「友だち幻想」(菅野仁)
副題:人と人の<つながり>を考える
本書は決して「友だちをつくろうとすることなんてしょせん幻想にすぎない、無駄なことだ」という本ではありません。これは作者があとがきで言及していることです。
「友だち」との親しさや情緒の共感を感じながら、これまでの常識を疑い、他人との距離感の調整にもう少し注意を払うべきということが主題になっています。
特に今の子供たちが直面している同調圧力は、正しそうに見えて危ない思想です。
みんな仲良くという一見微笑ましい標語が、「みんな仲良くしなければならない」になると途端に危険性を孕んでくることになります。
そのお題目をことさらに先生や学校、教育委員会が信じて唱えていると、子供たちにとっては逃げ場がなくなり、酷いことになってしまいます。
先生が「話せばわかる」「みんな仲良く」「いじめゼロ」タイプの人だと、責任が対象の子供に押し付けられるので悲惨なことになります。
いない人の悪口を言う「スケープゴート」についても、当人たちにとってはしんどい問題です。
2月24日のブログ(参照)でも述べましたが、他人と仲良くなりたいがための副作用とも言えます。
大人になればいろいろな人とつきあうので、それなりに距離感や対処法を得ることができますが子供はまだそこまでの経験値がありません。
その他いろいろ頷けることが書いてあり、子供はもちろん大人も一度確認してみる意味でも読んでみるのがよろしいかと。
いや、大人こそ読んだ方がいいのかも。
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