
(飛浩隆著、ハヤカワ文庫)
この人の作品を読んだのは初めてですが、何と言うか不思議な作品です
短編の4編は、どれも読んでいるとジェットコースターに乗っている様な感覚になります
例えれば、最初地球上にいるはずだったのに気が付けば月面上にいるような、
そんな気持ちにさせられます
言葉の魔法使いと言いましょうか、なんとも表現のしがたい作品です
(松浦晋也著、エクスナレッジ)
スペースシャトルは宇宙開発のスターとして華々しくデビューしたものの、その実は
大いなる器用貧乏な欠陥品であった。そのため、世界中がそれに引きずられてしまい、
巨大な予算にも関わらず宇宙開発は停滞してしまった
まとめるとそんな感じです
自分もスペースシャトルは最新の技術が駆使された傑作であると
わりと信じていた口なので何も言えませんが、この本を読むと
もうちょっと何とかならんかなと思ってしまいますね
科学技術は政治の制約をいろいろ受けてしまうので、辛いところですね
日本も含め、世界中がもう一度宇宙開発に真剣な目を向けてくれると良いのですが
良い方向に転がることを期待します
(香山リカ著、講談社現代新書)
精神科医の目から見た心に病を抱えた人の考察です。常に不安、自傷、薬物、自分探しなど
の例を出しながら、境界例患者についての話題を綴っています
この中で特に興味を引いたのが、ネット上で別人格を演じる、例えばネカマなどが
挙げられますが、そういうことをしていると、段々多重人格っぽくなる例があるというもの。
世の中にネット上で別人格を演じる人は多いみたいですが、そんな効用というか副作用
というか、あるのですね
(日下公人著、ビジネス社)
日下さんはいつも面白い本を書きます
この本も面白いのですが、10年前の著書に手を加えたもの
そう、10年前に言っていたことがかなり当たっているのです
日本型人事とか日本型経営とか言っていたものは中進国なら一般的なものとの指摘はさすが
囲碁界と将棋界の厳しさの差とその結果の例えも面白い
人本主義と言う、日下さんならではの用語もそのうち一般化するかも
それにしても、老害指導者というのは恐ろしいものだ
とか思っていたら、うちの会社にもちらほらと見える気がしてうんざりですが
一読されることをお勧めします
(田中芳樹、荻野目悠樹著、徳間デュアル文庫)
SF版オスマン帝国対ベネツィアの第六巻です
今回もファルネーゼの兄妹は命を狙われ続けます
いろいろな伏線が微妙に絡み合ってきました
それにしても失われた技術ってのはほとんど反則技ですね
(笹本祐一著、朝日ソノラマ)
宇宙海賊と宇宙の秘宝と女子高生の三大話です
1990年代前半に書かれたスペオペのリメイク版です
自分だったらなんとなくSFライトノベルに分類しちゃいますけど
素直にこういう作品てうれしいですね
原作が12年も前ということですので、今の横須賀の雰囲気とかは異なっているのかも
しれませんが、横須賀を知らない自分なんかは素直に読めました
ちょっとハードっぽくなっている最近のライトノベルとは違い
本当に素直な作品です
(橋爪大三郎著、PHP新書)
人間学アカデミーの第3弾です
社会学者の目から見たアメリカを論じています
橋爪教授の語る社会論はバランスが取れていて面白い
多分誰にでも受け入れられるように語っていると思います
大日本帝国はアメリカの姿を読み間違えて、えらい目に遭いました
橋爪教授は、再び読み間違えないようにとの思いで、この本を書いています
さて、アメリカとは何か、どんな国家か
基本旋律は、キリスト教を基とする宗教国家だということ
そして、自分たちが正しいと信じ込んでいる国家だということ
その他のアメリカの基本行動について論じていますので、興味のある人は読んで下さい
こういった本ではなんとなく書いてあるエピソードこそが面白い
相続法の考えも面白い
アメリカでは相続税が高く、大金持ちでも子や孫の代になるとほとんど残らない
だから、親は子に勤勉を説くようになるのだ、と
このことは、他の国では見られないことの様です
戦後日本が、アメリカに似て相続税が高いということが、アメリカと日本を
かなり似せて見せているのだという指摘は、うなずくところがあります
もう一つ、モンキートライアル(進化論裁判)
この本を読むまでは、こちこちの原理主義者が聖書と異なることを書いてあるから、
進化論を嫌うのだろうと思っていました
ところが、進化論には聖書と異なるということは、つまり、進化論を教えることは
聖書を否定する考えを教える、新たな信仰だから駄目なのだ、と考えると腑に落ちる
進化論が科学的に正しいか否かを超越した問題ということろに、アメリカのアメリカたる
所以があるのでしょう
その他面白いエピソードが詰め込まれています
(李景芳著、講談社+α新書)
中国人と日本人の行動や反応の差を中国出身の人の目から見たものです
中国人と日本人の社会生活の差が思わぬところにありますよ、という感じで
外国人は日本人と異なる社会基準で育っているので、行動や反応の差にギャップがあっても
仕方が無いと頭では理解しています
しかし、実際にそういった場面に遭遇すると面食らいますよね
(浜田和幸著、光文社ペーパーバックス)
水利権というのは昔から存在します
日本でも水の争いというのは昔からありました
現代人の何割かが忘れているだけで、知っている人は水の権利の重要性を知っています
地球上の淡水の水質がどんどん悪化しているとか、世界企業が水資源の独占を狙って
暗躍しているとかは、前にも他の本で紹介しました
前は外国のNPOの人が書いた本でしたが、今回は日本人の書いた本です
最後の章で、日本の水技術が世界を救う、とありますがまあそうなったらいいですね
なんにせよ、謀略で被害を被るのは、いつも立場の弱い人なんです
スターウォーズ28年の伝説の最終幕
選ばれし者アナキン・スカイウォーカーは如何にしてダース・ベーダーとなったのか
彼がサイボーグとして生きることになった理由は何故か
如何にしてパルパティーン議長は銀河皇帝となったのか
如何にして共和国は帝国へと変貌したのか
如何にしてジェダイは滅亡の道を歩んだのか
如何にしてルークとレイアは産まれたのか
その答えが全て詰め込まれています
映像の綺麗さと戦闘シーンの凄さは最高です
しかし、この作品を見たとき、悲しみの涙が出ました
なんとも救われない話です
あまりの心の寂しさに、エピソード6のジェダイの復讐を再び見ることにしました
ルークが今まさに皇帝に倒されようとする時、ダース・ベーダーは父アナキンの心を取り戻します
そして、この時こそ皇帝を倒し、自らの人生にけりをつけるのです
「6」では最後にオビ・ワンとヨーダともう一人が死者の霊としてルークに優しい眼差しを向けています
エピソード3を見た後であれを見ると、なぜそこにアナキンの霊がいたかがはっきりわかります
ルーカス監督が「スター・ウォーズはアナキンの贖罪の物語なのである」と言った意味がよくわかります
確かに、4、5、6、1、2、3と見るのと、1から順に見るのとではアナキンの役割は全く違って見えます
アナキンの物語である1~3とルークの物語である4~6
悲しみは喜びに、絶望は希望に変化する物語。傑作といってよいでしょう
そしてアナキン役のヘイデン・クリステンセン
物語が進むにつれて目つきが悪くなっていきます。可哀想なくらいに
そしてエピソード6のアナキンの霊と、実はとてもよく似ていることにびっくりしました
ここまで詰めてルーカス監督は作っていたのか。脱帽です
(保阪正康著、新潮新書)
太平洋戦争とは何だったのかを、政治性抜きに語った本です
読めば読むほど、大日本帝国の指導者達の情報処理と対応の不味さに眩暈がしてきます
いきあたりばったりで300万人以上の国民を死亡させてしまったという感じが否めません
当時の国際情勢を考えると、判断は確かに難しかったと思いますが、
それにしても判断の最悪を極めたという感じです
問題は、こうした情報処理と対応の不味さは現代日本人の中にもあるような気がすることです
20世紀前半の大日本帝国の興亡はなんとよい歴史の反面教師であることか
感情とか政治抜きで、もっと分析しなければならないことが多い時代だと思います
(ヘレン・ミアーズ著、伊藤延司訳、角川onテーマ21)
GHQの一員であった著者が、「日本て占領されるほどひどいことをしたのか?」という
感じで書いた本です
内容がGHQによる占領をあまり正当化してないので、マッカーサー元帥が日本での発行を
禁じてしまい、日本ではあまり知られていませんでした
白人は非白人を差別していると正直に書いた本といえるでしょう
その後の東アジアとかソ連圏の歴史とか知ったら、著者はなんと思ったかにも興味がありますが
(日下公人著、祥伝社)
日下さんの著書は元気を与えてくれますが、日本にそこまで甘い評価でいいの、といつも思います
今回は少子化
少子化の理由は、結婚して子供を生みたくなるほどのいい男、いい女がいないからとの説
かなり納得できます
今回は国際社会をけちょんけちょんに言っているのが見所でしょうか
ところどころ凄いことを主張してますが、面白い本です
■ 8/7(日) 公明党・創価学会の真実
(平野貞夫著、講談社)
公明党の批判本かと思いましたが、全体では公明党を擁護しているように見えます
今の自民・公明政権に不満があるようです
自民党と社会党のだめっぷりが見事に書かれています
(竹内薫著、インデックス・コミュニケーションズ)
「ナイトサイエンス」っていうとなんとなくいかがわしく聞こえますが
論理的にではなく、直感や霊感から出発した研究のことを言うらしいです
ともあれ「夜の物理学」
主に宇宙論などのことについて書かれています
ところどころ「と学会」風味なのがいい感じです
ともかく一番良かったのが科学者のちょっとしたエピソード。面白いです
(鷹見一幸著、角川スニーカー文庫)
本編ですが、サイドストーリーみたいな感じに仕上がっています
でたまかはかなり辛い状況が延々と続いていますが、第三章は極めつけです
読んでいて泣きたくなるライトノベルっていうのは電車で読めません
この巻の時点で、人類がザナックスに勝てる見込みはほぼ皆無
さて、後一冊
作者はどういう展開を考えているのでしょうか
楽しみです
(神林長平著、ハヤカワ文庫)
神林長平の1980年代の作品です
永久人とかハイブリアンとかPABとか神林作品にはおなじみの装置が組み込まれています
今の作品とは微妙にタッチが違うような気がしますね
こんな作品も書いてたのか、と個人的には満足してます
■ 9/18(日) 使える!「徒然草」
(齋藤孝著、PHP新書)
徒然草というと学生時代、古文の授業の時お世話になったものですが、それだけではつまらない
兼好法師の考えが実に豊かに描かれていて、現代においても役に立つというもの
あの「声に出して読みたい日本語」の齋藤先生の徒然草論です
結構面白いです。これを読んだら「徒然草」が読みたくなりますね
(田中芳樹著、光文社カッパ・ノベルス)
「できたぞ。読め!」
という表紙裏に書いてある著者のことばにはびっくりしました
あんまりこんなことを言う人ではなかったのですが、不思議なものです
さて、角川から光文社へ出版社が移って、文庫版から新書版に変わりました
そして、筆致も少し変わったような気がします
10巻が1999年10月でしたから・・・6年のご無沙汰ですか
それだけ時間が流れれば、書き方も変わっても仕方が無いか
さて、第一部では伏線だった蛇王側が攻勢をかけて来たようです
周囲の国々も慌しくなって来ました
主人公のアルスラーン王の影がいまいち薄いのが気になります
そして11巻になっても部下となる十六翼将のうちまだ一人が現れていません
どうなるんでしょう
(羽生善治著、角川oneテーマ21)
羽生さんは平成8年に、前人未到の名人、竜王、棋聖、王位、王座、棋王、王将の七冠を達成した有名人です
現在でも将棋界で一番強い人でしょう
そんな羽生さんの本です
なかなか良いことが書いてあります
同い年なのですが、しっかりしている人はしっかりしているものです(汗)
(藤原正彦著、新潮新書)
講演記録を元に筆を加えたとのことですが、筆を加えてこれだったらその場ではなんて言ってたんだ・・・と思うほど書き始めがすごく感じられ、よく売り出す気になったものだと変な意味で感心してましたが、読み終わればそこら辺の雑さはあまり気になりませんでした。
もう、自分が普段思ってたり感じてたりすることがそのまま書いてありました。
細かいエピソードとかが正しいかどうかはわかりませんが、筆者の意見にほぼ賛成です。
すべての先進国で社会の荒廃が進んでいる、自由平等民主主義を疑う、武士道精神の復活、家族愛・郷土愛・祖国愛・人類愛、読書・国語・数学の大切さ、美しい風景と情緒、などなど。
こういう日本人にとって当たり前のことが本になって「いいこと言っている」と感心するようになるほど現在は酷いという側面もあるのですが。
この本を読んで思い出した。
学生時代、研究室のある先輩が「どんなに英語ができても普段挨拶しない奴は外国に行っても挨拶なんかできやしない」という意味のことを叫んでいました。
この本の著者も同じようなことを言っています。みんな痛い人を見た経験があるのだな、と思った次第です。
まあ、人心の荒廃、学力低下、政府の怠慢、政治家の質の低下などなど挙げればきりがないですが、そろそろ考えた方が良さそうですね。
上司の上司が「この国の政府は国民を売るからなあ」とのたまっているのをよく聞きますが、まことに悲嘆すべきことです。
買って読むほどの本かと言われると辛いところはあるのですが、私は読んで面白かったと申しておきましょう。
ホームページからの疎開 その4
読書記録 平成16(西暦2004)年
(塩野七生著、新潮社)
1年に1巻ずつ出ている本なので、12巻というのはとても感慨深いです
分量もでかいし値段もしますし(笑)
今巻は三世紀を描いていますが、ローマ帝国の下り坂という感じです
どんなにがんばっても、良いと思って突き進んでも、昔と同じようには行かないと
そういった悲しさが漂ってきます
この本の中で一番記憶に残った台詞は、
「どんなに悪い結果に終わったことでも、それがはじめられたそもそもの動機は、善意によるものであった」(p.32) ユリウス・カエサル
です
人間を束ねる政治は、そもそも難しいものなのです
(森博嗣著、講談社NOVELS)
このシリーズも登場人物に萌える本として定着した感じがあります
今回は解答篇ということなのでしょうか、第一シリーズと第二シリーズの橋渡しがなされています
これまでにも仄めかしというのはあったみたいですけどね
最初から全体を見渡して書いていたのでしょうか
現在まで3シリーズで23冊、破綻は少ないように見えます
次は2ヵ月後の刊行の「冬」みたいです
(神坂一著、角川スニーカー文庫)
ギャグとシリアスの融合というか、そんな感じの神坂作品
人型クローン兵士という材料でこの作者が調理すればこんな感じになります
他の作家だと、もっと荒唐無稽になるか、あまりにシリアスになりすぎるかのどちらかでしょうが、この人の味なのでしょう。この作品は
唐突に終わったという感じもしないではないですが
それなりに面白いシリーズでした
(神林長平著、ハヤカワ文庫)
メタ世界、猫、言葉の力
神林作品は一味違う
映画「マトリックス」のような、真実の世界があって仮想世界があるというような甘い世界観ではない
そもそもこの作品は1993年というから11年前に出た本の文庫版である
メタ世界を紡ぐ神林作品というのはすごいと思う
それでも作者に言わせれば、先人の書いたものを書いてみたかっただけだということになるのだろうか
(神林氏は海外の作家の名前を挙げていたように思う)
それにしても、作中の言葉のやり取りは、非常に示唆的である
たとえ一行知識のように思えても、それはそれで深いと思う
この作品は面白いです
作中の世界観が二転三転しますから、ついていくのが大変かも
まあ、神林ファンなら大変ということはないか
友人が見てきて、良いよ~というので私も見に行きました
トム・クルーズの俺様映画というのが災いしてアカデミーにはノミネートされませんでしたが
西南戦争を下敷きにして書かれていますが、いい感じでした
渡辺健が助演男優ノミネートされていますが、いい演技をしていますね
しかも真田広之まで出演しているので殺陣は充分
確かに突っ込みどころはあるのですが、それを言うとSF映画も一緒になるので置いておきます
昔の日本を描いた映画よりも良くなっていますね
でも日本を前面に出してしまったため、トム様が目立たなくなってノミネートされなくなったというのは皮肉か・・・
(田中宇著、光文社新書)
著者のサイトで公開されている解説をまとめて出版されたものです
(著者のサイトはリンク集にあります)
読めば現代世界の潮流が大体はつかめるかも
著者が日本語で書かれた論文では世界の流れがわからなくて、閉塞感しか得られないというのには同意
論旨としては、日本にとっても悪い方向には流れてないということでしょうか
サイトはこちら
(神坂一著、富士見ファンタジア文庫)
天才ともいえる、文章のボケ突っ込み
疲れた頭に一服の清涼剤のような
テンポがいいんですよ
(荻野貞樹著、PHP新書)
「史実反映説」「創作説」といろいろ出ている日本神話ですが、やっぱり神話だよね
実はギリシャ神話などでも同じことが言われていた時代があるのです
つまりは「合理的態度」っていうのはソクラテスの時代と同じで、日本の学者は二・三千年前と同じことをやっているだけだと
今まで記紀神話は政治宣伝文書と偉い学者さんはみんな言っていたのですが、これからはそれを気にしなくてよさそうです
そもそも海外の学者は日本神話は生きている神話であると認識しているのに
なんとなく「アインシュタインは間違っている」とか「米国政府はUFOの存在を隠している」と同じレベルなんだなと思いました
文系って、トンデモが跋扈できるのね・・・
とはいえ、この著者も我田引水な気が
まるで韮澤さんと大槻キョージュの闘いのような・・・
(新渡戸稲造著、岬龍一郎訳、PHP)
五千円札のモデルにもなっている新渡戸稲造の有名な著書
百年の時を経て再び注目されるとは、著者も驚いていることなのか
それとも予想済みのことであろうか
今この世には武士はなく、武士道もその意味では存在しない
我々が、いかに武士道から学ぶことが出来るのか、それが大切なのであろう
この本は背景がよく書かれている良著です
日本人のみでなく、世界の人が今一度読むべき本でしょうね
(森博嗣著、講談社)
真賀田四季というのは人類の総合体(総合態)を意識したものだろうか
彼女の設定は天才と言うものではない、人類そのものだ
だから、彼女の最後の言葉は「神様、よくわかりませんでした」
人類の最後の言葉に、確かにふさわしい
とうとう三部作が全部揃いました
トールキンの最高の物語を、ジャクソンが最高の映像にしました
この映画に言葉は要りません
見よ、そして、感じよ
(原恵著、恒星社厚生閣)
星座と星の名の由来を細かに記しています
一般用としては最高の部類に入るのではないでしょうか
辞書代わりに是非一冊、と言う感じですね
(田中淳夫著、平凡社新書閣)
「田舎はベンチャービジネスの宝庫」との帯の言葉の通り
この本を通してみれば、田舎都会というのは関係なく、状況把握と努力の方向というビジネス書にあるような事になってしまうわけです
田舎にあっても努力する人は世事に明るく、都会にあっても漫然と過ごしている人は何も知らないに等しい
筆者が足で稼いだ話題集ですが、示唆に富んでいます
内容的には田舎での起業のことですが、実例を見れば都会の事業の中でもよく見受けられるものがいっぱいあります
要は本質を見失わないこと
いや、本質を見抜くというのが難しいのですね
(中山治著、洋泉社)
心理学の五つの主要因子と言われている、
外向性と内向性・愛着性と分離性・統制性と自然性・情動性と非情動性・遊戯性と現実性
を日本人の国民性にまで展開して分析したものです
筆者が言っていますが、これは試みであって合っているかどうかはこれから検証というところです
なかなかよい分析のように思えます
自分はそれなりに中山治氏に注目していますので、これからの展開に期待大です
なるほど肯くところが多い
この本と、後述する論語の本を合わせると、朧げながら何かが見えてくるような気がします
(孔健著、集英社インターナショナル)
孔子第75代直系子孫の著者が語る、論語世界への招待状
最近の世の中を見るに付け、若輩ながら憤懣やる方ない日常を過ごしていました
ある日の東京出張にて、八重洲ブックセンターをふらふらしていると論語のコーナーを発見しました
その中でも孔健氏が書かれていた本書が一番手っ取り早いと思って、購入したわけです
そうか、論語を補助線にするとバブル崩壊とか失われた十年とかの説明が付くのか、と大きな発見でした
中国では文化大革命の時の「批林批孔」により道徳の退廃を招きました
日本ではGHQによる「批軍批孔」により、論語を習っていた最後の世代が引退した後、社会は崩壊しました
今、日本を除き東洋世界は論語に回帰しているそうです
60年前まで、誤訳はあるものの論語を保存していた日本、どこへ行くのでしょうか
ではなく、我々が立て直さないといけないのですね
なお、孔健氏の分析には一部違和感を感じるところもありますが、そこのところは前述の中山氏の本で補完できそうに思われます
(呉智英著、文藝春秋)
論語の全五百章のうち五十章を取り上げて、講義風に書かれています
論語の全部を通読するのは、そう簡単な事ではないでしょうが、これなら最低限の感覚はつかめるでしょう
筆者の「はじめに」の最初のパラグラフをそのまま引用する、
”論語は、読まれざる古典である。
論語読みの論語知らずと言う諺がある。
論語の文章は読んでいるけれど、その精神がわかっていない、という意味だ。
しかし、そもそも論語は読まれてさえいない。
その精神を知る知らない以前に、誰も論語を読んでいないのである。”
これで興味をもたれた方は読み進めるとよいでしょう
この人は頭がいい、優れた最初の一節であります
自分は論語はもっとつまらないものだと思っていました
しかし、この本では論語の精神、孔子の情熱が生き生きと伝わってきます
論語の私塾を開設するほど、論語、孔子に愛情を持っていた呉さん
如何に論語、孔子が好きかが文章から伝わってくるではありませんか
初学者から熟読者まで、是非目を通すべき一冊だと思います
(森博嗣著、幻冬社)
女王シリーズの続編です
ミステリィというよりは、仮想未来世界の構築といった面に興味が注がれます
ロボティクスと医療技術が100年ぐらいでそこまで成熟するものかどうか
これもキャラ萌えですね
(神林長平著、ヒヨコ舎)
神林長平の描くSFショートショート
SFショートショートといえば星新一ですが、神林氏が書くとこうなります
神林世界の構築は、力強くそして切ない
この触れたら壊れそうな世界の儚さが、神林氏の魅力
ファンにはたまらないです
(藤沢晃治著、講談社 BLUE BACKS)
最近サービス部門に移籍になったため、他人に説明する場面が増えました
部長にもいろいろ言われる今日この頃
表現の入門書ってのはいいですね
悩んでいる人にはよい一冊です
(神林長平著、早川書房)
機械人との月戦争により人類は月と海の一部を失い、地球は人類の生存に不適な星となりつつあった
国連は人類の全てを火星に移住・凍眠させ、その間機械人に地球の復興を委ねることとした
その間250年。しかし・・・
神林世界の長い幕開け、684ページの世界の中にあなたは何を見るか
主旋律はファンタジーです。紛れもなく
しかし、いくつかの副旋律は濃いです
お前は何者か
読者はこの問いを感じることとなるでしょう
(藤沢晃治著、講談社 BLUE BACKS)
「分かりやすい説明」の技術の一つ前の本です
これも基本編としてやさしくまとまっています
他人に説明することの重要性はひしひし感じています
こういった本を読んでも実際にちゃんとやらないと意味がないので、努力努力
(藤沢晃治著、講談社 BLUE BACKS)
「分かりやすい説明」の技術の3つ目
国語の授業で、もう少し実務文の書き方を習ったらよかったと思います
高校生向きの副読本として役に立ちそう
国語教育の問題点を突いている本なのでしょうかね
(神林長平著、ハヤカワ文庫)
未来の火星。人々はPABといわれるパーソナル人工脳を所有するようになっていた。
PABの開発企業の長、火星の帝王ともいえる人物の死から全ては始まった・・・
神林長平の火星三部作の第二作目になります。第一作「あなたの魂に安らぎあれ」、第三作「膚の下」も併せて読むと、神林世界の広く深いさまを見ることができるでしょう
機械知性、人間の魂、父子の愛憎
読者はこの世界に何を見るのか、奥が深い作品です
(鷹見一幸著、角川スニーカー文庫)
マガザン帝国との全面対決をなんとか制し、かりそめの平和が訪れたと見えたその時、
銀河辺境ではとんでもないことが起こっていた
エイリアンが人類領域に侵攻してきたのだ
圧倒的な数の前になすすべもなく敗退するローデス軍
そしてエイリアンの進路にはマイドたちがいた・・・
でたまかシリーズの第3幕が開始しましたが、のっけから危機です
しかも主人公は今回逃げるだけ、というか逃げ切れるのか?
SFファンタジーに週刊漫画のように引きを作って放置する、この作家のいたずら心に乾杯(笑)
(鷹見一幸著、角川スニーカー文庫)
「でたまか」の外伝です
本編の登場人物を描いた短編が5つ
ところで「でたまか」をご都合主義だといって非難する人がいるのですが、
ファンタジーからご都合主義を取ったら何が残るというのでしょう
まあ、ファンタジーも程度が過ぎれば違和感を感じるでしょうが、
この作家は上手いと思いますよ
読書は個人的な趣味なので、本の評価というのは難しいものですが
そもそも本の評価なんて出来るのかな、と思ったり・・・
(橋本治著、集英社新書)
最初は「何だこのタイトルは」と思って手が出ませんでした
橋本さんの著書は面白いのですが、飛躍が多いのが難点とも言えます。
まあ、そこが味なのですが
さて「上司は思いつきでものを言う」とは、サラリーマン社会を一言で表していて、
しかもサラリーマン社会だけでなく、その他の仕組みを言い表すよい一言に思えます
題だけ読んで「そうそう上司って・・・」と思う人がいるかもしれませんが、
それだけでは終わらない内容を含んでいます
「上司」と書いて親、配偶者、外国とか読むのもありです
あるいは豆知識としても役に立つかもしれません、居酒屋で使うような・・・
ともあれ、読んで損のない本だと思います。論理展開についていけない人がいるかもしれませんが・・・
(神林長平著、ハヤカワ文庫)
それぞれが名を失った世界
この世界で三人の少年少女だけが名前を持ち、武器塚といわれる遺跡から戦闘情報を集めてゲームを楽しんでいた
猫の姿をした意識体、”わたし”と名乗る意識体
彼らの出現でその世界はゆっくりと変質を始める
神林流の不思議な展開があなたを異世界に誘います
(選書メチエ編集部編、講談社選書メチエ)
20人の外国人が日本について語ります
これらの問題は日本人は意識していますが、あまり話題にはのぼらないものです
外国の人の視点ですから全てが正しいとは言いがたいですが、ある程度の参考にはなりそうです
論者が偏っているような気もしないではないですが・・・
(吉川幸次郎著、朝日選書)
論語全二十篇のうち半分の十篇の解説書
論語についてはみなさんご存知なので特に語ることはないです
戦後すぐに出版された論語の解説書で、当時としてはとてもくだけた解説で驚かれたそうです
今読むと普通の解説書に見えるのですが、論語はもっと厳粛なものと考えられていたのでしょうかね
(神坂一著、富士見ファンタジア文庫)
クロスカディアの5巻目
主人公の一行は東の大陸で、月に住まう神へのゲートを目指して進みます
しかし、立ちはだかるはいろんな種族氏族
果たして無事に神のもとに辿り着けるのか、そして辿り着いて何が出来るのか
という感じのファンタジー
この作者の本領はギャグにあり
あとがきにいつも力を入れてますね
そろそろ風呂敷をたたみ始めているのか、次の巻がクライマックスとなりそう
(鷹見一幸著、スニーカー文庫)
「でたまか」としては11巻目になります
非人類異星体との絶望的な戦争第2回目といったところでしょうか
前回に続いてエイリアンの侵略は続きます、というか前回より強くなってます
人類の版図の半分を統治するローデスの完全崩壊まで、このままでは後半年
その後に残される、やはり人類版図の残り半分を統治する帝国もただでは済まない
それぞれの登場人物はどのように行動するのか
強大で大量のエイリアンに攻められる図は「インディペンデンスデイ」そっくりともいえます
エイリアンをイナゴに例えるところも同じ
しかし、敵の強さが半端じゃない
犠牲者の数が数行の描写で数百億というのも「ダーティーペア」ばりです
作品中にいろいろなギミックが隠してあります
そういうところが楽しいかも
(高千穂遙著、早川書房)
高千穂遙さん、懐かしくもダーティーペアを復活させました
男性作家がライトノベル(昔はそんな呼称なかったのですが・・・)を、若い女性の一人称で書くということを行った最初の人だったと思います
トラブルシューターのはずなのに、結果はいつも悲惨なコードネーム「ラブリーエンゼル」、通称ダーティーペア
20年前、読み始めた最初はユリ・ケイのコンビに心情的に近かったのです
しかし、今や上司のソラナカ部長に憐れみを感じるのは歳を取ったせいでしょうか
今回は作者遊んでいます
遊びすぎでこちらが心配するほどですが、大きなお世話ですかね
時代は変わってしまったなぁ、と感慨もひとしおです
巻末の著者近影が、ある意味今回一番すごかったかも(^^;
(エーリッヒ・フロム著、鈴木晶訳、紀伊國屋書店)
この本が最初に出版されたのは1956年
愛についての考察が書かれています
フロムはフロイトの弟子ですが、フロイトとは別の切り口で愛を語っています
簡潔に言うと師匠の思想に納得いかなくて新派を立ち上げたって事ですが・・・
世に出てから半世紀経ちましたが、内容は色褪せませんね
むしろ世の中の方がフロムの理想からどんどん離れているといった感じですが
よい本です。一読をお薦めします
(黄文雄著、ワック出版)
1997年に出版されたものを改訂改題したものということで、7年前の著書
台湾の方のようです
日本及び東アジア、全世界の近代史はなかなか一筋縄ではいかないのですが
玉石混交の出版物の中から、近代史とは何かを個人だけで判断するのはもはや不可能に近いと思います
その人がどの社会背景に生きているかも絡みますからね
唯一逃れ得る方法は、とにかく情報を確保することくらいでしょうか
この本もなるほどよい事が書かれていますので一読をお薦めします
ただ果たしてこれでいいかどうかはわかりませんので各人でお考え下さい
世界はずっと謀略ともいえる嵐の中で動いていますが、日本はこれからも生きていけるのでしょうか
ある意味心配になりますよね
(副島隆彦、ロシナンテ青木画、早月堂書房)
属国日本論の副島氏、劇画で幕末編を描きます
何故尊王攘夷が開国に変わったのか、その解説を試みています
まあ、ありがちな話ですね
副島氏、「ラストサムライ」と「ダンスウィズウルヴス」を比較すれば西洋人が何を考えているかわかるとの事
西洋人にとっては東洋人も同じ原住民ということでしょうね
まあ、見事に西洋人に邪魔な勢力や人物は消されていますから、こういう結論もありかなと
そういえばこの前民放で、織田信長はイエズス会の軍事援助で日本統一の半ばまで行ったものの、
コントロールを離れようとしたので本能寺で暗殺。明智光秀では以降の中国大陸進出まで統率できないと判断し、
見捨てて羽柴秀吉を以降の操り人形に、ってところをやってました
民放もなかなか面白い資料をお茶の間に披露しましたね
そうすると日本は都合三度も西洋人に操られて大陸進出したって事ですか
うらまれるは日本ばかり
割りに合いませんね
(浅羽通明著、ちくま新書)
日本のナショナリズムってどのようなものでしょうか
わかっているようで、でもよくわからないナショナリズム
近代日本でのナショナリズムの勃興から現状までの解説を試みています
ナショナリズムに賛成の人も反対の人も一読の書です
(神坂一著、富士見ファンタジア文庫)
何回も言うようですが友人R氏はリナと似ています
非常に能力が高い、はっきり言って賢いです
負けず嫌いで、挑戦されたら後に引きません
見た目が若く、子供と間違われます
・・・そして周りの人間が役に立たない。難題は全て彼女に行きます・・・
さらに相棒もガウリー並、友人もナーガ並に変わっています・・・
あの・・・Rさん強く生きてください・・・
(香山リカ著、ちくま新書)
精神科医の視点から見た現代日本の問題点を語っています
ただ、単位を個人から国家に敷衍する時は、合っているのか違っているのかよくわかりません
国家や個人が善意ではなく、わかっていて悪の道を歩む時の事は想定してないのでしょうか
面白いことに、浅羽通明氏と批評のピンポンをしているのではないか、と思われる箇所があります
しばらくこの二人を観察するのも面白いかもしれません
ちょっと疑問に思うところもありますが、専門家らしく鋭い視点もあるので注目です
(浅羽通明著、ちくま新書)
「ナショナリズム」の姉妹作品です
世の中にはすごい人がいるのだな、と感嘆します
あ、著者もすごいですけど、アナーキスト達がすごいという意味です
キャプテンハーロックはアナーキズムとの視点は目から鱗です
これが入っているだけで、買った甲斐があったと思います(笑)
いわゆる真面目な書物だとアニメを取り上げるなんてやらないので面白いです
この本でも香山さんが出てきますが、彼女との違いははっきりしてますね
一つは小林よしのり氏を認めないか、あれもありだとある意味認めるかでしょうか
また、香山さんは浅羽氏を否定的に見ているように感じますが、一方浅羽氏は、
香山さんの主張を認めながら、そうするとこういう見方もできるね、という感じの主張の仕方のように
見えます
専門的なレベルになると断然香山さんの方に軍配が上がるのでしょうが、
読み比べると、なんとなく浅羽氏の方が包括的になっているように感じます
ちょっと贔屓目でしょうか?
(橋爪大三郎著、講談社現代新書)
橋爪先生の1988年の著書です
昭和の本ですね
中高生にもわかりやすくの視点で書かれてるので、理系の私にも非常に分かりやすい
レヴィ=ストロース万歳!
フランス人って賢いですね
(H・コーイング著、久保正幡・村上淳一訳、東京大学出版会)
ドイツの法律の歴史について書かれた本です
なんでこんな本を持っているかというと、部長から貰ったからです
まったくの教科書です(苦笑)
(福沢諭吉著、松沢弘陽校注、岩波文庫)
明治の時代、日本の近代化の真髄はこういった頭脳から出ています
福沢諭吉に代表される人々の努力で、近現代の日本の姿があると言ってもよいでしょう
福沢の「文明とは独立」との思想を理解した人は、果たしてどれくらいいるか
日本は福沢の考える文明国となったか
我々の力量も試されているといえるでしょう
ホームページからの疎開 その3
読書記録 平成15(西暦2003)年
(塩野七生、新潮社)
皇帝マルクス・アウレリウスからセヴェルスまで
西暦161年から211年までの半世紀を描いています
ローマ帝国の下り坂の最初のころの様子です
塩野七生の記すローマ史は生き生きとしていてとても好きです
ローマを支えた軍団が三世紀から次第に変質していく様の理由が考察されています
強大なローマは以後どこへ行くのか
塩野節に期待です
(神林長平、朝日ソノラマ)
猫と人工知性と火星と神林長平
崩壊する自己の存在理由
冷たい刃の様に文字は世界を切り進みます
見知らぬ世界に舞い降りた存在の永久機関装置とは?
登場人物たちの言動がまことに神林的です
(鷹見一幸、角川スニーカー文庫)
痛快スペースオペラの第6弾
マイドの元には様々な星系から義勇軍が訪れます
しかし帝国軍は最強の宇宙軍を差し向けます
10倍の戦力差を果たして押し返すことはできるのか
牛丼にこだわるスペオペです
(瀬名秀明、文藝春秋)
パラサイト・イヴ以来科学系小説を書き続ける作者
今回はオムニバス形式でロボットの近未来を描きます
主題は鉄腕アトムの様です
アトムを意識している我々はいったいどこへ行くのか
ロボットとは人間とは
最後に残されるであろう思考・意識の問題を鋭く描いています
(塩野七生、集英社インターナショナル)
ローマ人の物語の解説書と言いましょうか
ローマ人の物語は大部で読みきれないと言う人にもお薦めです
特別付録の古代ギリシア。ローマ指導者の通信簿もなかなか
著者が書きたかったのはこの終章であることは間違いありません
(神坂一、スニーカー文庫)
時は未来所は宇宙
宇宙に進出した人類社会
さまざまな難問解決にトラブルシューター大活躍
そういう感じのライトノベルです
前回までに人造人間の性質は明かされましたがそろそろ風呂敷が広がる予感
この作者テンポが良いので好きです
ライトに内容が重めなのもポイントだったりします
(林譲治、ハヤカワSFシリーズJコレクション)
22世紀初頭、発見された小型ブラックホールを巡って人類が繰り広げるドラマを描きます
オムニバス形式でそれぞれの話が緩やかに繋がっています
地球に残された人々とスペースノイドの確執というのはガンダムを思い起こさせますが
年代順に書かれているので人類の発展史を楽しむこともできるでしょう
それにしても変形新書版なのに1600円
高いけど面白いです
(池内了、集英社新書)
物理学と神というと何やら対極的なもののように聞こえるかもしれませんが、さにあらず
物理学は神のあるべき姿を追い求めてきた学問とも言えるのです
まあ、時代の変遷により神の姿も変わってきましたが
物理学もまた世の中の発展とともに変わってしました
物理学と神は合わせ鏡のようなものかもしれません
もっと複雑な、男と女の駆け引きのような関係かも
物理学の歴史が綴られていて楽しい本です
(田中敦夫、洋泉社新書)
里山の危機が叫ばれています
開発派、環境保全派いろいろいますが、里山のあるべき姿はちょっと違う
里山は人間が入らないと意味を成さない、というのが本書の意見です
農林業は現在の日本では産業として厳しいのですが、この本を読むとちょっと希望が見えてくるかな
いい方向に里山の自然を利用する運動が拡がれば結構行けるかも、という気がします
(森博嗣、講談社ノベルス)
INVERSE OF VOID MATRIX
森助教授の短編集です
七編の短編は一つ一つ色彩が異なっていて脳みそを捏ねてくれます
最後のは犀川&萌絵シリーズ
たまに顔を出すのは読者へのサービスでしょうか
(神坂一、富士見ファンタジア文庫)
今日も今日もで訳のわからない依頼から思わぬごたごたに巻き込まれます
盛装して黙っていればそれなりに可憐な少女ではありますが
そこは毒舌、単発入れず攻撃魔法をぶっとばす
そんな彼女が苦手な人種とであったら?
主人公のリナが某友人に非常に似ている気がしてしょうがないです
(荒俣宏、集英社新書)
小説・漫画・映画で有名になった陰陽師・安倍晴明の名を知らないものはいないでしょう
現代には陰陽師はいないのでしょうか
安倍晴明以降の陰陽師たち、あるいは地方の陰陽師たちの様子はどうだったのでしょうか
不思議作家・荒俣氏がこれらの謎を調べる旅に出ました
陰陽師の事をもっと知りたい人には面白い本です
なんというかかっこいいですね
ファンタジーの元祖とも言うべき指輪物語が銀幕で蘇る
今回は第二部
この作品が映像化された現代に生きる幸せを感じます
原作がしっかりしているのは心強いものです
二つの塔とはサルマンが拠るオルサンクの塔とサウロンが拠るバラド=ドゥアの二つのこと
第一作での旅の仲間が三つに別れそれぞれの物語を奏でます
映像が美しいし、戦闘シーンは秀逸です
まあ見なきゃ損ですね
早く第三部が見たいものです
(梶井厚志、中公新書)
副題:ゲーム理論を実践する
「ゲーム理論」の入門書
有名な”囚人のジレンマ”は著者が天邪鬼のため入っていません
大人の考え方というものをわかりやすい例で説明してくれます
なかなか奥が深いのでかなりお薦めの本です
(田中芳樹&荻野目悠樹、徳間デュエル文庫)
トルコの近代化の父と言われるケマル・アタチュルクがケマル・エヴヂミクのモデルなのは間違いないですが
そうだとすると最初に敵の総大将として出てきたこの人が最終的な勝利者なのでしょうか?
主人公だと思われる兄妹の方もどうなることやら
この作品はとても映画的な感じがします
田中芳樹氏の影響でしょうか、登場人物の増減がありますね
(神林長平、ハヤカワ文庫)
帯は無茶でしょう
深井零とはなんの関係も無い
まあとにかく表紙の少年の自立が主題ではないので
そっちは巨大な補助線で、主題は題名の方
しかし神林作品で描かれる理想郷はシビアですね
突き放した書き方と言うか、読者を甘やかさないと言うか
神林ファンにはお薦め
(森博嗣、幻冬社)
森博嗣の半自叙伝的小説になるのかな
話の展開とか内容とかとても濃いのですが、大学の人間としてはそんなに特殊でもなさそう
さらっと読んで雰囲気を味わうのが良い読み方だと思います
(神林長平、ハヤカワ文庫)
この本の世界に入ると常識など役に立ちません
どっぷり浸かって不思議な感覚に酔ってください
軽妙さは海賊シリーズに通じますが、テーマの重さは神林調
深く考えるもよし、流れを楽しむもよし
神林世界をじっくり味わえます
(津上俊哉、日本経済新聞社)
中国経済脅威論、崩壊論を遠ざけ、目にしてきた等身大の中国を語ります
日本の現状、中国側の問題、米国の思惑と様々な要因が混ざり合いますが中国とて化け物の国ではないと言いたいのだと思います
中国経済、日本自身の問題、歴史問題など様々な意見が述べられていて、とても参考になる本です
筆者が言いたいのは最後の一文でしょう
「すべての課題に求められるのは日本の発奮、勇気、精神的な強さだ。がんばれニッポン!我々はこれからこの国にもう一花咲かせなければならない。」
受身になるな、自身で歴史を切り開け、そう語っています
(林信吾、平凡社新書)
英国をよく知る著者が、昨今のイギリスブームをぶった切ります
英国について語っているのですが、何故か日本の事がよく見えてきたりします
脱線が楽しいですが、とても奥深い内容が書かれています
イギリスが知りたい人は是非読みましょう
士族・金持ち・町民百姓という身分制度が現実に生きている国だったりするんですね
確かに世界でイギリスを褒めるのは日本人ぐらいのものでしょうね
ある意味世界で有数のひどい国かも
(養老孟司、新潮社新書)
脳の研究で有名な養老先生のお話を新潮社の人が文章化した本です
なかなか面白い話満載なので是非読んでください
ヘラクレイトスの”万物は流転する”と言う言葉は流転しなかった、とか”君子豹変す”は本当の意味では良い方向に変化することであることとか興味深い事がいっぱいです
読んでて思ったんだけど養老先生ってNHKが嫌いみたいですね
(日下公人、PHP)
いつもながら日本に甘い記述かな、とも思うのですが
日本はそのうち豊かな社会になって、米国はちょっと落ち目になるという内容だけど
現状を見ているととても本書のように能天気にはなれないんだが・・・
真面目が一番と言うことは賛成しますけどね
(鷹見一幸、角川スニーカー文庫)
ヒロインが倒れ、英雄は十倍の敵と戦わなくてはならない
圧倒的に不利な状況で果たして負けずにいられるのか
そんな感じで前の巻から引き続き宇宙での艦隊戦です
ある種スペースオペラの王道を行っている作品です
この作品の売りは随所に散らばっている昔の名作の名台詞でしょうか
くすっと笑う事ができたら貴方も事情通ですね
(神林長平、早川書房)
六編のオムニバスです
恋人が触れ合う事ができない世界
仮想空間の世界
不思議な世界へ読者を誘います
神林世界にどっぷりとどうぞ
(森博嗣、集英社)
最初読んでいて、とうとう森博嗣はクスリに手を出したか、と思ったほどの文調
五編のオムニバス形式です
インスタントラーメンが引き金になって世界が変わる
そんな妙な中編群です
でも、こういう文章をキーボードから入力する国立大助教授というのも笑えるかも
(田中芳樹、講談社)
なんというか、作者遊んでません?
なんとなく嫌々書いているってのを匂わせているのでしょうか
ちょっと今回の文章の練り方は残念
その団体まで出していいの?というのもありますが・・・大丈夫?
(中山治、ちくま新書)
まず第一章の”「戦略思考」なしには個人も企業も国家も生き残れない”というのが主題でしょう
著者は日本人は「情緒原理主義」であると喝破しているわけですが、これある限り生き残っていくのは確かに難しいかもしれません
欧米中露をはじめとする外国と比較すると、勝負になってないというのが本書を読んだ感想になってしまいます
はっきり言って日本駄目じゃん、としか言えません
議論と説得、ダブルスタンダードの使い方など書いてある事はよくわかる初歩的な事ばかりなのですが、日本人はその初歩的な事さえもできてないのだな、というのが見えてきて暗い気持ちにさせてくれます
あと、”日本の技術は優秀だ”というのは実は誤解であったというところでしょうか
確かに民生品の分野では世界一かもしれないと思っていたのですが、とんでもない誤解だったかも
なぜなら軍用技術というものがあったのを失念していたから
世界の国々は軍事に優秀な技術者をつぎ込んでいるのですがこれは表からは見えない
日本以外の国は一線級の人が軍事に関わっていて二線級が民間に関わっているので、一線級を民間につぎ込んでいる日本の方が有利に見える、見せ掛けの優秀さだったのでした
つまり日本は現在も非常にまずい状況にあるという事ですな
だめじゃん・・・
(佐伯修、洋泉社)
1900年から2000年までの日本の101年を延べ101人の外国人の書物とか手紙とかからの抜粋で語ります
外国人の目から見ているので間違ったところもありますが、どういった目で日本人を見ているかを考えるにはいい材料かもしれません
(神林長平、ハヤカワ文庫)
20世紀の長岡市で暮らす主人公は、実は未来の火星で謎の敵マグザットと戦っていたバイオソルジャーだった
機械と生体のハイブリッドである彼とその同僚は果たして元の火星世界に帰る事ができるのか
そんな感じの神林ワールドです
機械と時間の流れがテーマでしょうか
この物語にあっては何が過去で何が未来か、一筋縄ではいきません
現実は容易に変容する、神林作品の醍醐味が感じられます
(夢枕獏、文春文庫)
夢枕獏氏の描く阿倍晴明は色気があってよいですね
さらに夢枕獏の陰陽師で欠かす事のできない人物が源博雅です
晴明と博雅のやり取りがこの作品に華を添えていると言ってよいでしょう
今巻は珍しく長編です
「鬼も人も、哀しいものなのだな・・・」
博雅の呟きが時を越えて聞こえてきそうな物語です
(鷹見一幸、スニーカー文庫)
アウトニア戦記の第2部の最終巻です
皇帝アレクリストとマイド・ガーナッシュ最終決戦
どちらが勝利を得るのでしょうか
物語は二転三転しますがそこはいろいろお約束と言うところで
それよりも第3部になだれ込むであろうこの引き
とても気になります
あとがきによると、これからが本章突入らしいのですが・・・
(神坂一、富士見ファンタジア文庫)
今回はガウリー外伝(別名、リナ父外伝)が入っていてお得です
いつも言いますが、リナは友人Rに類似しています、身体的精神的に
するとナーガは友人Aでしょうか?
脱力系の面白さを求める人必読です
(神林長平、ハヤカワ文庫)
なんでもない日常を描きますが、そこは神林世界
全ての職業が公認となった世界で、宇宙人がやってきたら?
なんでもないようで、よくよく読んだらとんでもない展開です
(養老孟司、PHP新書)
養老先生といえば、この前「バカの壁」で100万部を突破されたようでおめでとうございます
オンラインでも現在(8月第2週)第3位ということで、勢いがまだまだあるようです
世界中が都市化してしまって自然な状況ではなくなったと嘆く著者
小生が田舎出身の都会生活者なので、戦前育ちの戦後生活者の著者とはある部分違う部分もあるし似通ったところもありますね
現代人は現状のいろいろな事を錯覚してしまっている
それなら著者は”逆さメガネ”で語って見せよう、というところでしょうか
この本は読むと面白いですよ、それぞれの人でいろんな感想が出てくる事でしょう
自然を排除した都市化社会、脳化社会は人間を不幸にするという論調は同意できます
ただ、筆者の言いたい事はひょっとしたら小生のような田舎出身者か戦前生活体験者にしか、いい意味で伝わらないのではないかと思うのですが
この本も沢山売れれば面白いですね
(サン=テグジュペリ著、内藤濯訳、岩波書店)
Le Petit Prince
”たいせつなことはね、目に見えないんだよ・・・”
説明は要らないくらい有名な本ですが、この歳まで読んだ事はありませんでした
読みました
・・・ごめんなさい、子供の頃に読めばよかったです
この時代だから許される書物でしょう
今こんなのを書いたら、あざとさを感じますが
児童文学って難しい・・・
いや、子供が読む分には良いと思いますが
(神坂一著、スニーカー文庫)
本作品はMS04の裏設定みたいな感じになります
同じ事件をSSチーム、レティシアの視点から書いたものと言えるでしょう
それにしても兄・ティモシーの設定がどんどん明かされてきたという感じです
内容的には神坂節
これからの展開がどうなるか、興味深々ですね
(森博嗣著、講談社)
すべてがFになるから裏の主人公との呼び声が高かった真賀田四季の少女時代を描きます
S&Mシリーズ、Vシリーズで登場した人物がこんなところに出てきます
各シリーズの回答篇が始まるということなのかな?
作者の四季への愛情が感じられます(笑)
ところで四季って苺パラダイスの苺太君に似ていると思うのは私だけでしょうか?
(鷲田小彌太著、PHP新書)
議論というのはなんとなく近寄りがたいと感じる人が多いと思われますが、その本質と必要性を謳った本です
議論というより言葉の持つ重みを語るという感じです
議論をするためにはまず人間というものがどんなものかからの考察から始まるのはわかりやすい
そして第二章・政治とは議論だ、で歴史上の政治家達(他)の評価を面白く論じています
最後、マルクス主義について語りますが、なかなか奥深い
マルクス主義は正しいから隆盛を誇り、間違っていたから衰亡したのではない
マルクス主義は自らを正しいと主張したから強かったというところを見つめなければならなかったのです
世の中に蔓延するマルクス主義の子や孫を見分ける力が必要なのでしょう
なかなかお薦めの本です
(吉沢深雪著、WAVE出版)
夜、星々を見ることを、我々は観望とか観測とか言わず「星見」と言っています
そんな星見に関する、絵と詩のほんわかとした調和を、この本は語ります
いい感じです
(小浜逸郎著、PHP新書)
西洋の哲学で弱いとされる情緒面での話題を中心に語られていますが
なんとなく、西洋の哲学が情緒にくらいからマルクス主義のような非人間的な学問が成立するのかも、と思ってしまいます
以下本論とは離れますが、自然科学技術の濫用が地球の環境の危機を招いているとの指摘がよくなされます
そうだと思いますが、社会科学技術の濫用が現在の世界の社会的な危機を招いていることに、どうして人は気が付かないのでしょうか
とても謎です
理系の技術は悪にもなるが、文系の技術は悪にはならないとでも思っているのでしょうか
甘い考えだと思います
あ、この本は一度読んでみるのが面白いと思います
ただ、具体的には語ってないので議論の種本としては弱いかな?
(橋本大三郎著、PHP新書)
法というものがどういうものかをやさしく解説した本です
古の宗教の法の考え方から順を追って説明しているので、とてもわかりやすい
橋本先生の本はわかりやすくていいですね
(神林長平著、中央公論新社)
おれが書きたい文は、こうだった。
『私を生んだのは姉だった。・・・
最初から飛ばしてくれます
著者の言語に関する執着が生み出した、名作といえるでしょう
主旋律は間違いなく「言語」なのですが、その裏に流れる副旋律として「家族」が出てきます
この絡み合いが絶妙なのです
うまいですねえ
(養老孟司著、中公新書)
最近出版ラッシュの養老先生です
今回は雑誌連載のエッセイ集。前の著書と重なるところもありますが、同じ人が書いたものですから
養老先生がこういう意見を言わなきゃいけないというのが、哀しい現実ですが・・・
意見提起はありがたいのですが、さて、どう料理したものでしょうね、この世の中
老人が自分達の世代より、次代を気にしてらっしゃるのはうれしいのですが、少数派なんですよね・・・
(ベンジャミン・フルフォード著、光文社)
著者はカナダ生まれのカナダ人ですが、一度好きになった日本が崩壊していく様に哀しみを感じたのでしょうか
この本が真実に近いなら、我々はイラクや北朝鮮を笑えない
なぜならば、イラクや北朝鮮と全く同じ状況にあるから
この本は一度読んで検討をするに値する本です
もう、日本に残された道は国家破産しかないのか
アルゼンチンはその比喩です
(ベンジャミン・フルフォード著、光文社)
前著、日本がアルゼンチン・タンゴを踊る日の続編です
こういった記事が書けるのは外国人ならではで、日本人が書いたら命がいくらあっても足りないでしょう
そういった面では評価できます
しかし、ちょっとした違和感を感じるのもまた事実
日本の原点は正義なのか?
それとも何でも飲み込む和なのか?
そこら辺の結論がなんとも
知識として押さえておくと便利というところでしょうか
評価が難しいですね
(神坂一著、富士見ファンタジア文庫)
5つの月を天に抱くクロスカディアと呼ばれる惑星
以前に5つの月なんて不安定だ、という意見をもらいましたが、その月の正体が今回明らかに
今回は鱗王族が住まう北の大陸を逃げ、憑霊族が住まう東の大陸に
3巻目までとは違う、いきなりな展開にびっくりしますが、さすがですな
(養老孟司著、集英社新書)
養老先生の環境論です
子供は”自然”であるとか、養老流の面白い話がいっぱい出てきます
養老先生がんばれ、もっと言ってやれ、という感じで
(モード・バーロウ、トニー・クラーク共著、鈴木主税訳、集英社新書)
けっこうすごい事が書いてあるな、と思って読み進んでいったら、市民団体の本でした
まあ、買う前に背表紙の著者説明で気が付かなければなりませんが
情報としては役に立ちました
国際企業って、やろうと思えばその国の内政に干渉できるのか
さて、水に限らずこの種の問題は、どういう経過を辿るのでしょうか
ある意味興味があるところですが、自分達が被害者になるのは願い下げですね
自己中心的な考えかな?
(森博嗣著、講談社ノベルス)
森博嗣の存在は知っていたのですが、最初はミステリーということで敬遠していました
ところが、実家に帰った時読む本が無くなってしまったので、妹が持っていた森博嗣と京極夏彦の本を借りて読んだのです
京極夏彦はそれなりに面白かったのですが、余りの分厚さに閉口しました(笑)
森博嗣の方は「月は幽咽のデヴァイス」
それから、同居人が持っていた森博嗣のシリーズをむさぼるように読みました
その後、率先して森シリーズを買うようになったのはなんと言いましょうか
教訓、偏見は駄目よ
ホームページからの疎開 その2
読書記録 平成14(西暦2002)年
塩野七生氏著、新潮社。
副題は「すべての道はローマに通ず」
ローマ人のインフラにかける情熱の凄まじさ。
ローマ人は現代人から「インフラの父」と呼ばれるくらいすごい。
現代でもインフラが整備されていない国家は多数存在するというのに。
内容はハードなインフラとして街道・橋・水道を、ソフトなインフラとして
医療と教育をあげています。
ローマ人万歳、ってな書き方ではありますが。
また、写真が本の厚みの5分の1は占めているというすごい本です。
著者がはじめにとあとがきで述べている言葉が心に残りますね。
ローマという古代国家をネタに現代社会をこき下ろしているのが良くわかります。
まあこれを読むと同感、としか言う言葉はありませんが。
神坂一氏。富士見ファンタジア文庫、今月の新刊です。
宇宙へ、人類は版図を拡大すると同時に無秩序も拡大させていた。
法整備が完備していない地方では宇宙海賊など無法者がのさばっていた。
そうした無法に対する事件処理業者(トラブルシューター)として活動する
者たちの物語が、主旋律として流れる。
しかし、彼らの正体は・・・
会話の流れとかは神坂氏の独壇場でしょう。
底辺に流れるのは、世の中に対するやるせなさ、しかしそれを踏み越えて行こうとする
その気概であります。
氏の他の作品にもそれは描かれています。
評論者が言っていた、とりあえず買って損はしない作家、というのは厳しいか。
安定した筆力を持った作家だと思います。
田中芳樹氏著、講談社の先月の本です。
薬師寺涼子の怪奇事件簿の3冊目。
元警視総監を父に持つ美人で有能で年下のキャリア・薬師寺涼子警視を上司に持つ
ある意味ちょっとかわいそうな泉田警部補の物語、というべきでしょうか。
将来の女性初の警視総監の座は確実と噂される、切れ者な薬師寺警視ですが、
とても警察官とは思えないぶっとんだ思想と行動の持ち主です。
いつも彼女、いや、彼女と泉田警部補とあと何人かがそろうと、
そこには不思議な事件が持ち上がって、、、というシリーズです。
ちょっとしたミステリー仕立てではありますが、主要登場人物を全部警察官で
固めたことで、事件に接するという確率を自然に上げてあるのはなかなかです。
主人公を男性にすることで、相方の女性のミステリアスな様子を増すところなどは
うまいなあと思います。
ミステリーにほのかな恋愛を混ぜるというのは、森博嗣氏が犀川・萌絵シリーズで
組み合わせたのと同じで、筆力さえあれば最近のトレンドとして爆発するでしょう。
田中氏の筆力は銀河英雄伝説で証明されておりますが、問題は遅筆ということ。
今も未完のシリーズがごろごろしています(笑)
その中の創竜伝のお楽しみキャラ小早川奈津子をヒロインにしてみたらこうなった
と言わんばかりのものです。
なっちゃんは主人公にはできないのでこっちで活躍させているのだろうというのが
如実にわかります。
さらに他の登場人物も味があります。
森氏もキャラクターの味を出すのはうまいですが、田中氏は昭和の時代から
キャラクターの書き方では一級品と言われた人です。
前作2冊も読むといっそう楽しめます。
副題は「The Riddle in Torsional Nest」
講談社ノベルス、森博嗣氏の今月の新刊です。
(実際は「捩」はちょっと違う字なのですが)
今回は講談社ノベルス創刊20周年記念だそうで、密室本シリーズには
切らないと中身が見えない様に覆いがしてあります。
立ち読みができませんね(笑)
ある資産家がメビウスの帯を建築物にしたものを作ってしまいます。
そこにはあのエンジェル・マヌーバが・・・
しかし殺人事件が起こり、エンジェル・マヌーバも消えてしまう。
殺人と密室。
そしてエンジェル・マヌーバの行方は?
さて、Vシリーズの第8作目にあたるこの本には、探偵役の紅子さんはプロローグと
エピローグにしか出てきません。
さらにいつもの小鳥遊練無と香具山紫子は影も出てきません。
その代わりと言ってはちょっとなんですが、助手役にはあの西之園萌絵が出てきます。
Vシリーズの書き手たる保呂草潤平は助手役ではなく泥棒役ですので、
全く探偵役が出てこないということです。
ちょっといつものVシリーズとは趣向が違っています。
ページ数も173と森氏にしては短い部類に入りますし。
森博嗣氏の文体は詩的だと以前書きましたが、各章冒頭の引用もきれいです。
ただ、普通の小説家さんの書きようと異なり、描写が独特ですからかなり好き嫌いが
分かれるのかもしれません。
実際の人間だったらこういう風に行動し発言するだろうという自然さが出ています。
ただ、登場人物は自然であっても普通ではないので小説として成り立っているのです。
この物語では全ては語られません。
保呂草は果たして何を得て何を知ったのか。
シリーズの謎はさらに深まるのです。
この本を読むのでしたら、是非ともS&M(犀川&萌絵)シリーズ10冊と
V(紅子)シリーズのこれまでの7冊を読むのをお薦めします。
さらに面白く感じることと思います。
題名「嵐の獅子たち」。
栗本薫氏、ハヤカワ文庫の今月の新刊。
クリスタルに閉じこめられていたリンダを救出し、味方と合流を果たしたグイン。
しかし、激戦地ダーナムに新手の軍隊が出現したとの報を受けます。
それはゴーラからはるばる遠征してきたイシュトヴァーン軍でした。
グインはイシュトヴァーンについて語ります。
一方ダーナムを解放したイシュトヴァーンはナリスの元に赴くべくマルガへと進軍します。
しかしマルガを目前にして謎の軍勢から奇襲を受けます。
イシュトヴァーンの運命はどうなるのか。
最近2ヶ月に1冊の割で刊行されているグイン・サーガです。
栗本氏は著作業の他に演劇なんかも手掛けているのでかなり忙しい人のはずなのですが
作品は滞ることなく出ていますね。
まあここら辺は大学の先生である森博嗣氏などにも当てはまるのですが、
こういう激仕事人というのは確かに存在するのだなあ、
とこの人達の著作が出る度に感じてしまいます。
関係ないけど、今週のNHKのTR(トップランナー)に出ていた京極夏彦氏が、
起床は6時で寝るのは深夜の4時過ぎ、早い時でも3時というのを言っていましたね。
超人達と言っても過言では無いのでしょうが、実はけっこう身近にそういう類の人が
存在したりすることもあるのでなかなか侮れません。
ファミ通文庫、吉岡平著。
富士見ファンタジア文庫版の1巻と外伝1巻を書き直すだけで6巻をかけてます。
お陰でかなり書き込まれています。
この10年で描写の書き込みが格段に上達していますね。
などと言うと偉そうですが。
読んでいて楽しい作家です。
日下公人(くさかきみんど)氏著、PHP研究所の新刊。
題名の割には戦争についてはそんなに触れられていません。
どちらかというと、日本の常識=世界の非常識、をいろいろな面から書いている感じですね。
内容は面白いし、豆知識としては非常に役立つと思います。
ただ、そのまま読むととんでもない表現があちこちに散りばめられていたりしますが。
”中国は国家の名に値しない”というのは良い視点ですね。
まじめにやるのが第一で、頭を使っていい目を見ようなんてのは下だなあ、って感じる書です。
公開初日に見てきました。
指輪物語の映画化は失敗する、というジンクスがありまして。
過去二回の映画化はさんざんなものだったと聞きます。
試写会に行った人の評判もあまり好ましくなかったので、駄目かなと思いましたが。
確かに、画面の動かし方がちょっと目に優しくなかったり、
なんとなく最近見た映画に似ているなあ、という感じもしないではなかったです。
エルロンドが何となく悪役顔をしていたり、
アラゴルンとボロミアの区別が付かなかったり、
どっちがピピンでどっちがメリーだかわからなかったのも困りました。
しかし、ホビット役をちいさく描いたり、群衆シーンがすごかったり、
技術的なものには舌を巻きました。
3時間という長尺ですが、かなりよかったと言って良いと思います。
まあ終わり方が・・・というのはしょうがないでしょう。
指輪物語というのはこういうものなのですから。
それよりも、国際会館松竹、最近作ったはずの映画館なのに、
画面は狭いわ、薄汚れているわ・・・
映画に対する心意気が感じられませんでした。
映画はまあまあ良かったのになあ。
THE LORD OF THE RINGS、J. R. R. トールキン著。
瀬田貞二、田中明子訳、評論社。
もともと三部作で、第一部・旅の仲間、第二部・二つの塔、第三部・王の帰還となっています。
それぞれが長いので、日本語訳で出すときにそれぞれ上・下に分けて最初は6巻だったのです。
ところがそれでも長いので第一部の上下巻と第二部の上巻だけさらに1・2とわけてあります。
そのため第一部だけ書くと、上1、上2、下1、下2という4つに分割されることになりました。
それで計9冊になってしまっています。まったく珍しい。
こう書くとわかるとおり読むのに非常に時間がかかります。
しかも訳した人には悪いのですがちょいと読みにくいのです。
なるべく原作の雰囲気を残したままということらしいのでこれは我慢ですが。
こんなに長いにも関わらず、ちょいと端折っているなあと感じてしまうのは不思議です。
とにかく作者がちょっと短すぎたかもしれない、という述懐をしているので間違いないでしょう。
書くのに1936年から1949年までかかっていますが、戦争中も少しずつ書いていたみたいです。
出版されたのは1950年代半ばです。
指輪物語は現代ファンタジーの祖ともいえる作品です。
最初にホビットという種族が出てきて、エルフ、ドワーフ、オーク、魔術師などがぞろぞろ出てきます。
この物語はホビットの一人が偶然手に入れた指輪が、世界を支配する”一つの指輪”であった事から始まります。
そして、それに気が付いた人々と、元々の製造者にして所有者である冥王との間に次第に緊張が走り、
それぞれの指輪争奪競争から、指輪大戦とも言える争いに規模が拡大していく様を描いています。
そして、終局へと物語は次第に静かに流れていきます。
音楽作品的な流れを感じます。
読むのに一月はかかりましたが、これは読んで良かったです。
最後の締め方がなんとなく銀英伝に似ているなあと思ったのは私だけではないはずです。(もちろんこっちの方が早いのですが)
かなり根気が要るかもしれませんが、お薦めの作品ですね。
加藤陽子著、講談社現代新書の今月の新刊。
日清日露から太平洋戦争まで、その国際的・国内的な背景を研究したものです。
まあこんなものでしょう。
一般に満州事変から国際連盟脱退で日本の立場は悪化したと信じられているのですが、意外と不利にはなっていないようです。
関東軍の独走さえも、ちょっとやりすぎたけど気持ちはわかるという風に外国も捉えられていたみたいですし。
日中戦争が突発的に始まってしまった事とソ連がかなりジョーカーだった事がその後の帝国の崩壊を決定づけてしまったと行っても良いでしょう。
確かに帝国政府、軍部は国際認識が少々甘かったのかもしれませんが、現在の政府、マスコミよりは確実に賢かったと思います。
栗本薫著、ハヤカワ文庫の今月の新刊。
題名は「劫火」。
ここを見る人も少ないだろうからネタバレを。
なんとイシュトヴァーンが竜王の手先となってマルガを攻撃。
ナリスの運命や如何に、っていうところで終わっています。
毎回見事に引きが入っています。
外伝が16冊あるので、シリーズとしては100冊目だそうです。
凄いですね。
鬼頭宏著、PHP新書の今月の新刊。
地球が閉じた系であることがはっきり認識されてきた現代の問題について、同じく資源・エネルギーに関しては閉じた系だった江戸時代を一つの基準として考えようという流れがあります。
そういった考えに触れる入門書的な位置付けになるでしょうか。
もちろん江戸時代といえば今の日本とはかなり差異はあるのですが、それでも何らかの繋がりは見えてくるものです。
人間の活動による環境への負荷は当然江戸時代にもあり、公害や自然破壊といった問題はそれこそ人類とともにあると言って良いくらいです。
江戸時代をざっと眺めて書いてあるので、江戸時代がどんな時代だったかを感じるには良い本だと思います。
主に日本だけについて述べられていますが、さて、人類全体としてはどのようになるのでしょうかね。
神坂一著、富士見ファンタジア文庫の今月の新刊。
クロスカディアの2巻目です。
いつもながらこの作者は真面目なのか不真面目なのか良くわからないですね。
全体の流れはシリアスと言っていいのですが、時々シリアスに見せかけておちゃらけが入ります。
味ですね。
田中淳夫著、平凡社新書の3月の刊。
不況と言うよりは衰退した日本の林業の復活のさせ方の一案とでも言いましょうか。
林業のみならず環境とか産業のありかたに一石を投じたいという心意気が出ています。
林業は実は森林を健全化しうるとのです。
うまくやることができれば産業の劣等生の林業も復活させることができる、そんな展望も見えてきそうです。
杉立義一著、集英社新書の今月の刊。
産婦人科医の著者が縄文時代から現代までの日本でのお産の歴史を綴ったものです。
胎児は頭が下、という現代の常識も実は18世紀半ばにやっとわかったのですね。
しかも西洋だけではなく日本でも同時期に発見されたとは驚きです。
とはいえ古代ギリシア・ローマではちゃんと頭が下と認識されていたのでは・・・というのもあるのですが。
どうでしょう。
鷹見一幸著、スニーカー文庫の5月の刊。
アウトニア王国再興録1、英雄待望篇。
前3冊の”奮戦記”でアウトニア王国を帝国に滅ぼされてしまった主人公達ですが、この巻では前作の登場人物が活躍しています。
主人公が出てくるのは最後の方です。
所々に埋められているギャグと、静かに流れる悲しい旋律がこの青春スペースオペラの味でしょうか。
作者によると「牛丼屋は不滅です」だそうです(笑)
森博嗣著、講談社。
副題は「Rot off and Drop away」
森ミステリィでは愛は哀であるというのが裏の旋律ではないかと思うのです。
Vシリーズの9作目にあたる本巻は「6人の超音波科学者」の続きです。
短編とかこれまでの8作品で拡げられていた風景が一挙に繋がります。
Vシリーズでは語り手の保呂草さんのファンか、探偵役の紅子さんのファンかで作品の見方が変わりそうですね。
八木秀次著、PHP新書。
副題は「日本の国柄とは何か」
明治憲法は軍国主義を招いた悪法というイメージが戦後は定着しています。
しかし、明治憲法は実は国内外から称賛されたかなりの良法だったということは学校でも社会でも教えてもらえません。
現憲法がその成り立ちに於いて少々の怪しさを孕んでいるためにされた無実の罪と言えば言い過ぎでしょうか。
大正デモクラシーに代表されるように明治憲法下でも現代に勝るとも劣らない政党政治、原論の自由が展開されていたことを見れば、憲法条文よりその運用が命であることは明白です。
憲法起草者達も運用が命だと考えていました。しかしその運用の柔軟さが徒になり、昭和になって軍部が政治に介入しわずか10年で国は軍事国家となり、さらに10年で国家は崩壊しました。
今の日本もわずか10年の変化で国が崩壊しかねない勢いです。
昭和前期の日本人も平成の我々も混乱した世相に生きているのです。
案外知られていないのですが、明治憲法でも戦後憲法でも憲法のさらに上流に条文が設定されているのです。
有名な「五箇条の御誓文」です。
一、広ク会議ヲ興シ万機公論ニ決スヘシ
一、上下心ヲ一ニシテ盛ニ経綸ヲ行フヘシ
一、官武一途庶民ニ至ル迄各其志ヲ遂ケ人心ヲシテ倦マサラシメンコトヲ要ス
一、旧来ノ陋習ヲ破リ天地ノ公道ニ基クヘシ
一、智識ヲ世界ニ求メ大ニ皇基ヲ振起スヘシ
実に社会はシステムではなくそれを運用する人間よって動くのです。
松本哉著、集英社新書。
寺田寅彦は”天災は忘れた頃にやって来る”で有名な人です。
物理学者にして文筆家でありいろいろ面白い随筆を書いています。
寺田寅彦というと懐かしい響きを感じるのは、時代が進んでしまったからでしょうか。
鷲田小彌太著、PHP新書。
帯の文字が”哲学はドラマである!”と来ました。
確かにこれからの時代は哲学をちょっとでも知らないと困るかもしれませんね。
哲学史よりも時々挟まれているコメントに味があったりします。
神林長平著、ソノラマ文庫ネクスト。1997年単行本で出ていたものを1999年文庫化したもの。
神林長平と言えば猫と人工知性ですが、今回は野良猫の様と評される人造人間が主人公です。
いつもながら読んでうならせてくれる小説の書き方をする人です。
軟派な小説も好きですが、こういった硬派の小説も大好きですね。
文春新書。
中曾根康弘、西部邁、松井孝典、松本健一の対談集。
天文学者の松井さんが加わっているのでどんな風になるかなあと思って読んだのですが、
特に目新しいことはなかったです。
雑誌の再録なのでそれもそうかなと。
85巻、”蜃気楼の彼方”。ハヤカワ文庫、栗本薫著。
物語はどんどん進んでいきます。
グイン・サーガの書式を以て描写が細かいと捉えるか中身を薄めていると捉えるか、人によって好みが出てくると思います。
あとがきについても、良しとするか嫌に感じるか差異が出てくるかも。
自分は面白い小説が読めればそれで良い派なのでこの種の論争には参加したくないですねえ。
光文社新書、江藤隆司著。
伊藤忠でトウモロコシの輸入に携わっていた方みたいです。
日本では貿易とか経済とか言うと工業製品しかない様に見られていますが、世界経済から見ると農産物も侮れないのです。
農産物に関しては政治とか生活レベルとか天候とか複雑な要素が絡み合っているので、一筋縄では行かないのですね。
特に日本では、為替とか貿易統計は工業中心で語られることが多いので、農産物の重要性についてもっと語られても良いのでは無いかと思いますけどね。
光文社新書、山際素男著。
インド千夜一夜物語だそうです。
全18巻、十万詩節、二十万行を越える世界最大の叙事詩で、”ここにあるものは総て何処にもあり、ここに無いものは何処にも無い”と豪語する書物です。
ダイジェスト版ですがそれぞれに納められた逸話が面白いですね。
けれども本編を全部読むのはちょっと無理ですな。
光文社新書、田中宇著。
副題が”何も知らない日本”。
国際関係論の一種ですが、この本の様な世界観もあるのかなと。
一歩間違えると陰謀史観の一種と見なされそうです。
こういう視点で世界政治を見る人って少なくないと思うのですが、絶対主流にならないのは面白いというか何というか。
ウェブサイトのアドレスまで載っています。
www.tanakanews.com
集英社新書、ブリギッタ・ロート編、西川賢一訳。
いろいろな人がいろいろな事を言っています。
とても面白い(笑)
副題:幸福な未来への経済学
中公新書、松谷明彦、藤正巌著。
2006年から日本の総人口は減り始める事はわかっているのですが、その人口減少社会を題材にして行政・企業の根性の無さに文句を言っているといった感じです。
政府・企業の不甲斐なさに腹を立てて書いたのでしょう。
考えるほど世の中はうまくいかないので、なるようになるさ、としか言えませんが。
(神坂一、スニーカー文庫)
ライトノベルとしては面白いです。
ギャグで始めてシリアスで終えるというのはこの作者のパターンなのですが、一度作風が確立してしまうと読者としては辛いところです。
筆力があるからまだしばらくは大丈夫かな。
(織田一郎、文春新書)
時の成り立ちと、時計技術の成り立ちとの解説が面白いです。
国際関係となると日本はどうも駄目だなあというのが良く現れています。
著者はサマータイム肯定派なのでしょうか。
欧米ではとか言いますけど、なぜ欧米でサマータイムが受け入れられているのか不思議でならないんですけどね。
オーストラリアなど南半球の国々のこととか考えても疑問が尽きません。
(火浦功、徳間デュアル文庫・・・2001.11)
いや、こういった馬鹿馬鹿しい小説というのも良いものですね。
常識的な小説が好きな人は火浦功は駄目でしょうけど、そうでない人ははまります。
映像がとてもきれいですね。
ストーリーとか俳優の演技とかどうでもよくなると言ったら言い過ぎですが。
監督も断言していますが、この作品での見所はヨーダでしょう。
友人は杖いらんじゃん、とか言っていましたが。
(池谷裕二・糸井重里、朝日出版社)
三十歳を過ぎてから頭は良くなる。
脳は疲れない。
池谷氏と糸井氏の対談集ですが、読むだけでも元気が出てきます。
お値段は税別1700円となっていますが、まあそれだけの価値はあるでしょう。
池谷氏は実はちょっとした知り合いなのですが、身近な人が本を出すと不思議な気がするものです。
(神坂一、富士見ファンタジア文庫)
読むと笑ってしまうので絶対電車の中では読めません。
ライトノベルの中でも馬鹿馬鹿しさが限度を超えればちゃんと笑いになるということがわかって良いです。
このバランスが作者の力量でしょうか。
でも、バカップルはうざいですね。
(八木秀次監修、小学館文庫)
我が国で戦前に行われていた修身の教科書のダイジェスト版です。
修身と言えば戦後進歩派の人々には受けが悪いのですが、書かれている内容は非常に優れています。
小さい頃に見ていた偉人伝がそう言えばこれに似ていたのかもしれません。
戦後57年、そろそろ良いものは見直して欲しいものです。
(栗本薫、ハヤカワ文庫)
86巻です。
ついにグインとイシュトヴァーンが戦場でぶつかります。
しかしこの作家、あとがき長いよね。
(副島隆彦、五月書房)
副題:Beyond the Planet of the Apes
「私は、日本が本当は猿の惑星なのだ、ということに気付いた優秀な若い猿である」
とは著者の弁ですが、さもありなん。
いやいや、ここまで正直に書いて良いものでしょうか、と他人事ながらいささか心配になります。
日本の文化系言論人をほぼ全部罵倒している、と言っても過言ではないでしょう。
まだしも理系に関しては養護している向きもありますが、
おそらく理系に関してはあまり知らないので詳しく書いてないだけではないでしょうか。
理系の状況を直視すると、目がつぶれるかも。
それとも理系は文系よりまだまし、という事でお目こぼしでしょうか。
「属国日本」という言葉を初めて使ったのは自分だ、との自負が炎の様に吹き出ています。
全体的に書き殴りのように見えますが、意図的にそういう編集をしているのでしょうか。
書き殴りの様な文章を意図的に選んだ、とも言えますが。
この前著にあたる「属国日本論」も以前読んでいるのですが、毒気が増えてますね。
現状に不満だらけと言うのが歴然ですね。
この本を読めば皆憮然とするでしょうか。
それとも、そのとおりだ、と喝采するのでしょうか。
不毛だ、との感想を持つ人もいるでしょう。
なんだかちゃんとした事を言っているだけの様な気がしますが、
確かにこの論調で表に出された本は見たことが無いかもしれません。
読んで損はないと思いますが、この本を読むと新聞・テレビを見る気を無くします。
ところで「ポチ・ホシュ」とは小林よしのり氏とかも使っていたのですが、
どちらが初出なのでしょうね。
小林氏の本に書いてあるのかもしれませんが、確認していません。
ちなみに著者のホームページ(サイト)があります。
「副島隆彦の学問道場」
(神林長平、ハヤカワ文庫)
1986年9月に光文社から出版されたものの復刻版とでも言いましょうか。
帯には「スラップスティック版『雪風』!?」とかありますけど全然似てません。
16年前の作品ですか。
計算すると30代前半に作者が書いたことになりますが、勢いがありますね。
ノリだけというかパワー全開というか荒削りというか。
昔の神林作品は脳味噌をこね回されるような感じがするものが多いですがそんな感じです。
読むのにちょっと苦労するところが神林長平作品の味だったりします。
書くのにも苦労しただろうなあ・・・
(斎川眞、ちくま新書)
この本は以前書いた副島氏の本に載っていたので、どんなだろうと思って読んだ本です。
1999年10月の本ですが、天皇関係の本としては比較的良くまとめられていると思います。
などど書くと偉そうですが。
妄想が少ない本というのは良いですね。
新書だからというのもあるでしょうが、この本の書き方は何か参考になるかもしれません。
天皇は”すめらみこと”読むのが正しかったのですね。
ま、今風に読んでも別に困ることは無いでしょうけど。
あと、「事大主義」と「夜郎自大」はなるほど”後進国”ならどこにでも出てくる現象なのだなと。
どうにも内容の説明から外れてしまいましたが、読んで面白い本でした。
(吉岡平、ファミ通文庫)
富士見ファンタジア文庫から10年くらい前に出ていた無責任シリーズを書き直したものの続きです。
前にも書きましたけど、著者の筆力が上がっているので内容もずいぶん良くなっています。
今回はタイラーとユリコの結婚式と「信濃」の最初のところが出ています。
タイラーとヒラガーの描写の濃度が濃くなっています。
参謀本部三羽烏とかもただの馬鹿としては扱われていません。
昔に比べてより大人になった「無責任シリーズ」です。
しかし作者も嘆いていますが、主役のヒラガー、前回では奇妙奇天烈な人間に描かれていますが、
今みてみると何処にでもいる青少年になってしまってますね。
はっきりいってヒラガーより奇妙な人が周りにいっぱいいる現代って、すごい。
(田中芳樹&荻野目悠樹、徳間デュアル文庫)
スペースオペラですねえ。
ヴェネツィアとトルコの戦争って感じでしょうか。
もちろん、軍事だけじゃなくて情報戦、経済戦てことで。
ただいま風呂敷展開中、という感じです。
しかし、2チャンネルで”もしもライトノベル作家が一つのクラスだったら・・・”で
「先生! 田中君が後輩にレポートを書かせてます!」
とか
「先生! 田中君最近レポート書いてません!」
とかいうのがあって笑えました。
(鷹見一幸、角川スニーカー文庫)
続けてスペースオペラです。
前巻では周囲の人々の動きの方が主流でしたがやっとマイドの活躍するところとなりました。
と言いたいところですがまだまだ周囲の流れの方が気になります。
そろそろ無敵提督が動き出します。
流浪の民たちは果たして強大な帝国に勝利することができるのでしょうか。
スペースオペラとは現代における童話だと、自分は思うのです。
それも少年少女のものだと思うのです。
この視点を失うと作品の評価は難しいでしょう。
いつの日かこんな優しい物語を自分も書きたいものだと思います。
(森博嗣、講談社)
Red Green Black and White
森ミステリィの新刊です。
Vシリーズ10作目で最後です。
相変わらず最終巻はページ数が多いです、367ページです、980円です。
淡々と詩的に語られる情景があると思えばジェットコースターの様に急転回もします。
さすがに最終回だけあって登場人物はみんな無茶をしますね。
そしてエピローグの物語。
あれはどう繋がるのでしょうか。
それこそがミステリーだったりします。
(神林長平、早川書房)
奥付には1983年2月28日発行、2002年7月31日六刷とあります。
大人になれば感応力が無くなる世界。
そこでは少年が時間と仲間と大人とに挟まれ木の葉のように揺れていた。
神林長平の作品はきわどいです。
展開の鋭さが、論理の鋭さが読む側を切り裂きます。
氏のラストはいつも切なさを感じさせます。
神林長平は覚悟して読め、というところでしょうか。
すごいわ、この人。
(神林長平、早川書房)
奥付には1986年8月31日発行、2002年7月31日五刷とあります。
制御体に司られている世界。
その世界で制御体に認識されない少年がいた。
彼は何者で、どこから来て、そして何処に行くのか。
そして世界は不思議な展開を見せ始める。
神林世界、言葉と想いそして色の世界。
何と言ったらいいのでしょうか、世界が一瞬にして反転するという、そんな感じ。
不思議な作家です。
(田中芳樹、講談社)
夏の魔術シリーズの4冊目で最終巻です。
耕平は行方不明になった来夢と北本氏を探すため、再び旅に出た。
そこで出会う意外な人物。
果たして耕平は来夢を取り戻すことができるのか。
といった物語なのですが、ちょっと歴史を辿ってみましょう。
夏の魔術:1988年4月30日初刷
窓辺には夜の歌:1990年7月31日初刷
白い迷宮:1994年7月31日初刷
春の魔術:2002年9月18日第一刷
このシリーズが始まったのは昭和だったのか・・・
それぞれの間隔が、2年、4年、8年です。
最終巻では21世紀に入ってしまいました。
夏・秋・冬・春を14年半かかって書いた計算です。
時間かけすぎだって・・・
まあこの作者、完結させただけでもえらいです。
未完の作品がいったいいくつあることやら・・・
いや、作品はなかなか面白いですよ。
作者の遅筆に文句を言っただけです(笑)
(神林長平、徳間デュアル文庫)
出渕監督の「ラーゼフォン」を小説化したものですが、神林氏にとっては初の試みです。
アニメ版ラーゼフォンはエヴァンゲリオンを真似したとか、いやエヴァンゲリオンがラーゼフォンを真似したとかいろいろ議論されている作品ですが、ここでは関係ありません。
原作とどれだけ違うのかは、原作を見てないのでわかりませんが。
読めば「これは神林長平の作品だ」というのがわかります。
エジプト神話と平行世界、そして時間と物質というのがテーマでしょうか。
狂った時空を調和させる時間調律師とは神林氏得意の分野か。
この作者の上手いなと思うところは、必ず最後と最初が連動しているところです。
決して全体の調和を乱さない。
さすがですね。
(神林長平、ハヤカワ庫)
神林氏にしては珍しいことに普通の小説だったな、という感じです
テレパスは出てきますが、猫も人工知性も出てこないからそう感じたのかもしれません。
時は未来、舞台は月世界。
魂の救済が主旋律でしょうか。
最近神林作品を連続で読んでいたから慣れてしまったのかな。
(勢古浩爾、洋泉社)
帯の”バカには付ける薬がない!”とか”バカは死んでもなおらないから、もう笑いのめすしかない。”というのが全てを表していますが。
バカを列挙しただけといえばそれまでですが。
困ったな、何も言うことがない(笑)。
(夢枕獏、文春文庫)
安倍晴明と源博雅のシリーズ第四弾です。
この人の描く安倍晴明は超然としていて、かつ人間味溢れているので好きです。
そしてこの人の描く蘆屋道満が好きな人も案外多いかもしれません。
1980年代初めにテレビアニメでデビューしたガンダム。
映画版が深夜枠の地上波で放送されていたので録画して見てみたのです。
あまりにも有名なのでコメントはありきたりになりますが。
設定や人間ドラマの有様等、富野監督の影響が大きく出ている作品です。
20年前とかなり受ける印象が違います。
昔は単なる面白いアニメでしかなかったのですが、こうして見直してみると奥の深い作品です。
さすがに20年経っても人気が衰えないだけのことはあります。
しかし富野さん、登場人物を殺しまくっています。
田中芳樹氏もかくやという感じ。
(神坂一、富士見ファンタジア文庫)
5つの月が回る星クロスカディアでの物語。
クロスカディアにはヒューム、ドラグノ、ディーヴァ、リワーダーの4種族がいます。
ディーヴァに付け狙われていたメイを保護してしまったシンは、その後自宅の半壊、度重なる襲撃など不幸な目に遭い続けます。
ドラグノのレゼルド、リワーダーのラフラ・リフラなどの協力で襲撃は辛くも撃退しますが、形勢は不利。
一行はレゼルドの故郷である北の大陸に渡って難を逃れようとしますが、果たして無事に辿り着くことはできるのでしょうか。
という感じの今回です。
軽妙な書き方はさすが神坂氏といった感じですが、主人公のシンの弱さが目立ちます。
いや人間にしては強いんだけどその他3種族が強すぎるというか。
風呂敷展開中ですが、シンは単なる観察者で終わるのか、それとも何か鍵となる主人公なのか謎です。
あとがきがまた神坂氏らしいといえば神坂氏らしい。
あ、表紙裏の紹介文のルビを一箇所間違っていることも指摘しておきましょう。
なんでこれが見過ごされたのだろう?
(稲田智宏、光文社新書)
神社の前に建っている鳥居についての入門書みたいなもの。
急いで書いたのか章ごとのまとまりにばらつきが見られるのが少々残念。
この関係が好きな人には軽い読み物として良いかもしれません。
(森博嗣、中央公論新社)
森博嗣の描く戦闘機のパイロットもの。
淡々と詩のように流れる文章は、時に無機質にも見えます。
作者の心象スケッチなのでしょうか。
読後に得られるものはリフレインか空虚か、人によって評価は大きく異なるでしょう。
(サミュエル・ハンチントン、山本暎子訳、ダイヤモンド社)
「文明の衝突」で有名なハンチントン教授の本。
9.11後の世界の様相を述べています。
日本の出版社から依頼されて執筆しただけあって日本についての記述は細やか。
岡目八目と言うべきか、理想論というべきかは微妙なところ。
一つの視点を与えてくれる書でしょう。
(福沢諭吉、岩波文庫)
あまりにも有名な本。
筆禍の評も外れることが無いでしょう。
面白おかしく読み易いです。
明治初期の作品ですが現在でも通じるものが多いですね。
あと福沢諭吉と言えば脱亜入欧で嫌っている人が多いらしいですが(なんで嫌うんでしょうか)。
実は脱亜入欧と言ったことは一度も無いらしいです。
星一徹のちゃぶ台返し伝説のようなものでしょうかね。
(川勝平太、ちくま新書)
近代初期には「真」の追求が起こった。
次に自由と平等のどちらが「善」かの争いが起こった。
そして現在世界を動かしつつあるのは地球環境に対する「美」の追求になっている。
そんな感じで始まります。
南方熊楠、西郷南洲などの人々を上げ、これらの人々の感性こそが現代に生きるものと指摘しています。
後半は日本及び世界の見方で、この人は道州制や連邦制が好きなようです。
首都移転は東京時代との決別と言う点から良いものである、との認識のようです。
理想論であるというのはそうなのですが、実現すると面白いなという視点がたくさんあります。
所々に散りばめられたエピソードを読むだけでも価値が高いかもしれません。
良書でしょう。
(田中芳樹、講談社文庫)
田中芳樹氏の作家デビュー25周年を記念して出された文庫です
対談、エッセイ、インタビューとてんこ盛りの内容です
最後に年表が付いていますがやっぱり出版ペースが落ちてますね
まあ読者は無茶を要求するものですからこれくらいは言っても良いでしょう
田中芳樹ファンは是非手に入れて読んでください
ところで先生、次の作品はいつ出ますか?
(石原藤夫、裳華房 ポピュラーサイエンス253)
ふくはらなおひとさんのサイトで話題になっていた本
光世紀世界とは太陽を中心とした直径100光年の球状宇宙のこと
ハードSF作家・石原氏がSF作家用に編集したものです
その筋の人には面白いものと思われます
(野尻抱介、ハヤカワSFシリーズJコレクション)
西暦2006年
高校の天文部員白石亜紀は水星の日面通過の観測中に奇妙なものを発見する
それは次第に大きくなり人類の生存を脅かすリングとなった
果たしてこれは異星人の仕業なのか?
という感じのSFです
久方ぶりの日本のハードSF
面白かった
しかし、ハードカバーでもないのに税別1500円もするのね
SFファンじゃなければ手が出ないな
逆に言うとSFファンなら値段に目を瞑っても買うだろうけど
ホームページがなくなるので、こちらに疎開します。
読書記録 平成13(西暦2001)年
「東京改都」(深川保典著:中公新書ラクレ)という本が出ましたが、なかなか面白いことが書いてありました。 最高裁判所は仙台へ、国連大学本部は広島へ、文部科学省は長野へというのがあって、それぞれ司法、国連、教育というソフトを地方に移譲してしまえ、というものです。(まあ、これだけでは言い方が乱暴なので本を読んだ方がいいでしょう)
そして、日銀は大阪に移転させてしまえ、と。金融は財政から独立すべきという考え方に立つならば日銀の独立のために首都から遠く離してしまえばいいとのこと。そして何よりも重要な、日銀東京本店よりも日銀大阪支店の方が立派に作られているという動かせない事実 (これは東京遷都の時に大阪の怒りを鎮めるためにわざと立派なのを作ったらしいのですが)。
この本に書かれていることの半分でも実現すれば面白いことになるのにな。せめて大阪に日銀というのは実現して欲しいものです。箱ものよりソフトですね。
余録ですが、この本の中には東京と大阪は六・四で競い合ってきた、という書き方をしています。
引用すると「東京の山手から海沿いにかけて、田園調布があり、東急文化があり、港横浜がある。大阪の場合にも六麓荘(芦屋)があり、阪急文化があり、港神戸がある。
巨人に対抗して阪神が、山手線に対して大阪環状線、銀座通りに対して御堂筋、さらに東京ディズニーランドに対抗して大阪ユニバーサルスタジオ(正しくはユニバーサルスタジオ・ジャパン)、そして富士スピードウェイに対して鈴鹿サーキット。
伝統文化では江戸落語に対して上方落語、江戸相撲に対して大阪相撲、もっとさかのぼれば、江戸歌舞伎に対して上方歌舞伎、更に化政文化に対して元禄文化」だそうです。
まあ、最後の項目に関してはいろいろ異論があるかもしれません(笑)
土曜日、友人と高倉健主演、降旗康男監督の映画「ホタル」を見てきました。
ラジオなどで紹介されていますが、とにかく見て下さい。高倉健ファンの私ならずとも外せない映画です。
内容は多くは語りませんが元特攻隊の男とその妻の心の映画です。台詞が少ないですが、語りかけてくるものは多いです。
後半になりますが、韓国の俳優・高雪峰さんは一言も発しませんがその画面の中の重みは万言に値します。
もしこの映画に高倉健の男の悲しさを感じることがあれば「鉄道員(ぽっぽや)」もお薦めします。
とにかく見て下さい。百万言に勝る重みを感じられます。
今回から本の紹介もします。初回は2冊。
まず「彼女の持ってる核ボタン」。角川スニーカー文庫から。
14歳の女子中学生が、ひょんな事から悪魔と契約、日本の総理大臣に。
彼女の引き起こすハチャメチャと現代社会の風刺の二重奏です。
わりあい楽しく読めました。
次に・・・すみません。題名忘れました・・・
内容はですね、国土交通大臣が災害派遣の自衛隊の一部と被災者とともに疑似過去の日本へ飛ばされてしまうというもの。
かなり下火になってしまった架空戦記本ですが、
扇千景氏をそのままにした(名前を変えただけです)女性大臣が出ます。
扇大臣のファン必見です(笑)。
今日公開初日でしたので見てきました。
それにしてもすごい人数でした。次の回とその次の回立ち見で次の次の回しか無かったし。
内容はいかにも宮崎駿の映画って感じでした。
いつもながらすべてのシーンを無駄なく使っています。
ある人に言わせれば説教親父と言うらしいですが(笑)
でも良かったですよ。まだの方は是非見て下さい。
作り方が相変わらずうまいなあと思いました。
今回でまたまた最後と言っていましたがまた作ると思います。
前回もそう確信しましたもの(笑)
今週号の週刊ダイアモンド、特集は「ニッポン全693都市ランキング」。ベストシティー
第一位は東京都千代田区でした。他にも5位まで中央区、港区、渋谷区、文京区と
いう風に快適性と経済力に優れた都市が選ばれています。
さて、特集のもう一つは全国の自治体の数を3300から1000に削減するのを目標とした
「平成の大合併」に関する話題。この中で鳥取県が全県を東部の鳥取市、中部の倉吉市、
西部の米子市の三市に大統合する案があるというのが出ていました。
すごいのですが、更にすごいことが。実はこの三市ですが人口はそれぞれ24万、11万、
24万という数なのです。そう、三市合わせても(要するに全県合わせても)61万人。全国
レベルでは20位の岡山市と21位の江戸川区の間に位置するのです。
この前さいたま市が誕生しましたが人口は100万人。えらい差がある話ですね。
今回はグイン・サーガ(80)「ヤーンの翼」です。グイン・サーガは現在二ヶ月に一冊の
ペースで出ています。少し前には外伝と合わせて一ヶ月に一冊のペースで出ていたので
月刊グイン・サーガと言われていましたが。
作者の栗本薫氏は筆が早いことが知られていて、これ程量産できる人は森博嗣氏くらい
しかいないのではないかと。
まあ誰が名付けたか自動書記ですから森さんとは比較できないのですが。
続いて田中芳樹氏の「岳飛伝(3)精忠岳家軍ノ巻」です。
田中氏と言えば銀河英雄伝説で有名ですが、中国ものの方が好きなようで最近はこちらの
方が多くなっています。
昨日あげた栗本氏や森氏と対極的に田中氏は遅筆で有名で、現在シリーズが途中で止まっ
ているものとして「アルスラーン戦記」「創竜伝」「タイタニア」などがあります。
宿題が貯まっているにも関わらず、中国ものや「薬師寺涼子シリーズ」に注力している様子で、
ファンは困っているでしょうねえ。
最近レンタルビデオに当たりはなかったのですが、今日借りてきたのは面白かった。
「ギャラクシー・クエスト」というビデオで、新作料金設定だったから最近出てきた作品
だとは思いますが、映画館でやっていたかどうかは知りません。
思いっきりB級SFですがつぼにはまってしまいました。
内容は、スタートレックのもじりだと思われますがギャラクシークエストという番組の
出演者が、それを偶然見ていた宇宙人の依頼をドラマの出演依頼だと勘違いして受けてし
まいます。番組を見ていた宇宙人が番組そっくりの本物の宇宙船(エンタープライズ号に
何となく似て無くもない)を作ってしまっていて、勢いでその艦長およびクルーになって
しまいました。
しかし何と言っても星間戦争ですし、相手は極悪宇宙人です(笑)
俳優の彼らが無事戦争を解決して、地球に帰ることができるのでしょうか?
という作品です。
随所にギャグというのか通な場面が組み込まれていて、勢いで最後まで見てしまいました。
これは結構お薦めかもしれません。
今回は「アウトニア王国奮戦記3・でたまか・純情可憐編」(鷹見一幸著、角川スニー
カー文庫)です。
これが3巻目ですが1巻からのあらすじは、人類宇宙が二つの勢力に分かれて争ってい
て、その一方である帝国の下級貴族として生まれた主人公が皇族のぼんぼんに士官学校の
実技試験で勝ってしまったため、アウトニア王国という辺境惑星に島流しになります。
そこで、アウトニアの王女をはじめとする様々な人との出会いが軽妙なテンポで描かれ
ます。
しかしその時、戦争相手の宗教帝国が本気でアウトニアに侵攻を開始。
さて主人公は無事アウトニアと王女を守ることができるのか、というものです。
1巻、2巻と良いところで切るので非常にやきもきさせられますが、この3巻でもこれ
からというところで終わっています。「第一部・完」ということですが非常にずるい作品
ですね(笑)
少年少女向けの作品としてとても素直に作られている作品で、銀河英雄伝説よりはタイ
ラーに近いと思います。
一服の清涼剤の様な作品と言いたいのですが、次の展開がとても気になってしまうとい
うところが難点でしょうか(笑)
私としてはお薦めですけどねえ。
この前CDを手に入れました。
アクアマリンというユニットのアルバム「天の川のひとしずく」です。
このアクアマリンはキーボードのミマス氏(作詞作曲も)とヴォーカルのSachiko嬢の
二人組です。曲はとても懐かしい感じで、素敵ですね。
このCDは実は店頭発売してなくて、ネットか通販を使って手に入れる必要があります。
アクアマリンの公式サイトはここです。
サイトの方もきれいです。
星空の余り見えない都会の夜でも星の唄を聞くとほっとしますね。
今回紹介する本は、岳飛伝(四)・天日昭昭ノ巻(田中芳樹、中央公論社)です。
この巻で岳飛伝は終わりです。
岳飛というのは宋の時代の人で中国史上最高の英雄です。
日本で有名なのは三國時代の諸葛亮とか関羽とかあたりだと思いますが、
中国では圧倒的に一位です。
宋が金国に連戦連敗で首都の開封を叩き出されていた頃、岳飛という名将が出現しました。
それまでの敗勢は一気に覆り、連戦連勝。ほぼ黄河の北の辺りまで押し返したのです。
ところがその同時期、秦檜という大臣が金国と裏取引をします。
秦檜は邪魔な岳飛を無実の罪で捕らえ、殺してしまいます。
宋の実権は秦檜に完全に握られます。宋は金国に対して和平という名の服従を
することとなり、岳飛は和平を乱したものとして名誉をすべて剥奪されました。
そして秦檜が死ぬまで宋は恐怖が支配していました。
岳飛の名誉が回復されたのは秦檜の死後でした。
そして現在、中国史上最大の英雄は岳飛であり、最大の奸臣は秦檜なのです。
岳飛伝はこの時代の正確な記述ではありません。しかし三國志の様に人々の記憶に残る
有名なお話です。
四巻で8千円近くするというのが最大の難点ですが、面白い本です。
機会があったら是非読んでみて下さい。
”ほぼ日刊イトイ新聞”でおなじみの糸井重里さんの著書です。(PHP新書)
インターネットと「インターネット的」の差は、例えばインターネットを
”自動車と道路のセット”、インターネット的をモータリゼーションと捉えるとよい、
ということです。
さすがに物書き(コピーライターとしての方が有名でしょうか?)の人だけあって
読んでいてとてもすっと入りますね。
この本の中で一番印象に残ったのは「正直は最大の戦略である」という山岸俊男さん
(社会心理学者)の言葉を引用したところでしょうか。
”勝てば官軍”というのは現代では真理のように喧伝されているけど、
実はそんなことはないのだと。
「無理に他人をだましたりしなくてもいいし、好き好んで善人であろうとして不自然な
ガマンをしなくていい」(以上引用)
というくだりは、読んでいてとても気分の良いものでした。
この山岸さんの研究が”ほぼ日”につながった、と書いておられます。
その他いろいろ読み応えのあるところがあります。
本当に読んでいてワクワクする、救われる気持ちがする、というのを久しぶりに感じた
一冊でした。
これは是非読まれることをお薦めします。
東工大の橋爪大三郎先生の本です(筑摩書房)。
今、中東とか宗教関連が書店の棚を賑わせていますが、
これは東工大での講義に基づいて書かれています。
学部の二年生向けということなので、高校生レベルの知識で十分読めます。
今現在、宗教学の入門書としては一等優れていると思います。
「日本の学生は宗教についての知識があまりにも不足している」
とあとがきで書かれていますが、大人こそこういった知識が必要ではないでしょうか。
まあこのご時世だからという訳ではないですが、必読の書だと思います。
ご存じ栗本薫氏の長編シリーズものです。
第81巻ですが、最近は隔月刊ペースですね。
しかし、あとがきにも書いていますがこの方のバックアップ狂はすごいですね。
フロッピーに、CD-ROMに、旦那さんのPCに、事務所にと最低4部ですか。
まあ、プロはここまでやらないと安心できないのでしょうね。
著者は長谷川三千子さん(埼玉大学教授)。文春新書から先月出た本です。
言ってしまえば、如何に「民主主義」や「人権」という言葉は
いかがわしいものであるか、というのが主張です。
如何に「日本では本当の民主主義が育っていない」とか「人権は守らなければならない」
とかいう台詞が間違っているか、端的に指摘してあります。
「民主主義」というのは原義的には「多数支配」ということで、
少数派は必ず多数派に従わなければならないということだったりします。
大勢の意見というのは必ずしも正しいとは限らない(正しくない場合の方が多い)もの。
また、「人権」の本来の姿には「他人の生命、財産、自由を奪う権利」も含まれていて
決して薔薇色の単語ではなかったりします。
要するに現代の日本では本当の意味での民主主義と人権が実行されているのですね。
良いことを言っていると思うのだけど、「民主主義者」とか「人権擁護者」には
嫌われるかも。
橋爪大三郎氏(東工大教授)の著書です。PHP新書の今月の新刊です。
この前民主主義についてちょっと書きましたが、その民主主義をうまく運営する方法と
政治の理想型みたいなものについて書いてあります。
それはともかく、日本がアメリカの属国である理屈と、憲法改定に絶対反対の人は
思いっきり勘違いしているか何か変な事を考えているのではないか、ということを
さらっと言っています。
ちゃんとした学者が言うとちゃんと聞こえますね、やっぱり。
あと、政治には金をかけなければいけない。
政治は金がかかるもので、金をかけないとそれなりの政治しかできない
と喝破しています。
最後に著者が薦める草の根民主主義の手法が書いてありますが、
これは結構理想論が入っています。
できると良いですがなかなか難しいでしょう。
政治を考える人にとっては教科書になるでしょうし、
そうでない人にもよい読み物になると思います。
鳥越俊太郎さんの著書です(PHP新書)。
この本は鳥越さんの自叙伝みたいなものでしょうか。
鳥越さんのニュースに対する姿勢がよくわかります。
鳥越さんは「ほぼ日刊イトイ新聞」にニュースコラムを連載中。
そのニュースに対する視点は面白いです。
最近こういったニュースに対する意見を聞くことができるのはうれしいですね。
他によみうりテレビの辛坊さんもなかなかのコメンテーターだと思います。
マスコミが良い意味で発展していけば良いですね。
著者は坂村健氏(東京大教授)。PHP新書今月の新刊です。
TRONというのをご存じでしょうか。
今や世界で最も使われている組込型OSです。
携帯から自動車までほとんどの家電がTRONで動いていると言ってもいいくらい。
日本出身のOSとしては成功した部類でしょう。
ただ、WINDOWSに相当する超漢字(旧名BTRON)はあんまり普及してないですが。
現在のIT事情に関する考察と将来像に関してまとまった内容を持つ本です。
ネットサーフィンをしているここの読み手の方には既知の事ばかりでしょうが、
知識を整理したい人にはお勧めですね。
漫画家の小林よしのり氏の作品。幻冬社から先月末に出た本です。
小林氏は分類はギャグ漫画家なのですが不思議な人です。
というのもギャグ漫画家というのは、赤塚不二夫、鴨川つばめ、内崎まさとし、
山上たつひこ等、連載途中で精神がぼろぼろになって二度と立ち上がれなくなったり、
復活に時間がかかったりするものなのですが、この人は違います。
プライバシーを暴かれようが、オウムに殺されそうになろうが、
市民団体からバッシングをされようが漫画を描き続ける。
並大抵の精神の持ち主ではないようです。
本の内容ですが、別に普通の事を言っているだけです。
この本が読めるかどうかは、漫画が読めるかどうか、小林氏の表現が好きかどうかです。
ちなみに私は読めました。
この本を読むと70代以上の老人にとって現在の日本は守る価値もない国に
変わってしまったのだろうな、という気がします。
そうした寂しさが伝わってくる本かもしれません。
昭和50年代までは別にこんな本を書く必要は無かったのでしょうが。
昭和60年代以降日本は変わってしまったということでしょうか。
ちょうど今の70代の人が現役を引退した頃に符合するのが印象に残ります。
老人と青少年は必読の本でしょう。
それ以外の方は読んでも理解できないかもしれないので敢えて薦めません。
こう書くとやっぱり寂しさが出てしまいますね。
著者は国立某大学工学部助教授の森博嗣氏、講談社ノベルスの今月の新刊。
この本は一昨年の6月に新潮社からハードカバーで出版されていましたので
新書版化したというのがよろしいのでしょうか。
いわゆるS&MシリーズやVシリーズとは違う独立した世界です。
盲目の天才科学者とそのアシスタントが時系列順に交互に語り合う形式を
取っていますが、その間にいろいろな風景が流れます。
それが伏線になっているのか、過去の説明なのか容易にはわかりません。
しかも最後まで読まないと絶対にわかりません。
読んだ後で、結局誰が真実を語っているのだろうと混乱すること必至です。
副題の Until Death Do Us Part も意味深でよろしい。
ハードカバー版よりは安いですが、それでも税抜きで980円しますし、
365ページもありますから読むのが大変です。
もっとも、「有限と微少のパン」という新書版のくせに税抜き1200円で604ページ
という巨編もあるのでそれに比べたら短いと著者なら言うでしょうが。
ミステリィものは全く読まなかった私ですが、森氏の作品は面白いです。
お薦めの一冊ですね。
副題~月メグル地ノ来訪者タチ~
富士見ファンタジア文庫の今月の新刊です。
著者は神坂一、「スレイヤーズ」でいきなり人気が爆発した人です。
5つの月がある惑星クロスカディア。
そこでは律解術(クランブル)と呼ばれる魔法と科学が不思議に融合したものが
使われていた。
主人公のもとに現れる謎の少女、そして事件に巻き込まれてゆく。
敵は強い、果たして主人公達の運命は。
といった風な物語。
話のテンポが良いことと、主人公とその取り巻きの会話の掛け合いの妙な面白さが
人気のもとだと思います。
作者は兵庫県産ですから、関西の掛け合いのノリがそのまま出ているとも言えるかも。
原作があまりに有名で、前評判も良いことから混雑が予想されましたが、
土曜日は混んでいましたね。
日曜日は少し早めに行動を起こしたので見ることができました。
私は原作を読んでいないのですが、なかなか面白い作りですね。
主人公が11歳の男の子であり、夢と冒険と勇気と友情という黄金パターンを
使用していて、さらに魔法と魔法学校が舞台であるという。
設定からして恵まれてますね。
2時間半という、どちらかというと長尺の映画なのですが、
テンポがかなり良く飽きさせません。
映像の処理もうまいです。
CGとか特殊撮影とか駆使しているはずですが、かなり自然に見ることができます。
やっぱり技術で見せるのではなく、内容で見せなければならないと。
そういうことがわかる作品ですね。
最近、評判倒れの大作が続出していたのですが、久しぶりに見て良い映画でした。
作者は吉岡平(ひとし)氏(岡山県産)。ファミ通文庫。
「無責任艦長タイラー」のリメイク版で、現在5巻まで出ています。
前作のタイラーは単なる強運のある意味能天気(脳天気?)な人物に
描かれていましたが、今回はジャニーズ系のハンサムな味のある青年になっています。
まあ、アニメ版の影響も大きいかもしれません。
10年前と違ってかなり人物描写とか書き込まれています。
おかげで巻数が増加しています。
前作も中高生あたりをターゲットにしていたと思いますが、
最近の中高生の意識の変化を導入し、タイラーとユリコの描写も今風です。
さらに男×男の組み合わせも書き込まれてますし(要するにヤオイものか)。
ほとんど女子の読者へのサービスだそうです。
作者のあとがきを見るにつけ、10年間の時代の変化を感じることができますね。
栗本薫氏著・グイン・サーガ82「アウラの選択」。
ハヤカワ文庫の今月の新刊です。
しかし82巻ですか、すごいですね。
今回はグイン、レムス、リンダが出ています。
新たな展開が始まるところでしょうか。
著者本人もこれからいよいよ話が展開する、という感慨をもっているくらいですから。
それにしても最終巻は100巻で題名は「豹頭王の花嫁」というのは決まっていますが、
もう100巻でこの話を納めるのは無理ですね。
著者も諦めているみたいです(苦笑)
今回の題名にもある「アウラ」ですが、この豹頭王の花嫁とはいったい誰になるのか、
果たしてもう出てきている人物なのか、謎は深まります。
森博嗣氏の昨年7月に出版されたハードカバーを新書版にしたものです。幻冬舎。
副題は「GOD SAVE THE QUEEN」。
旅行中に迷ってしまったサエバ・ミチルが迷い込んだ不思議な街。
ルナティック・シティーは女王が治める死の訪れない街であった。
そこで起こった殺人事件。
しかし、その街には死の概念がない。
真実はどこにあるのか。
真実はどこにもないのか。
森氏の文章は詩的です。
というか、詩の表現が随所にちりばめられていますが。
淡々と語られる、その表現に皆引き込まれていくのでしょうか。
シリーズ外作品の中でもちょっと異色な味がします。
GULLIVER'S TRAVELS、Jonathan Swift著、中野好夫訳。(昭和26年)
有名なのでほとんど説明の必要もないでしょう。
知る人ぞ知る、滅茶苦茶な本です。
第一篇・小人国、第二篇・大人国、第三篇・ラピュタ他、第四篇・フウイヌム国。
最初の2つはあまりにも有名ですし、3つ目は宮崎アニメでちょっと有名かも。
こいつはまったく読むと本当に疲れる本です。
旅行記の名を借りて、言いたい放題人間の悪い面を書き連ねています。
話が進むたびに、書き方が辛辣になっています。
特に最後の篇は読んでいていたたまれない程です。
スイフト自身、とても世の中に対して辛辣な見方を持っていたらしいのですが、
それ以上に精神をだんだん病んでいく様子が、作品に現れているのが凄いかも。
訳者の中野氏もすさまじいあとがきを書いています。
そのあとがきの中に、夏目漱石がこの本を「不愉快」と表現したことが
書かれていますが、けっこうこの本でダメージを受けたようです。
ひょっとしたら漱石の精神の陰と「吾輩は猫である」の原点は
このガリヴァ旅行記にあるのかもしれません。
こわい本だわ。
神坂一著、富士見ファンタジア文庫。
「跡継騒動 森林レンジャー」
スレイヤーズは富士見書房のファンタジア長編小説大賞で
第一回準入選になった作品です。
神坂氏は以降次々作品を出し、どれもが結構売れています。
作品のノリは吉本新喜劇風と言ってしまってよいでしょう。
本編では最後の方がシリアスになっているのですが、外伝シリーズである
すぺしゃるの方は全部ギャグです。
馬鹿馬鹿しい話で一種の脱力感を感じたい人にはお薦め。
庄司卓氏著、富士見ファンタジア文庫。
本編12冊、外伝10冊からなるシリーズものです。
今回のは外伝ですが、これにあと本編が最低2冊加わるらしい。
運動神経抜群成績優秀なゲーム好きの女子高生が、未来世界で宇宙戦艦を操り
星間戦争を繰り広げる物語、って文章で書くときてますね。
さすがにこの説明だけで読もうとは思いませんし、作品が目に付いてから
実際に手にとって読むまで2年くらいはあったような気がします。
昨日のファンタジー小説にも重なりますが、こういった中高生向きの本が
読んでいて面白いのは、まず作者の年代が自分と近いからです。
話の展開はともかく、ちょこっと混ぜられているエピソードなんかは
中高生よりも我々の年代の方が良く理解できるかな、というところもあり。
まあ、こういった本は頭を使って読むものではないことは確か。
昨日の作者が関西のノリで書いているとすると、こちらは東京って感じですね。
◆NHKラジオ(0409)
【アジアリポート】
○インドネシア西ジャワ州チカラン 奥 信行
リポーターさんの義理のお父さんが亡くなったのでインドネシアでの葬儀の様子など。
イスラム教なのにそんなに日本の葬儀と流れが変わらないと思ったら、ジャワのやり方だそうで。
隣組というか日本の組内に似たシステムは日本軍占領期以来の伝統だとか。
お祈りの時に本を使うのは、何か日本の仏教でもあったなあとか。
インドネシアはイスラム教ですが、万物創造の神がトゥハン、日本の八百万の神に当たるのがデワと二種類あって、一神教なんだけど多神教みたいな不思議な感じ。
○タイ・バンコク 岩本由樹
タイの映画事情。
タイの映画は日本円で500円くらいと安いです。
ただ映画開始までの宣伝映像が30分以上あって長いのだとか。
日本でも10分から長いのだと20分くらいと結構長いけどその上を行く国があったか。
で、上映前に国王の映像と国家でみんな起立。
タイらしいです。
あと、南国タイは暑いので映画館はがんがんに冷やしてあるらしい。
寒いので、防寒具が必要とか。
最近はちょっとした日本ブームがあって、日本で撮影されたタイ映画とかもあって、ご当地にタイ人が観光に訪れる、いわゆる聖地巡礼があるみたい。
ビザ緩和でタイから日本への旅行がしやくすくなったからだそうですが、万国共通ですねえ。
◆NHKラジオ(0408)
○ニュースアップ
パナマ文書の話題。
タックスヘイブンの話題は今までいろいろ噂があったのですが、その一つ、パナマにある世界第4位の規模の法律事務所から40年分の情報が漏れたようで世界中大騒ぎ。
アイスランド首相が公開2日で辞任。
キャメロン英首相、習近平中主席の周辺など結構な爆弾が。
どこかで強引に幕引きさせるのだろうけど。
少しは世界の空気が変わるのかな?
◆NHKラジオ(0407)
○ワールドリポート ドバイ
イエメン和平協議の話題。
イエメンは昨年フーシ派が首都を急襲、制圧し、政権側が押されていたところを今度はサウジアラビアが援軍を派遣、フーシ派を追い詰めている状況。
ここで和平協議を開始する機運となったのですが、さてうまくいくか。
○ニュースアップ
ウクライナのポロシェンコ大統領が来日、安倍首相と会談、ウクライナの支持、支援で合意。
ウクライナとしては最大の援助国であり5月のサミット議長国である日本と話をつけて、サミットでのウクライナ支援継続を取り付けたい思い。
日本としてはウクライナ大統領と会見し支持を表明することでロシア非公式訪問の正当性を主にアメリカんい対して担保する腹積もりか。
まあ、日本としてはウクライナへの支援のしっぱなしではなく、ウクライナ政府の汚職体質と地方自治を推進させることについて釘を刺したみたい。
ポロシェンコ大統領のパナマ文書疑惑とか爆弾もあるし。
○ワールドリポート 国際部
日中のメディア関係者会議についての話題。
日中がお互いの国に対して好意的でないというのは、まあ。
反面、お互いの国に期待しているところもあり。
中国側からはもっと中国のいいところを紹介してくれと。
けっこういい面も報道していると思うんだけどね。
中国共産党・政府の悪いとこは隠していいとこだけ報道してくれという暗喩なんだろうな。
本当にそれをやったら日本のメディアは完璧に日本国民から信頼無くすけどね。
◆NHKラジオ(0406)
○ワールドリポート ロンドン
日本でもマイナス金利となりましたが、ヨーロッパでのマイナス金利の影響。
マイナス金利は経済のてこ入れだったのですが、銀行に預金すると金利を取られるという話題から金庫の需要が増えたり。
マイナス金利で銀行が中央銀行への預け金に金利を払わなくてはならなくなり銀行の収益が悪化、住宅ローンの金利が逆に上がったり、銀行からの借入金利も上がってしまい貸し渋りの状態になったり。
当初の目的とは正反対の状況になっている。
これでは経済が回らず悪化するのでは?
○ワールドリポート ソウル
中国では、太陽の末裔など韓流ドラマが大人気。
ドラマ撮影地に中国人が多数押し寄せています。
中国人観光客による経済効果を韓国も期待。
◆NHKラジオ(0404)
○ワールドリポート モスクワ
ウクライナ、チェルノブイリ原発事故の記憶が段々薄れている話題。
○ワールドリポート パリ・ヨーロッパ総局
フランスのオランド大統領の国内の支持が揺らいでいる話題。
テロ対策として非常事態宣言や国籍剥奪を盛り込んだ憲法改正案を進めようとしていたが様々なところから反発が。
また、経済の低迷を何とかしようという雇用対策のための労働法改正案も、解雇しやすくするだけだと反発が。
にっちもさっちも行かない。
◆NHKラジオ(0405)
○ワールドリポート 香港
中国では日本の真珠が人気だとか。
中国は景気が調整局面なことと腐敗防止法で賄賂が使いにくくなったことから、真珠のような奢侈品には打撃になると思いきや、売り上げが伸びているらしい。
なんでも習主席の夫人の彭氏が真珠のネックレスをしていてそれが世の女性のブームを呼んだらしい。
世の中何が絡むかわからんものです。
中国以外でも今度の伊勢志摩サミットがあるのでそこでも話題を呼ぶかもしれない。
○ワールドリポート ワシントン
オバマ大統領提唱の核セキュリティーサミットの話題。
今回で4回目、そしてオバマ大統領の任期切れでこのサミットも終わりそう。
日本は増え続けるプルトニウムが問題とされている。
日本がプルトニウムを兵器として使うとは誰も考えてなくて、プルトニウムがたくさんあるとテロ組織に狙われやすくなる懸念があるから。
ソードアート・オンラインのスピンオフ小説第4弾。
第1巻は第1回スクワッド・ジャム。
第2巻と第3巻が第2回スクワッド・ジャム。
そして今回は第3回スクワッド・ジャム。
なんと、ピトフーイ、レン、フカ次郎、エムの面々がチームを組んで参戦。
ずるいだろ、それ。
と思っていたら、状況はもっと面白かった!
そんな感じで流れていく今回の物語。
時雨沢さんののどやかな文章と殺伐とした風景がミスマッチで素敵です。
レンちゃんがんばれ。
◆「日本死ね」と言うべきだっただろうか?(極東ブログ)
http://finalvent.cocolog-nifty.com/fareastblog/2016/04/post-2a0b.html
finalventさんの「日本死ね」に関するブログ。
「日本死ね」という言説自体はさして新しいものではないと思われる。
今回のはマスコミが大きく取り上げ、リベラルが活気付いた。
ここに一般市民の(と思われる)書き込みを奇貨として、政府をanti roleとみなして
反anti roleの旗を振りかざそうとしているところまでは予想通り。
別途、リベラルをanti roleとみなす愛国者の「反日、国賊、売国奴」という反anti roleの旗に対して
これを期に愛国者こそがanti roleだと主張する流れも予想通り。
ただ、ここで文言上で「日本死ね」をリベラルが是としたことから
リベラルは日本人を人間とみなしていないことが明らかになってしまった。
これではいくらヘイトスピーチ論で、愛国者が外国人を人間とみなしていない、けしからんと言っても
リベラルこそ日本人を人間とみなしていないではないかという反論を招くだけ。
リベラルは何故にこんな非対称な態度を表明して、しかもまずいと思わないのか。
日本以外の国のリベラルは少なくとも自分と同じ国民を人間と見ないという言説は避ける。
例外はあるが、主流派がこれをやる地域はみたことがない。
とすれば、この国のリベラルは日本人ではないか、日本人でいることを基本的にやめた人か。
そうであれば、日本のリベラルが日本の政府や日本人そのものを人間とみなさない、anti roleとするのもありだろう。
そうすると、結局日本のリベラルは日本社会にとってanti roleとみなされ、
しかも本人たちが反anti role(実際はanti role)と言明しているのだから
大半の日本人にとってなかなか支持できるものではない。
日本のリベラルは考えが足りないのか、
愛国者の言うように外国の手先なのか、
それとも、反政府運動を一手に引き受けてその動きをわざと失敗させる、政府のために働く組織なのか。
わからん。
そして意味のないTB。
◆NHKラジオ(0402)
【アジアリポート】
○タイ・バンコク 江幡むつみ
タイでも中国との文化の融合が進んでいて旧正月を中国風に祝うようになっていますが、今日はタイ正月の話。
タイ正月はお釈迦様にちなんだもので、4月にあります。
他と一番違うのは、タイ正月の3日間くらいおめでとうのお祝いと共に他人に水をかけまくる行事があること。
暑いタイならではの行事でしょうか。
水をかけられたくない人は出歩かないのが一番かも。
○中国・香港 寺田昇生
香港のIDカードの話題。
これを持たずに出歩くと罰金が課されるくらい大事なもの。
ただ、住所の要件はないので引越しなどで住所が変わったとき銀行や郵便など大事な書類があっても、引越し先を連絡しておかないと元の住所に届けられて新しい住民に見られたり捨てられたりする危険性も。
便利なのだか不便なのかよくわかりませんが。
また、個人情報保護の意識も最近になって高まってきたくらいなので、意識がまだ緩いようです。
あの火浦先生の久々の作品です。
脱力系作品の数々を産み出す、原稿落としの魔術師。
この馬鹿馬鹿しい作風が、実は大好きだったりします。
こんな作家さん、たまにいてもいいよね。
そしてイラストは竹本泉先生。
竹本先生も不思議作風です。
このコンビも最近良く見かけるようになりました。
火浦ファンは必見ですが、初心者はお気をつけて(笑)
最近のコメント