日本国憲法は11章103条とそこそこ量があるので、義務教育で習うとはいえ全文を覚えている人はそんなにいないと思います。まあ何が書いてあるかを理解することが大切なので細かいところはどうしてもね。
これを十七条の憲法や五箇条の御誓文みたいに縮めるとどうなるか。
ざっくりやってみましょう。ですます調で書いています。異論は認めます。
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序(前文)
日本は民主主義を重んじ国際協調平和を願う。これは人類普遍の原理です。
日本は全世界全人類と共に平和を愛し、自国のみならず世界とともにあります。
自国のみに専念して他国のことを無視してはならず、自国の主権を維持し他国と対等となるのは世界各国の責務です。
第一章
天皇は日本国の象徴です。国事は内閣が助言し、国政は内閣が行います。
第二章
日本国民は正義と秩序からなる国際平和を望み、世界の国々と同じく国際紛争を解決する戦争をしません。
交戦権という過去の遺物は封印されるべきです。
第三章
国民は個人として尊重され、公共の福祉の中で自由と権利が保障されます。
公務員は国民から選ばれ、全体に奉仕します。
教育、勤労、納税は国民の義務です。
司法官憲は非道なことをしてはならず公正でなければなりません。
第四章
国会は国権の最高機関です。
第五章
行政権は内閣に属し、議員内閣制です。国務大臣は軍人以外から選びます。
第六章
司法権は最高裁判所およびその下部組織に属します。
特別裁判所は作ってはならず、行政機関が結審を行うのもいけません。
裁判官は内閣が任命しますが、裁判官を行政機関が罰してはいけません。
第七章
国の財政は国会が決めます。
第八章
地方公共団体はその地方を運営します。
一の地方だけの特別法は、その地方の同意がなければ国会で制定してはいけません。
第九章
憲法の改正は手続きに則って行います。
第十章
基本的人権とは人類が長年に亘って獲得した尊いものです。
この憲法が一番偉い。
天皇や公務員もこの憲法に従います。
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ちょっとすっきりさせすぎたかもしれません。
大日本帝国憲法と比べたらどうなるのか。7章76条ですが文語なので見ずらい。
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第一章
大日本帝国は天皇が統治する。
天皇は神聖にして侵すべからず。
天皇は元首で統治権を総攬する。
天皇は議会の協賛で立法権を行う。
天皇は法律の公布と執行を命ずる。
天皇は議会のさまざまを命ずる。
天皇は陸海軍を統帥する。
天皇は開戦、講和、条約、戒厳令の権を有する。
第二章
兵役、納税の義務。
法律や義務の中での自由。
戦時や国家事変の場合には天皇大権が優先する。
陸海軍の法令規律が優先する。
第三章
帝国議会について。
第四章
国務大臣は天皇を輔弼する。
枢密顧問は天皇の諮詢に応える。
第五章
司法権は天皇の名において法律により裁判所で行う。
裁判は公開だが条件によっては非公開。
特別裁判所も可能。
第六章
歳出歳入は帝国議会の協賛を経る。
第七章
憲法改正の手続き。
皇室典範の改定は議会不要だが、その改正で憲法を変えることはできない。
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いまから思えば天皇の部分に比重がかかりすぎている気がする。
天皇があれもしますこれもしますここも天皇が見ます、となっているのは元老がいたから成り立っていたという部分もあるのではないかなあ。代替わりしたらしんどい気がする。
もっとも大日本帝国が敗れたのは世界情勢の方が大きいけど。
とはいえ例えば21世紀に大日本帝国憲法だったら民主主義的に運用できるかといえば、ちょっと国権の方が強すぎて難しいかもしれない。
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