「経済で読み解く豊臣秀吉」(上念司)
~東アジアの貿易メカニズムを「貨幣制度」から検証する
豊臣秀吉の時代を経済の観点から述べた本になります。
室町末期から織豊時代の貨幣制度や東アジアの貿易メカニズムについて解説していきます。
秀吉といえば太閤検地ですが、これは石高の見える化というもので、属人的属地的な感覚だった年貢をデジタル化することで領地の取替をしやすくして豊臣政権の強化につなげるという、脱室町なことをやっていたんですね。
また、信長も秀吉もヨーロッパのアジア侵攻には神経を尖らせていたようで、最終的にはキリシタンを使った日本侵攻を退けることになります。
ただ、ヨーロッパに対抗するためには海路マニラ方面を衝いて海上制圧を行うべきだったのですが、水軍(海軍)より陸軍を重視した結果、明、朝鮮方面を攻めてしまったのは失策だったのでしょう。
また信長が進めていた貨幣経済から米経済へ転換してしまったのは、貨幣流通の問題があったとはいえその後の江戸時代を縛ることになってしまい、経済成長を押さえつけることになってしまって惜しかったですね。
そんな感じでなかなか面白い本でした。
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