「日本史を暴く」(磯田道史)
~戦国の怪物から幕末の闇まで
磯田先生の歴史の本です。
どちらかというと裏話的なものがたくさんです。
教科書にはあまり載りそうもないけど面白い話がたくさん出ています。
戦国時代から江戸、幕末とそして現代にも関係するお話という構成になっています。
新しい文献が見つかって研究が進んでいるのだなというのが、話の端々に見えて楽しいです。
軽く読める本なので、歴史好きの人は是非読んでみてください。
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~戦国の怪物から幕末の闇まで
磯田先生の歴史の本です。
どちらかというと裏話的なものがたくさんです。
教科書にはあまり載りそうもないけど面白い話がたくさん出ています。
戦国時代から江戸、幕末とそして現代にも関係するお話という構成になっています。
新しい文献が見つかって研究が進んでいるのだなというのが、話の端々に見えて楽しいです。
軽く読める本なので、歴史好きの人は是非読んでみてください。
笹本先生のSFです。
超光速と反重力抜きで恒星間宇宙SFをするお話です。
これで物語を書こうと思った笹本先生、さすがです。
第1巻はドキュメンタリー風、歴史を俯瞰する形で流れていきます。
言い換えるとほぼまるまる1巻をプロローグに使っていると言えなくもありません。それもまた良し。
笹本先生が好きな鯨座τ星がまた登場です。
笹本作品が好きな人、わりとコアな設定のSFが好きな人にお薦めの作品です。
~江戸の発展と維新成功の謎を「経済の掟」で解明する
明治維新と題名についていますが、主に江戸時代の経済のことを書いた本です。
このタイトル、絶対読もうとした人が面食らう奴ですね。
江戸時代は遅れた時代ではなく、「エネルギー革命なく発達できる限界までいった社会」(飯田泰之先生)だったということは記しておくべきことでしょう。
江戸時代は資本主義が発達しつつあったのですが、米が経済の中心ということろなどいろいろ限界がありました。その限界を突破すべく吉宗とか大岡忠相とか田沼意次とかが経済改革を試みるのですが、必ず反動で財政規律とかの方向に行ってデフレを誘発して元に戻るということが続くのが江戸時代だったということです。
現代も似たような考えの人いますね。
ともかく江戸時代は右往左往しながらポテンシャルは蓄えられていたので、このエネルギーが明治維新につながったと言えそうです。
江戸時代の経済はよくわかりますけど、タイトルと合っていませんよね。
面白い本でした。
歴史修正主義というものはなかなか難しいものです。
歴史はどうも政治利用される運命にあるようです。
学問と政治の間で歴史は苦しんでしまうものなのでしょうか。
そのような「歴史修正主義の歴史」をドレフュス事件からホロコースト否定論まで語ります。
歴史家にとっての歴史と歴史家以外にとっての歴史が、同じ歴史を違う顔で見せているところが難しそうです。
歴史修正主義とは何かを考えるのに良い本だと思います。
地政学にはマッキンダーに代表される英米系地政学とハウスホーファーに代表される大陸系地政学があります。
マッキンダーの地政学は、ユーラシア大陸中央部のハートランド、それがランド・パワーとなってこれと対を成すシー・パワーの概念からなり、ランド・パワーの膨張をシー・パワーが封じ込めるという図式になっています。マッキンダーのは19世紀のロシアとイギリスのグレートゲームとそれに続く日露戦争を意識しています。
一方、ハウスホーファーの地政学は生存圏のイメージで、ナチス・ヒトラーの生存圏や大東亜共栄圏の構想を体現するものです。
マッキンダー理論とハウスホーファー理論といった英米系地政学と大陸系地政学という対立はずっと続いています。
20世紀はアメリカが主導する国際連合によってマッキンダー理論を源流とする、一方的な国境線の変更の禁止や海洋の自由という流れになっています。しかし大陸系からは英米系が生存圏を押し付けているように見えてしまっているようです。
現在も英米系と大陸系の地政学の考え方の対立は解消されていません。
さて、日本はシー・パワーとして日露戦争を戦いましたが、大陸進出やナチス・ドイツの勃興によって次第に大陸系地政学による生存圏構想の方に寄っていきます。英米系でいうランド・パワーとして進み始めてしまうのです。敗戦後、日本は憲法と国連憲章と日米安保によってシー・パワーに組み入れられることになります。
現在英米系地政学によるランド・パワーの抑え込みと、大陸系地政学による生存圏の確保という二大潮流が見えてきています。ロシアは生存圏のためにウクライナに侵攻し、中国はランド・パワーとシー・パワーの両方を希求する「両生類」として、一帯一路と尖閣・台湾から南シナ海への進出を図っています。
これらに対してNATOとクアッドがロシアと中国の抑えとして睨みを利かせている状況です。
地政学といってもどちらのことを言っているかきちんと見ないといけませんね。
地政学と現代世界の理解として教科書の様な本ですので、そちらに興味のある人は読んでみるといいと思います。
10代の竜王や二冠などファンタジー世界だけのもの。
荒唐無稽なライトノベルでしか書けないもの。
その常識が藤井聡太という一人の若者の出現で崩れ去りました。
そしてファンタジーが現実に負けるという非常識に翻弄された(ている)のが作者の先生です。
すごく可哀想。
しかし将棋の熱を伝えるこの作品はライトノベルの枠を超えて読みごたえがあります。
将棋界の現状に攻め込んでいくストーリー。
そしてAIという超計算機が示す将棋の未来は、希望か絶望か。
先生、これほんとに話まとまるんですよね?
というくらいある意味恐ろしい作品かもしれません。
~「貨幣量」の変化から宗教と戦争の関係を考察する
織田信長とありますが、主に室町時代の経済政策についての本です。
室町時代は銭経済が発達した時期ですが、銭自体が明からの輸入品だったことから経済と釣り合うだけの通貨量が不安定でどうしてもデフレ基調になってしまい、それが戦乱の誘引剤となっていたようです。
さらに延暦寺、五山、本願寺、日蓮宗という宗教プレイヤーも入れ代わり立ち代わり室町幕府を翻弄してしまい、応仁の乱から戦国期まで大混乱を巻き起こしてしまいます。
この室町末期に出現した織田信長が、経済システムを整理して後の秀吉、家康への道しるべになったことは、まさに、織田がつき羽柴がこねし天下餅座りしままに食うは徳川、といった感じです。
信長は創業者社長ですが働き盛りの時に亡くなってしまったというのはもったいなかったかもしれません。
そんな感じで室町時代の歴史と経済をまとめた本としてなかなか面白かったです。
~なぜ「合憲」なのか
自衛隊も集団的自衛権もそもそも国際法に照らせば合憲という話で解答終了なのです。
これを違憲という憲法学者こそが国際的に見て異端なのです。
集団的自衛権はモンロードクトリンが新世界(南北米州)を旧世界(欧州)のバランスオブパワーの理論から守りたかったから生まれたようなものです。
旧世界では集団的自衛権という考え方そのものに行かなかった。そしてこれが現代日本の憲法学者の教科書となっているから集団的自衛権に対して否定的になってしまうのです。
モンロードクトリンは第二次世界大戦までは集団的自衛権の唯一の例でしたが、当時は西半球以外には存在しませんでした。
第二次世界大戦後にNATOをはじめ、欧州や全世界に広がったのです。
ではなぜ日本ではこんな議論になっているか。
元凶はドイツ国法学を奉じる反米の憲法学者たちになります。
日本の素案を危惧したマッカーサーが新憲法案を示したのですが、これが憲法学者たちには気に入らなかったようです。
日本は革命によって国民が主権者となり新憲法を作ったという、いわゆる八月革命の考え方が憲法学者の間で大真面目に正論とされているそうです。
とことん米国嫌いなのだなという感じですが、気は確かなのでしょうか。
自衛権自体は新憲法でも全く問題になっていなかったし、ポツダム宣言のどこを見ても自衛権の否定はなくもちろんマッカーサーも日本の自衛権について否定していません。
集団的自衛権の議論がおかしくなったのは1972年の沖縄返還の時で、ベトナム戦争に巻き込まれたくない政府と、左翼勢力の伸張を避けたい自民党政権が集団的自衛権の否定を始めたかららしいのです。
余計なことをしてくれたものですね。
集団的自衛権の考えがこれほど新しいものだったのかという驚きと、旧世界のバランスオブパワーの考えが染みついている人が異様に多いことに愕然とした気がします。
ウクライナ戦争を見ていると、世界は多数の国が結合する集団的自衛権を否定して大国が支配するバランオブパワーに興味を持っている気がしてなりません。
古代大陸の合従連衡が頭をよぎってしまいます。
歴史の本としても面白いので読んでみることをお薦めします。
バキをコンセプトにした哲学の入門書という奇特な形式の本ですがこれが面白いのです。
西洋の名だたる哲学者を真理の真理、国家の真理、神様の真理、存在の真理の4つのステージで順に語っていくという、少年漫画やバトル漫画を見ている様な気になります。これはとても読みやすいですね。
哲学の発展というのが先人や他の哲学者との闘いということをよく表しています。
姉妹編の東洋の哲人たちの本と併せて読んでみるのもいいかもしれません。
読んでいてとても楽しい本です。
~「ジオ・エコノミクス」で日米の開戦動機を解明する
大東亜戦争という題名ですが、19世紀の世界経済から始まる経済史講義になります。
まずは金本位制度の勃興と挫折ということで、当初は価値の裏書きのある金本位制度を世界各国が採用して世界経済は活性化したのですが、金の採掘量によって経済が振り回されるという設計上の不具合が目立つことになってしまいます。
そして世界は第一次世界大戦後に金本位制復帰を試み、そして世界恐慌へと突入していったのです。
その当時もリフレ派はいて、リフレ派が正しいことを言っていたのですが日本でも外国でも採用されなかったのです。平成のデフレ派が主導したのと同じことになったのです。
日本では昭和恐慌となり、世界的な金融危機が現れます。
ドイツでは賠償金問題が大きくのしかかってきました。この賠償金問題のためにドイツはわざとデフレを選択したのです。ドイツ経済は沈みまくり、景気低迷からナチスと共産党が伸張します。そして共産党とナチスとの権力争いの結果共産党は敗北、ヒトラーが台頭します。
これに対し日本では高橋是清の活躍により経済V字回復が起こります。ところがここで国粋主義を偽装する北一輝ら、これらはほぼ共産主義者なのですが、高橋是清らを暗殺してしまいます。これで日本経済は坂道を下るように悪化します。
高橋の後任の馬場蔵相が大量の国債を発行し、なんと軍事費に注ぎ込みます。インフレは国民生活を直撃し、危険な思想が流行ることになります。経済低迷のため、普通はありえない、コミンテルンの日本と国民党政府を激突させ、更にアメリカに日本を叩かせ、日本が弱ったところで共産党がいただくという妄想のシナリオを実現させてしまったのです。
そのアメリカも景気低迷で、コミンテルンの反日キャンペーンに引っかかってしまいます。
日本もアメリカとの喧嘩を避けるのが賢明でしたが、統帥権干犯問題で様子がおかしくなってしまいます。そして経済的に困窮していたため、尾崎秀美らコミンテルンのアメリカ陰謀論に引っかかってしまいます。
「スパイが敷いたレールの上を破滅に向かって全力疾走するバカ」
戦前の日本がはまってしまった悲しい現実です。
戦後は米ソ対立によりアメリカの占領政策が転換されます。
朝鮮特需により経済成長の波に乗ることができたのは皆が知る歴史です。
リフレ派と財政緊縮派の争いは100年以上前から、令和の現在に至るまで続いている争いです。
経済から見た歴史観ではありますが、コミンテルンやその仲間みたいなのも100年以上ずっと存在しているというのは困ったものですね。
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