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2022年5月23日 (月)

「ほんとうの憲法」(篠田英朗)

-戦後日本憲法学批判

 国際政治学者の篠田先生の本です。
 この本は憲法の話と憲法解釈を危うくしている憲法学者の話と、憲法を語る時に必ず上げられる憲法9条の話題を中心として、それがどういう歴史でこうなっているかを示しています。
 憲法学者については、立憲主義とは権力を制限することだという抵抗の憲法学にこだわっている様と、その戦前戦後の歴史観が語られます。篠田先生曰くロマン主義だと。
 
 憲法は前文にあるように国際協調主義であり、特に9条に見られるとおり、9条自体は国連憲章2条4項と同じで1928年不戦条約を祖先とします。
『満州事変などを通じて「敵国」が行った侵略行為に国際法が対応できなかった反省から、より包括的に「武力行使」一般を禁止するようになったのが、国連憲章2条4項である』
 そして、9条2項は大西洋憲章(国連憲章の前身)にある「武装解除」であり、主権を回復し国連に加盟し国際法を逸脱しない国と認定されて、国際法と憲法に違反しない戦力保持が認められるようになった、とします。
 だいたい歴史的にも国際的にもこの考え方が妥当だと思うのですが、憲法学者は違います。
 憲法学者はアメリカが憲法を草案したことを無視しようとし、9条が世界で最も先進的で優れているというロマン主義になってしまっている。どうしても反米主義になってしまうのです。

 戦前は表側の主権者天皇が、裏側で権力を行使する国家(エリート)に支えられている仕組みが維持されて、戦後は表側の主権者国民が、裏側で権力を行使するアメリカおよび日本国内のエリート層に支えられている仕組みが維持されていると。
 憲法学者がこれを無視するのはアメリカの影響が表沙汰になると自分たちの立場が無くなると危惧しているからなんでしょうね。

 面白かったところを全部あげると長くなるので書きませんが、憲法の性格や憲法学者の歴史、日本とアメリカの憲法上の比較など興味あることがたくさん書いてあります。
 これは現代を生きる私たちが一般教養として知っておくべきことだと思います。
 この本は読んでおいた方がいいと思います。

2022年4月23日 (土)

日本史からの問い 比較革命史への道」(三谷博)

 三谷先生は幕末維新史が専門の方です。
 いわゆる巷間に流布している幕末維新観とはまた別個の流派の先生です。
 特に同時期の清国朝鮮の歴史と比較して論じているのはあまりないと思います。
 幕末維新政治史としても定説のものと違うことがありますので、先生の他の著書を読んでみるといいかもしれません。
 後半はエッセイになっています。
 もし普通の維新史に飽き足らない人がいたらぜひ読んで欲しいと思います。

2022年4月16日 (土)

「ロボットと人間 人とは何か」(石黒浩)

 アンドロイドの研究で有名な大阪大学の石黒先生の著書です。メディアなどで石黒先生そっくりのアンドロイドを見た人も多いと思いますが、この分野では知らない人はいないくらいの有名人です。
 本文にもありますが、人間に酷似したロボットを開発することの意味はそれにより人間を深く理解すること、にあります。石黒先生がロボット研究を通じて考えたこと感じたことを知ることができる本です。
 もう一つ、石黒先生がパソコンの父アラン・ケイ氏に未来のロボット社会について尋ねて、クリエイティブな人間ならば未来は自分で実現するもの、人に聞くものではない旨の回答をもらったくだりで、さすが頭のいい人たちの考えることは違うと思ったりしました。自分で未来を作っちゃいなよ、というのはかっこいいけどハードですよね。
 この本の中でさまざまな事例が書かれていますが、ロボットというものは案外人間に似ているというか、人間は案外ロボット的かもしれないと思わされるところが随所にあります。
 ロボット研究をみることで、人間についていろいろなことを考えさせられる、そういう本でした。

2022年3月20日 (日)

「ゼロからわかる北欧神話」(かみゆ歴史編集部)

 この前のインド神話の本の北欧神話版です。
 北欧神話の方はたくさん知られていて、オーディンとかラグナロクとかブリュンヒルドとかゲームやアニメでよく取り上げられています。そんな北欧神話を全体的に解説した本書。北欧神話をよく知らない人はいろんな名前の出自がわかって面白いと思いますし、よく知っている人にとっても楽しめると思います。
 しかしこうしてみると北欧神話起源の物語や作品というのはものすごく多いですね。いろんな人がイメージしやすいからでしょうか。神話の中の強者と言った感じですね。

2022年3月17日 (木)

「林原めぐみのぜんぶキャラから教わった 今を生き抜く力」(林原めぐみ)

 声優林原めぐみさんの、初期から最近まで彼女が演じたキャラクターについての解説集です。
 林原さんはもう声優の中ではベテランで、今まで演じてきたキャラはどれもファンがいて大変なものです。
 国民的アニメにもかなり出演していますので。
 それぞれのキャラクターや共演の方のお話もあり読み応えのある作りになっています。
 林原ファン、アニメファンは一度は見ておいてよいかと。

2022年3月 4日 (金)

「ゼロからわかるインド神話」(かみゆ歴史編集部)

 インド神話というと個々にはいろんな神様の名前を知っている人も多いと思いますが、その体系的なものはあまり知られていないのではないでしょうか。もともとインド神話自体の成り立ちが複雑なために日本やギリシャの神話のように物語が素直ではなく難しいというところもあると思います。
 そんなインド神話をわかりやすくまとめているのが本書です。インドのそれぞれの神の物語が簡潔に書かれていてなかなか良いです。まあ、日本の書物なので、アニメやゲームのことも触れられているのがご愛敬。
 入門書としてはなかなかのものだと思います。

2022年3月 3日 (木)

「料理を作るように小説を書こう」(山本弘)

 山本弘さんといえば「と学会」で有名ですが、今度は小説の本。
 小説を書くための考え方が満載のとても良い本です。
 あるいは小説を読むためにこの本を活用してもいいかもしれません。
 懐かしい本や事象が時々出てくるので、そういうのを楽しむために読むのもいいでしょう。
 小説家になりたい人以外にも一読をおすすめします。

2022年1月26日 (水)

「りゅうおうのおしごと!」(白鳥士郎)

 この「りゅうおうのおしごと!」は将棋や棋士を描いたライトノベル作品です。
 現在15巻まで刊行されています(ブログ主はまだ13巻まで読んだところです)。

 史上4人目の中学生プロ棋士である九頭竜八一は若干16歳にして最年少の竜王となります。
 しかし竜王になってからは調子を崩してしまいます。
 そんな八一のところに小学生の雛鶴あい弟子入り志願してやってきます。
 姉弟子の空銀子や師匠とその娘である清滝父娘を交えて、騒々しくも熱い将棋の世界が繰り広げられます。

 ライトノベルではありますが1巻から順々に将棋の世界が素人にもわかりやすく説明されていきます。
 そして魅力的な登場人物たち。
 八一のライバルである神鍋歩夢とその師匠の釈迦堂、清滝師匠の兄弟子で八一を温かく見守る月光会長、そしてラスボス然として将棋界に君臨する名人。
 この人たちの背景や戦う理由がそこかしこに描かれていて、まったく飽きません。

 2巻ではあいの対極の存在となる夜叉神天衣が登場しますが、八一と天衣が出会う歴史と背景がわかると涙が出てきます。
 3巻は作者が最初一番書きたかった話ということで女性棋士の状況と運命を描きますが、抗って戦う桂香さんの姿に泣いてしまいます。
 そして最初作者はここで終わらせようと考えていた5巻、名人との竜王防衛戦。
 3連敗で打ちひしがれる八一。
 名人は今回竜王を取れば前人未到の通算百期で、全国の期待が名人に集まり八一は全ての人からアウェーの立場になります。
 ここで起こった前代未聞の出来事が八一と名人の戦いの運命を変えていきます。
 アニメの1期も5巻で終わっています。
 5巻まででも感動的な物語です。

 同じくアニメ化された将棋を描いた漫画の「3月のライオン」があります。
 共通するのはそれらの「名人」が羽生さんを意識して書かれていることです。
 「羽生名人」あるいは「羽生七冠」は最強の存在で、誰も敵わないほぼ伝説の存在と化していてどの作品でもラスボスといった感じで屹立しています。
 そのためりゅうおうのおしごとや3月のライオンではそのラスボスに対抗する主人公として中学生プロ棋士が設定されます。
 そして10代でタイトルを取らせるために理論上大丈夫な竜王としたのです。
 10代のタイトルなんて羽生さんしかいない時代でした、ライトノベルだけの現実ではまずない話でした。
 ところがその後とんでもない中学生プロ棋士が誕生しました。
 藤井聡太。
 白鳥先生が書くのを諦めた開幕連勝記録と、ライトノベルの世界だけで羽生以外はありえないと言われていた10代のタイトル、両方とも達成しました。
 その後も2冠どころか現在4冠で、これを書いた後は5冠に達するかもしれないという状況です。
 作者が現実に負けたと嘆くのもわかります。

 6巻以降も激しい戦いは続きます。
 特に空銀子が女性で三段となり、その後壮絶な戦いを繰り広げる様子は読んでいても辛いものがあります。
 そして毎巻泣かされます。
 奨励会篇が終わった後、本当にみんな良かったねと涙が出てしまいます。
 イラストのしらび先生も原稿を読んで泣いているので問題ありません。
 あと、作者のあとがきも泣かせにかかってきます。
 重いんじゃ!

 でも、この作品を世に出してくれてありがとうございます。
 ライトノベルなので好みはあるかもしれませんが、皆さん是非読んでみてくださいね。

2021年12月12日 (日)

「素数はなぜ人を惹きつけるのか」(竹内薫)

 素数に関する面白いお話を集めた竹内先生の本。
 素数の歴史とかオイラーとかガウスとかリーマンとかの偉人の話もなかなか面白いです。
 更に、素数は物理とも通じるものがあるのです。
 比較的わかりやすい文章と構成になっているので数学が苦手という人でも楽しく読めます。
 コラムもなかなか興味深いです。

2021年11月28日 (日)

「ツインスター・サイクロン・ランナウェイ」(小川一水)

 人類が宇宙に広がっていった時代、地球から遠く離れた巨大ガス惑星にたどり着いた移民船団は、惑星から資源を回収しながら生活していた。
 魚を彷彿とさせる資源を漁船の様な舟艇で釣り上げる、そのペアはデコンパという漁師とツイスタという操縦士で普通は男女の組み合わせである。
 そんな中、数度のお見合いに失敗した女性がツイスタに選んだのは、なんと背の小さな女性だった。
 こういう感じで物語が流れていきます。
 小川先生の好きな女性ペアの物語ですが、例えば別の百合作家の森田季節先生とは違うテイストですよね。
 なんとなく長編映画の一作になりそうな物語で、けっこうおもしろかったです。

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