「アルスラーン戦記 16 天涯無限」(田中芳樹)
第1巻の王都炎上は1986年8月。
この第16巻の天涯無限は2017年12月。
完結まで31年余、二つの元号と二つの世紀をまたぎました。
さすがに元号を三つまたぐというのは避けられましたが。
物語は終局に向かって進みます。
パルスもその他の国も蛇王の軍も戦いの中で多くの名のある者、名もなき者を失います。
最後の戦いの後に立ちすくむは僅かな者たちでした。
戦いの中ほとんどの国土が荒廃し、王も失われた騒乱の中に放り出されます。
その中に希望はあるのか、一つの戦記は終わり新たな物語の萌芽が見つかります。
最後にギーブが作ったとされる四行詩で物語は終わります。
まさに皆殺しの田中でした。
予想通り数人しか残りませんでした。
時々場面の転換が唐突に感じられるところがありました。
それでもこの記載体は田中芳樹の味です。
最後に向けて強引とも見える展開ですが、作者が狙っていた構図は明らかです。
そしてパルスの一つの物語が終わり新たな物語が始まると同時に、アルスラーン戦記がどのようなものだったかを詩のように包んで彼方に消えてゆくのです。
作者のモチベーションを心配する声もありましたが、アルスラーンに対する作者の愛はしっかりとありました。
田中先生、お疲れ様でした。
« 江本孟紀の「ベンチがアホやから野球ができへん!」かな? | トップページ | 庶民の生命や財産より活動家の方が優先される社会など嫌いだ »
« 江本孟紀の「ベンチがアホやから野球ができへん!」かな? | トップページ | 庶民の生命や財産より活動家の方が優先される社会など嫌いだ »
コメント