月の音色 月の文学館 過去分
「大原さやか朗読ラジオ 月の音色~radio for your pleasure tomorrow~」の月の文学館に投稿した過去分です。
2020年10月に投稿したものです。
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「運の良い話」
ここは猫の国。
猫が集まってため息をついていました。
「最近ネズミが減ってしまった。食べ物がなくなるかもなあ」
「マタタビも」
「最近肩がだるくての」
「爺さん、そりゃ違う」
猫たちの困りごとは続きます。
「何かいい方法はないものか」
「そうだ、人間の国に猫の神様があると聞く。それを持ってこよう」
「それがあると運が良くなると聞いたぞ」
「そんな運の良い話があるならやってみよう」
こうして猫の探検隊は人間の国に向かいました。
猫たちは人間の国で神様を探します。
と、ある店の軒先にそれらしきものがありました。
招き猫です。
「これに違いない。持って帰ろう」
「でも黙って持っていくのはなあ」
「そうだ。爺さんあんたそっくりだから代わりをしてくれ」
猫爺は嫌でしたが押し切られてしまいました。
「早く戻してくれよ」
猫たちは招き猫を国に持って帰りました。
猫の国はなんと平穏になったのです。
めでたしめでたし。
「早く帰りたいのう。肩がだるい」
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